ヴィクター・タイムリーとは何者？
第3話では、征服者カーン＝在り続ける者の新たな変異体、ヴィクター・タイムリーが登場しました。
ヴィクター・タイムリーは19世紀のアメリカの発明家です。
ヴィクターは、『アントマン＆ワスプ：クアントマニア』で登場したカーンほど陰謀を巡らせたり支配欲に満ちていたりはしません。
またヴィクターは、在り続ける者のように神秘的で気まぐれでもありません。
ヴィクターはまだ人間的で、少しぎこちなく、吃音が少しあり、ある種のオタク的な一面があります。
変異体ごとに外見や個性が大きく異なるのは、MCUのマルチバースで魅力的な要素です。シルヴィとロキが、性別や外見ばかりでなく問題への対処の仕方が異なるように、カーンの変異体も性格の悪さの度合いは異なります。
ヴィクターは、世界を発明品で変えたいという単なる好奇心旺盛な人物で、まだ純粋なところが見られるバージョンです。
しかし、第3話で明らかになるように、ヴィクターは野心的で、欺瞞的で、人を近づけないところがあり、カーンの片鱗をのぞかせています。
カーン/在り続ける者/ヴィクター・タイムリーを演じるジョナサン・メジャースはDV容疑で裁判にかけられており、MCUでの未来にも不安が残ります。ですので、カーンのさまざまな変異体の登場が今後のMCU全体にどれだけ影響を与えるか、また何を意味するかは推測し難いです。
ミス・ミニッツとは何者？
ミス・ミニッツは在り続ける者によって作成された人工知能で、TVAを管理し、支援を提供することが主な役割です。
さらにミス・ミニッツは、TVAのアニメのマスコットとしてTVAのプロパガンダを職員や変異体たちに広めています。
ミス・ミニッツは在り続ける者とラヴォナ・レンスレイヤーとの連絡係の役割も果たしていました。
第3話では、在り続ける者とラヴォナ、ミス・ミニッツの三角関係が明らかになりました。ミス・ミニッツがラヴォナにやきもちを焼いたり、顔を赤らめたりする場面は、第3話の大きな見どころのひとつです。
ミス・ミニッツがヴィクターとついに2人きりになった場面で、彼女の自己中心的な動機が明確に理解されます。ミス・ミニッツはTVAや神聖時間軸の管理や、マルチバースの支配などには興味はありません。
ミス・ミニッツが求めているのは、在り続ける者を独占して宇宙を支配することなのです！
ミス・ミニッツはもともとチェスの人工知能として作成され、やがて自律性を持つように発展させられました。在り続けるものはミス・ミニッツに独自のプログラムを書く能力を与え、欲望を持たせ、気まぐれな行動を許容するようになります。
在り続ける者は、膨大な情報を持つミス・ミニッツに多くの権力とアクセス権を与えましたが、彼女はそんな在り続ける者に恋をしてしまったのです。
ミス・ミニッツに個性と独自の動機を与えたことは、『ロキ』シーズン2の物語の重要なポイントです。TVAや在り続ける者、ラヴォナの過去についてすべてを知っているミス・ニミッツは、シーズン2でこれまでにない重要な役割を果たすことになります。
第3話のあらすじ
第3話は、1868年のシカゴで始まります。ミス・ニミッツによって連れてこられたラヴォナは、シカゴの貧民街でヴィクター・タイムリーという少年にTVAのハンドブックを与えました。
ヴィクター・タイムリーは在り続ける者の変異体のひとりです。在り続ける者がミス・ミニッツとラヴォナに与えた使命は、ヴィクターがTVAとそのテクノロジーに興味を持って、やがてTVAの基礎を築くようにすることでした。
一方、TVAでは時間織り機がメルトダウンの危険にさらされています。ドックス将軍が何十億人もの人生と引き換えに多数の分岐を剪定したため、一時的に崩壊は回避されましたが、新しく生じてきた分岐を時間織り機は処理できません。
OB/ウロボロスは時間織り機のドアを開けることができないため、時間織り機のアップグレードができません。セキュリティ対策を無効にする方法は、在り続ける者の時間のオーラかミス・ミニッツを見つけ出すことです。
ミス・ミニッツとラヴォナが協力していることに目をつけたロキとメビウスは、ラヴォナのテンパッドの痕跡を手がかりに、19世紀後半のシカゴに飛びます。
ロキたちは1868年のシカゴの貧民街を訪れますが、すでにラヴォナたちは立ち去った後でした。ロキたちが25年後、1893年の同じ場所に行くと、ヴィクターの育った貧民街は賑やかなシカゴ万博の会場になっていました。
ロキとメビウスは、万博会場でヴィクターが、時間織り機の小型版を披露しているのを見ます。
ロキはヴィクターが実際には在り続ける者の変異体であり、ヴィクターの時間のオーラを利用してTVAの時間織り機のドアを開けられることに気づきます。
ヴィクターの時間織り機はいかさまのようですが、その原理の説明は混沌から秩序が生み出されるTVAの時間織り機の原理に通じるものです。
ヴィクターの説明によれば、彼の装置は電流の時間的劣化を反転させ、エントロピーを下げ、それを細い電力の糸に集め、それを優雅な電圧のロープに織り上げるのだそうです。
ヴィクターの装置は高出力の発電機のように見えたため、早速お金持ちがビジネスパートナーにならないかと持ちかけてきました。
しかし、誰のパートナーにもなりたくないヴィクターは、あっさり断ります。仕方がないのでお金持ちは、ヴィクターの装置を1,000ドルで買いました。
商談成立後、ロキとメビウス、ラヴォナの3人はヴィクターに近づいて、彼を連れて行こうと奪い合いになります。
さらに、ヴィクターの発明がいかさまであったことに気づいたお金持ちも彼を追いかけてきました。
そこに、刀を手にしてヴィクターを殺すつもりのシルヴィが乱入し、再びロキと対立します。
ロキはヴィクターを助けて彼の時間のオーラを利用することで、多数の分岐が並存できるようにすると言います。
しかし、シルヴィはヴィクターのことを、宇宙から自由意志を奪った在り続ける者の変異体としか見ておらず、彼を殺すことしか頭にありません。シルヴィはヴィクターを助けても、TVAが彼を武器として使用するだけだと言うのです。
シルヴィとロキは大観覧車でヴィクターをめぐって戦い、強力な魔法の衝撃波がぶつかり合います。群衆があっけにとられたところで、ミス・ミニッツが巨大化して群衆を追い払い、そのすきにラヴォナはヴィクターを連れて逃げました。
ヴィクターはラヴォナとミス・ミニッツをシカゴの仮の宿に連れていきます。ヴィクターはそこでラヴォナに冷蔵庫つきの椅子という発明を見せます。ヴィクターとラヴォナがいい雰囲気になってきたため、ミス・ミニッツは面白くありません。
そこへヴィクターにだまされたお金持ちが手下を連れて追いかけてきます。ヴィクターたちは裏口から脱出し、お金持ちと手下はロキの魔力で退散しました。
ヴィクターたちはシカゴからミシガン湖を渡る船に乗って、ウィスコンシン州にあるヴィクターの研究所へ向かいます。船の中でラヴォナはヴィクターに、25年前にTVAのハンドブックを彼に与えたのは自分であると打ち明けました。ラヴォナはヴィクターに、自分たちはよいパートナーになれると言います。
ヴィクターの心を掴んだと思って安心したラヴォナがうたた寝をしている間に、ヴィクターとミス・ミニッツは彼女を救命ボートに乗せて船から放り出してしまいました。
ミス・ミニッツは、他の誰かと協力することを嫌がるヴィクターの気持ちを煽って、ラヴォナを捨てさせたのです。
研究所についたヴィクターは、ミス・ミニッツの本当の目的を知ります。ミス・ミニッツは人間のような本物の体を得ることで、在り続ける者の側で支配者となることを望んでいたのです。
ミス・ミニッツのしつこさに脅威を感じたヴィクターは、彼女をテンパッドに閉じ込めてしまいました。
そこに、ヴィクターを利用することでTVAを支配しようと目論むラヴォナが乱入してきます。やがてロキとメビウスもやってきて、ヴィクターを渡すように言います。最後にシルヴィが現れて魔法の衝撃波を発し、全員をノックアウトさせました。
しかし、ロキに説得されてシルヴィは、カーンの変異体を殺すことを思いとどまりました。結局ヴィクターは、ロキとメビウスによってTVAに連れていかれます。
最後にシルヴィは、在り続ける者から奪ったテンパッドを使って、ラヴォナとミス・ミニッツを時間の終わりのシタデルに送り込みました。
時間の終わりでミス・ミニッツは、何でも知っている自分を敵に回したヴィクターは馬鹿だと言い、ラヴォナの秘密も知っていることをほのめかします。
第3話の結末を解説
ミス・ミニッツはラヴォナの秘密を握っている
第3話の結末で、ミス・ミニッツがヴィクターに本物の体を作ってもらい、彼と一緒にいたいと望んでいることが明らかになりました。
ミス・ミニッツは在り続ける者のオリジナルと一緒にいたいと思っていました。在り続ける者は彼女に完全な意識とほぼ完全な自律性を与えたにもかかわらず、彼女を単なるペット以上のものとは見なさなかったようです。
在り続ける者の変異体であるヴィクターは彼女の愛を拒絶し、これがミス・ミニッツを彼に敵対する存在に変えました。
ミス・ミニッツは第3話の結末でラヴォナのもとに戻ります。ミス・ミニッツは、在り続ける者の多くの秘密を知っていることを確認し、ヴィクターが彼女を敵にしたことは賢明でなかったと示唆します。
ミス・ミニッツはまた、ラヴォナ自身についての大きな秘密を知っており、それが彼女を「本当に怒らせる」と言いました。多くのTVAエージェントと同様に、ラヴォナも記憶を消されており、彼女の知らない過去の詳細をミス・ミニッツは知っているのです。
第1話でロキは、在り続ける者がラヴォナの働きについて彼女に感謝している声の録音を聞いています。ミス・ミニッツが握っているラヴォナの秘密は、TVAが創設された経緯に関するものに違いありません。
シルヴィはどのようにしてラヴォナを時間の終わりに送ったか
第2話の結末で見られるように、シルヴィは在り続ける者から奪い取ったテンパッドを使用してラヴォナ・レンスレイヤーを時間の終わりのシタデルに追放しました。
このテンパッドは、TVAエージェントが使用する標準のテンパッドより高度なバージョンです。シルヴィは在り続ける者と彼が作り上げたTVAを憎んでいますが、在り続ける者のテンパッドで神聖時間軸や、そこから枝分かれしたタイムラインの間を自由に移動することができるようになりました。
TVAが危機に瀕していても、シルヴィは独自に時間旅行し、マルチバースを移動する手段を持っており、これは彼女にとって大きな武器となります。
ですが、ロキが予測しているように、TVAなしでは、マルチバースはやがて自壊します。これにはシルヴィが新しい人生を送るために見つけたいくつかの枝分かれした現実も含まれます。
このため第3話では、子どもの頃にTVAからすべてを奪われたシルヴィが、今後のエピソードでTVAを救うためにロキと手を組む可能性が示唆されました。
シルヴィはラヴォナを時間の終わりに追放することでささやかな復讐を果たしましたが、ラヴォナがミス・ミニッツと手を組んで強力な敵となる可能性も作り出しています。
時間の終わりで起きていること
時間の終わりのシタデルに追放されたラヴォナの周りは、ゆっくりと崩壊しています。
シタデルはすでに『ロキ』シーズン1の最終回で亀裂が入っており、在り続ける者がこれらすべてを保つ唯一のものだったことは確実です。この空間は「ヴォイド」として知られる時間の終わりの空間と隣接しており、かなり不安定になっています。
またラヴォナたちが見つけた在り続ける者の遺体の腐敗の進み具合から、『ロキ』シーズン1の最終回でシルヴィによって殺された後、かなりの時間が経過していることがわかります。
少なくとも、シーズン1最終回の出来事と、今回のエピソードでラヴォナがシタデルに追放された時点との間に、かなりの時間が経過したようです。ただし、TVAおよび時間の終わりでは時間の経過が異なるため、実際の経過した時間を正確に定量化するのは難しいです。
しかし、シタデルが崩れ落ち、新しく枝分かれした多くのタイムラインが増えてマルチバースが拡大し続けていることは明らかです。
同様に、在り続ける者＝征服者カーンの新しい変異体は、『ロキ』シーズン2や『アントマン＆ワスプ：クアントマニア』など他のMCUの作品で見られるように、MCU全体で現れ始めています。
こういったことから、第3話の結末は在り続ける者の死の影響が高い程度で感じられる結末となっています。
ラヴォナはシルヴィの意図通りに時間の終わりに閉じ込められてしまったようです。しかし、ミス・ミニッツは『ロキ』シーズン1の最終回で、時間の終わりのシタデルにかなり詳しいことをほのめかしていました。
ミス・ミニッツはラヴォナを解放し、時間の終わりから脱出する方法を知っていることは間違いありません。
第3話の小ネタ
ボールダー・ザ・ブレイブ
ロキとメビウスはシカゴ万博会場でソー、ボールダー、オーディンと書かれた彫像を見つけました。ボールダー・ザ・ブレイブはアスガルドの戦士の神で、光の神でもあります。
ボールダーはMCUには登場していませんが、このキャラクターはソーのコミックで重要な役割を果たしています。
ヴィクター・タイムリーの研究室
今回のエピソードでヴィクターの研究室は、ウィスコンシンにありました。
コミックでもウィスコンシンは、ヴィクターと関連が深い場所です。
コミックでは征服者カーンの変異体が1901年のウィスコンシンにタイムトラベルしてタイムリーという町を築いて定住し、ヴィクター・タイムリーという名前で町長にまでなっています。
1893年シカゴ万博
ロキとメビウスがヴィクター・タイムリーを見つけた場所であるシカゴ万博は、実際に行われたイベントです。
1893年シカゴ万博は、1893年5月1日から10月3日まで開催されました。中心テーマは、科学技術への発展と工業への応用でした。
この万博はクリストファー・コロンブスが1492年にアメリカ大陸に到着してから400年を祝うため開催されたため、シカゴ・コロンブス万国博覧会とも呼ばれています。
