ロキの基本情報
ロキはマーベル・コミックやマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に登場するヴィラン、「神の国」アスガルドの王子で「悪戯の神(God of Mischief)」です。ロキのモデルは北欧神話に登場する同名のずるがしこく邪悪な火の神です。
マーベルのロキの基本データをまとめると以下の表になります。
- 本名:ロキ・ラウフェイソン (Loki Laufeyson)
- 人種:氷の巨人族 (Frost Giant)
- 身長:1.88メートル (6フィート2インチ)
- 目の色:青 (Blue)
- 性別:不定(Fluid)
- 出生地:ヨトゥンヘイム (Jotunheim)
- 別名:ロキ・オーディンソン、悪戯の神 (Loki Odinson, God of Mischief)
※マーベル・ドラマ『ロキ』シーズン1第1話より
MCUのロキ
MCUのロキはアスガルド人ではなく、ヨトゥンヘイムに住む氷の巨人族の長ラウフェイの息子でした。ロキは巨人族にしては体が小さかったため、ヨトゥンヘイムの寺院に捨てられていましたが、同地に侵攻したアスガルド王のオーディンに救われて彼の養子となります。
アスガルドの王宮でオーディンの息子ソーと一緒に兄弟として育てられたロキは、アスガルドの王位継承権を持つ王子となりました。
ロキは雷神ソーほど体格がよくありませんが、氷の巨人族の血筋から強靭な生命力を受け継ぎ、簡単なことでは死にません。さらにオーディンの妻フリッガから魔法を習っており、自分の姿の幻影を見せたり、他人の記憶を読み取ったりすることができます。
マーベル・コミックのロキ
マーベル・コミックでロキは1949年に最初のバージョンが登場するほど歴史のあるキャラクターです。現在のかたちのロキは1962年10月の『Journey into Mystery(原題)』#85に初めて登場しました。
1963年9月の『The Avengers(原題)』#1でアベンジャーズが結成されるきっかけも、ロキの悪巧みでした。
このためロキはソーやアベンジャーズとは離れられない関係で、これまで『ソー』や『アベンジャーズ』など数々のマーベル・ユニバース作品に登場してきました。
ロキは年齢や性別が決まっていない
コミックのロキは年齢や性別が固定していないキャラクターで、2008年に発行された『Thor(原題)』Vol.3などでは女性の姿で登場します。
さらに2011年の『Thor(原題)』#617には、死んだはずのロキが子どもの姿で復活。『Journey into Mystery(原題)』と改題された同シリーズ#622からしばらくのあいだ、子どものロキがメインキャラクターとなっています。
このようなコミックを反映してMCUドラマ『ロキ』では、ロキの変異体が女性であるレディ・ロキとして登場しました!
MCUのロキの年齢
MCUにおけるロキの年齢は、『マイティー・ソー』(2011年)で描かれた出来事から1,000歳は超えていると推測されます。
西暦965年にオーディンがヨトゥンヘイムに侵攻したとき、捨て子で拾われたロキはまだ赤ん坊でした。オーディンは神々の寿命は5,000年を超えることを示唆しています。ロキは神々の寿命の5分の1だとすると、まだ青年の姿でいることは理解できますね
ロキは何度も死亡している
コミックでロキは何度も死亡して生き返っています。2016年のミニシリーズ『Vote Loki(原題)』でロキは、自分は何度も生まれ変わっており、今の自分はアメリカで生まれたロキだと言っています。『Vote Loki』でロキはアメリカの出生証明書まであったためアメリカ大統領選挙出馬が可能になったのです。
Vote Loki (Vote Loki (2016)) (English Edition)
Kindle Unlimited 会員は、このタイトルを追加料金なし(¥0)で読み放題!
MCUでのロキは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)の冒頭でサノスに殺されて死亡しました。
しかし『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)でトニー・スタークたちがタイムトラベルした2012年のニューヨークから逃亡したロキが別の時空に誕生!新しいドラマが始まっています。
ソーとは仲良し?
ロキはソーの宿敵という設定ですが、特にMCUでは兄弟として育てられているので、本当は仲良しなのかもしれません。
コミックの世界でロキは、ソーの宿敵・ヴィランとして悪事の限りを尽くしています。
それでも「Siege」の時系列でロキが死んだ後、ソーはロキのことが忘れられず、彼の生まれ変わりを探します。『Thor(原題)』#617でソーは子どもの姿で現代のパリに生まれ変わったロキを見つけ出し、その記憶の一部を回復させました。
MCUでは次の項目で振り返るように、ロキはスーパーヴィランからアンチヒーローに変貌していきます。
こういったことから、ロキとソーは派手な喧嘩をするほど仲良しなのかもしれないという印象が強くなります。
MCUでの登場歴
マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でロキは、『マイティ・ソー』(2011年)を皮切りに6本の映画と1本のドラマシリーズに登場します。
映画「マイティ・ソー」3部作は、いつも悪巧みばかりしているひねくれ者のロキが次第に家族の絆を固めていく物語とも言えるでしょう。
さまざまなヒーローたちが集結するクロスオーバー映画では、『アベンジャーズ』(2012年)で描かれたアイアンマンやハルクとニューヨークで対決する、いわゆる「ニューヨークの戦い」がロキのキャリアのクライマックスです。「インフィニティ・ウォー」や「エンドゲーム」にロキが登場する場面はほとんどありませんが、「エンドゲーム」におけるロキの逃亡シーンがドラマシリーズ『ロキ』の発端となっています。
それでは次にMCUにおけるロキの活躍ぶりを、作品ごとにくわしく振り返ってみましょう。
『マイティ・ソー』(2011年)
ロキは『マイティー・ソー』でMCUに初登場するやいなや、スーパーヴィランとして数々の悪事を働きはじめます。
まずソーがアスガルドの王位を継承する晴れの戴冠式の日、ロキはアスガルドの宿敵である氷の巨人たちを宮殿の武器庫に侵入させて式典を台無しにしました。
ロキは怒り狂ったソーをそそのかし、氷の巨人の住むヨトゥンヘイムを襲撃させます。この勝手な行動で父王・オーディンを怒らせたソーは、その能力とハンマー(ムジョルニア)を剥奪されて地球に追放されてしまいます。
さらにオーディンが心労で昏睡状態に陥るや、ロキはアスガルドの実権を掌握し、ソーを抹殺するため戦闘マシンのデストロイヤーを地球に送り込みました。
しかしソーは自らを犠牲にして仲間を救おうとしたため、罪を許されて能力とハンマーを取り戻します。デストロイヤーを倒したソーは、アスガルドに帰還してロキの陰謀を暴露。ロキは宇宙の彼方に消えていったかに見えました。
ところがポスト・クレジット・シーンには、地球で発見されたテッセラクト /スペース・ストーンを狙うロキの姿が……。
『アベンジャーズ』(2012年)
アイアンマンをはじめ、ハルクやキャプテン・アメリカ、ソーといったマーベルが誇る大人気ヒーローたちが一堂に集結した「アベンジャーズ」。このヒーローチーム結成のきっかけをつくったのは、コミックと同じくMCUでもロキの悪巧みでした。
アスガルドの王位を諦めたロキは、せめて地球の王者になろうと後にサノスと明かされる謎の巨人の手下となります。ロキはテッセラクト /スペース・ストーンを奪うため地球に送り込まれてきました。
杖に仕込んだマインドストーンを使ってセルウィグ博士やホークアイを操り、ありとあらゆる姑息な手でテッセラクトを狙うロキ。彼はニューヨークにチタウリの大群を出現させますが力を合わせたアベンジャーズに打ち負かされて、ロキは囚われの身となります。
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年)
「ニューヨークの戦い」のあとアスガルドで投獄されたロキですが、ダークエルフがアスガルドを侵略したとき、ソーによって釈放されます。しかし、その前にロキがダークエルフに王宮への道を教えたため、彼を本当の息子のように育ててきたオーディンの妻・フリッガが命を落としてしまいました。
フリッガの死を償い、ソーの地球人の恋人・ジェーンのなかに眠るエーテルを守るため、ロキはソーと力を合わせて戦います。
このような「ダーク・ワールド」は、MCUでロキのイメージが単なるヴィランからアンチヒーローに変わっていく転機をなす作品です。
『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017年)
「ダーク・ワールド」の結末で兄をかばって死んだはずのロキでしたが、実はそれもすべて嘘でした。
ソーがひと仕事終えてアスガルドに帰ると、堕落した父オーディンの姿が。ロキの犠牲を称賛する父を不審に思った彼がムジョルニアで脅してみると、なんとその正体は変身したロキだったのです。
その後、現れた狂気の姉ヘラとの戦いでソーとロキは再び兄弟タッグを組むことになりますが、そのあいだもロキは裏切りまくり。もはや息をするように嘘をつく彼に笑うしかないソーでしたが、最後にはロキの助けもあって姉ヘラを打ち負かします。
しかし、この戦いでソーとロキの故郷・アスガルドは壊滅、アスガルドの民は宇宙船で新天地を求める放浪の旅に出ることになりました。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)
アスガルドの民を乗せた宇宙船は、ロキの持っているテッセラクトを狙うMCU最強のヴィラン・サノスに捕まってしまいます。
ソーはサノスの部下によって完全に身動きを封じられて、サノスの殺戮を前になすすべもありません。
一方、ロキはサノスに服従を誓ってテッサラクトを渡そうとします。またもや裏切りかと思った矢先、ロキは隠し持ったナイフでサノスの喉元を突こうとします。
しかし、相手は圧倒的な力を誇るサノス。ロキはサノスの返り討ちにあって、またたく間に命を落としてしまいます。
自らを犠牲にして兄やアスガルドの民を守ろうとしたことで、ロキのMCUにおけるアンチヒーローとしての地位は確立されました。
愛すべき悪役として人気があったロキの突然の死にファンの驚きは大変なものでした。しかし、製作サイドでは次の「エンド・ゲーム」でロキを復活させる計画がすでにあったそうです。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)
「インフィニティ・ウォー」の結末におけるサノスの「ザ・デシメーション(大量殺戮)」で消された人たちを復活させるため、本作でアイアンマン/トニー・スタークたちはインフィニティ・ガントレットを取り戻そうとします。
しかしサノスがガントレットのインフィニティ・ストーンを破壊していたため、彼らは過去の世界からインフィニティ・ストーンを盗み出すことにしました。
スペース・ストーンを含めて3つのストーンを1度に入手しようと、トニーたちは映画『アベンジャーズ』で描かれた「ニューヨークの戦い」直後の2012年にタイム・トラベルします。
ところがトニーたちと同じ所に居合わせた2012年のロキは、一瞬のすきを見て落とされたテッセラクト/スペース・ストーンを使い、別の空間にテレポーテーション!
こうして歴史が変わってしまいました。MCUではタイム・トラベルで歴史が変わると、そこから新たなタイムラインが分岐する設定になっています。
2021年6月から配信開始される新作ドラマ『ロキ』の物語の設定は、このようにして準備されていたのでした。
『ロキ』(2021年)
2021年6月からディズニープラスで独占配信されるドラマ『ロキ』は、「エンドゲーム」から分岐した世界で繰り広げられる物語です。
ドラマは「エンドゲーム」で逃亡したロキが「時間変動機関(Time Variance Authority略称TVA)」と呼ばれる組織に捕まるところから始まります。TVAとは、時空の外からマルチバースの時系列を監視している組織です。
2012年のニューヨークから逃亡してすぐに、このTVAに捕まったロキ。彼は時間変異分子として抹殺されるか、より大きな脅威を阻止するため時系列を修正するのに協力するか、どちらか一方を選択するよう迫られます。
ドラマ『ロキ』はこのようにしてTVAのエージェントとなったロキが、時空を超えて変異体のロキを追う壮大な物語です。
MCUドラマ『ロキ』については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ロキを演じる俳優と声優
俳優:トム・ヒドルストン
MCUでロキ役を務めるトム・ヒドルストンは1981年にロンドンで生まれ、英国屈指の名門イートン校を卒業後、ケンブリッジ大学に進学した超エリートの俳優です。
ヒドルストンは『マイティ・ソー』(2011年)でもともと主役であるソーのオーディションを受けていました。しかし何度か審査を重ねるうちに、ケネス・ブラナー監督から「ロキをやらないか?」と持ちかけられます。
このロキ役を掴んだことによってヒドルストンは大ブレイク。その後、鬼才ジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』(2013年)やアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロの『クリムゾン・ピーク』(2015年)などの人気作に出演を果たしました。
2017年には『キングコング:髑髏島の巨神』のイギリス人傭兵役で、MCU以外の大規模予算映画において初めて主役を務めています。
声優:平川大輔
MCUのロキの声優は6本すべて平川大輔です。
平川大輔は1973年生まれ、新潟県新潟市出身の声優、歌手です。
実写映画では、オーランド・ブルームを『ロード・オブ・ザ・リング』以来、ほぼ専属で担当しているといって良いほど吹き替えています。
ロキ役のトム・ヒドルストンの吹き替えも、MCU作品以外では『クリムゾン・ピーク』でも担当しています。
ロキはマーベルきっての愛されるヴィラン
この記事ではマーベル、特にMCUにおけるキャラクター・ロキについて、年齢、来歴やソーとの関係からロキ役を演じる俳優・声優まで解説しました。
ロキは悪戯が大好きな王子様ということで、コミックでも映画でも愛され続けるヴィラン、アンチヒーローです。しかしながら、2022年5月に公開予定の映画『ソー:ラブ・アンド・サンダー』に登場するのは、2021年6月の時点では困難と見られています。
2021年6月から配信されるドラマシリーズ『ロキ』での活躍を楽しみましょう!