MCUドラマ『ロキ』シーズン1の概要
- 原題:Loki
- 監督:ケイト・ヘロン
- 脚本:マイケル・ウォルドロン(ヘッド・ライター)
- キャスト:トム・ヒドルストン、オーウェン・ウィルソン、ググ・バサ・ロー、ウンミ・モサク
- 公開年:2021年
- 1話の長さ:40-50分
- エピソード数:6
- 放送局:ディズニー・プラス
2021年6月からディズニープラスで独占配信されるドラマ『ロキ』シーズン1は、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』から分岐した世界で繰り広げられる物語です。このドラマの主人公であるロキについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
ドラマは「エンドゲーム」で逃亡したロキが「時間変動機関(Time Variance Authority略称TVA)」と呼ばれる組織に捕まるところから始まります。TVAとは、時空の外からマルチバースの時系列を監視している組織です。
このTVAに捕まったロキは時系列を乱す変異体として抹殺されるか、より大きな脅威を阻止するため時系列を修正するのに協力するか、どちらか一方を選択するよう迫られます。
ドラマ『ロキ』はこのようにしてTVAの手下となったロキが、時空を超えてTVAからの逃亡者を追跡する壮大な物語です。
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ロキの基本情報
ロキはマーベル・コミックやマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に登場するヴィラン、「神の国」アスガルドの王子で「悪戯の神(God of Mischief)」です。ロキのモデルは北欧神話に登場する同名のずるがしこく邪悪な火の神です。
マーベルのロキの基本データをまとめると以下の表になります。
- 本名:ロキ・ラウフェイソン (Loki Laufeyson)
- 人種:氷の巨人族 (Frost Giant)
- 身長:1.88メートル (6フィート2インチ)
- 目の色:青 (Blue)
- 性別:不定(Fluid)
- 出生地:ヨトゥンヘイム (Jotunheim)
- 別名:ロキ・オーディンソン、悪戯の神 (Loki Odinson, God of Mischief)
※マーベル・ドラマ『ロキ』シーズン1第1話より
MCUドラマ『ロキ』シーズン1の監督と脚本
監督:ケイト・ヘロン
『ロキ』の監督を務めるケイト・ヘロンはNetflixオリジナル・ドラマ『セックス・エデュケーション』で4本のエピソードを監督して注目されるようになったイギリス出身の監督・脚本家です。
『ロキ』の物語についてヘロンは、ロキが自己を発見して受け入れる旅路であると説明しています。
脚本:マイケル・ウォルドロン
『ロキ』の全エピソードの脚本をまとめるヘッド・ライターを務めるマイケル・ウォルドロンは1987年生まれ、アメリカ出身の脚本家、プロデューサーです。
ウォルドロンは2014年、大学で脚本家養成プログラムを受講していたとき、NBCのコメディ・ドラマ・シリーズ『Community(原題)』のスタッフに採用されました。その後『HarmonQuest(原題)』(2016年)の脚本やYouTube Redの『Good Game』(2017年)のプロデューサーを務めています。
2019年2月、ウォルドロンは『ロキ』のヘッド・ライターと製作総指揮に就任します。さらに2020年2月からはMCU映画『Doctor Strange in the Multiverse of Madness』(2022年)の脚本執筆にとりかかりました。
ウォルドロンは2021年1月にディズニーとの新たな契約の一貫で、ケヴィン・ファイギが手掛けるスター・ウォーズ映画の脚本の執筆も打診されたそうです。今後、ディズニーの映画やドラマで一層活躍が期待される人物の1人と言えます。
MCUドラマ『ロキ』シーズン1のキャスト
MCUドラマ『ロキ』のメイン・キャストをご紹介します。見出しは「役の名前:俳優の名前」の順番です。
ロキ:トム・ヒドルストン
ドラマ『ロキ』の主人公ロキ役は、2011年からMCUの映画でロキ役を演じてきたトム・ヒドルストンが務めます。
ヒドルストンは1981年にロンドンで生まれ、英国屈指の名門イートン校を卒業後、ケンブリッジ大学に進学した超エリートの俳優です。
ヒドルストンは『マイティ・ソー』(2011年)でもともと主役であるソーのオーディションを受けていました。しかし何度か審査を重ねるうちに、ケネス・ブラナー監督から「ロキをやらないか?」と持ちかけられます。
このロキ役を掴んだことによってヒドルストンは大ブレイク。その後、鬼才ジム・ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』(2013年)やアカデミー賞監督ギレルモ・デル・トロの『クリムゾン・ピーク』(2015年)などの人気作に出演を果たしました。
2017年には『キングコング:髑髏島の巨神』のイギリス人傭兵役で、MCU以外の大規模予算映画において初めて主役を務めています。
メビウス・M・メビウス:オーウェン・ウィルソン
メビウスはTVAでとりわけ危険な犯罪者の捜査を担当する特別捜査官です。
メビウス役を務めるオーウェン・ウィルソンは1968年生まれ、アメリカ出身の俳優です。
ウィルソンは『アンソニーのハッピー・モーテル』(1996年)をはじめウェス・アンダーソン監督とタッグを組んだ数々のコメディ映画で有名になりました。
コメディで能天気なプレーボーイを演じることが多いウィルソンですが、『ロキ』ではハードボイルドな捜査官の役です。ソフトな外見は変わりませんが、意志の強そうな人物を演じます。今まであまり見たことのないウィルソンの新しい一面が見られるのではないでしょうか。
ラヴォナ・レクサス・レンスレイヤー:ググ・バサ・ロー
ラヴォナ・レンスレイヤーはTVAで時間変異体の処分を決める裁判官です。
ラヴォナ役を演じるググ・バサ・ローは1983年生まれ、イギリス出身の女優です。南アフリカ人の父とイングランド人の母の間に生まれた彼女は王立演劇学校を卒業後、イギリスのテレビや舞台に出演し始めました。
彼女が映画女優としてブレイクした作品は、2013年に公開された『ベル -ある伯爵令嬢の恋-』。この作品でバサ=ローは、18世紀のイギリスで伯父の手によって貴婦人として育てられる混血女性の主人公を演じて注目を集めています。
ハンター・B−15:ウンミ・モサク
ハンター・B-15は、時系列を乱す変異体を逮捕するTVAの凄腕エージェントです。
ハンター・B-15役を演じるウンミ・モサクは1986年生まれ、ナイジェリア出身のイギリス人女優です。彼女はイギリスを中心にテレビを中心に活躍しています。ドラマ『ロキ』のハンター・B-15役では身体能力が求められるスタントに初めて挑戦するそうです。
シルヴィ:ソフィア・ディ・マルティーノ
シルヴィは、第2話でロキの前に登場するロキの変異体である謎の女性です。
シルヴィ役を演じるソフィア・ディ・マルティーノは1983年生まれ、イタリア系イギリス人の女優です。彼女は2004年から主にイギリスのテレビドラマに数多く出演しています。
シルヴィについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
「在り続ける者」:ジョナサン・メイジャーズ
「在り続ける者」は第6話で登場するTVAの黒幕、シーズン1の究極のヴィランです。
「在り続ける者」役を演じるジョナサン・メイジャーズは1989年生まれ、アメリカ・カリフォルニア州出身の俳優。2019年にヒューマンドラマ『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』で映画デビューしたばかりの将来が期待される若手です。
MCUでは2023年に公開される予定の『アントマン&ワスプ:クワントマニア』で征服者カーンを演じることが2020年12月に公表されています。
これまでのMCUにおけるロキの歴史をおさらい!【ネタバレ注意】
最初にドラマ『ロキ』の設定を理解するため、MCUにおけるヴィラン/アンチヒーローであるロキのこれまでの重要なエピソードを振り返ってみましょう。
MCUにロキは『マイティー・ソー』(2011年)で「神の国」アスガルドの王子として初登場します。この映画でアスガルドの王位を狙う彼の野望は、彼とともに兄弟として育てられた雷神ソーの活躍で挫折しました。
アスガルドの王位を諦めたロキは、次に映画『アベンジャーズ』(2012年)で宇宙支配を目論むサノスと結託して地球を征服しようとします。これに対抗するためアイアンマンをはじめ、ハルクやキャプテン・アメリカ、ソーといったヒーローたちが集結したのが、ヒーローチーム「アベンジャーズ」。「ニューヨークの戦い」における彼らの活躍によって再びロキの野望は打ち砕かれ、敗軍の将・ロキは囚われの身となりました。
その後紆余曲折を経てロキはソーと和解したのもつかの間、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)でロキはサノスに殺されてしまいます。
一方、「インフィニティ・ウォー」の結末におけるサノスの「ザ・デシメーション(大量殺戮)」で消された人たちを復活させるため、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)でアイアンマン/トニー・スタークたちはインフィニティ・ガントレットを取り戻そうとします。
しかしサノスがガントレットのインフィニティ・ストーンをすべて破壊していたため、彼らは過去の世界からインフィニティ・ストーンを盗み出すことにしました。
スペース・ストーンを含めて3つのストーンを1度に入手しようと、トニーたちは映画『アベンジャーズ』で描かれた「ニューヨークの戦い」直後の2012年にタイム・トラベルします。
ところがトニーたちと同じ所に居合わせた2012年のロキは、一瞬のすきを見て落とされたテッセラクト/スペース・ストーンを使い、別の空間にテレポーテーション!
こうして歴史が変わってしまいました。MCUではタイム・トラベルで歴史が変わると、そこから新たなタイムラインが分岐する設定になっています。
ドラマ『ロキ』はこうして派生した新しいタイムラインの物語です。したがって主人公のロキは自分がやがて死ぬことをまだ知らないばかりか、地球征服の望みも捨てていません。
『ロキ』シーズン1第1話のあらすじ:「大いなる目的」(2021年6月9日配信)【ネタバレ注意】
テッセラクトを使ってモンゴルのゴビ砂漠に瞬間移動した2012年のロキですが、またたく間にハンター・B-15が率いるTVAのミニットマン(兵士)たちに捕まってしまいます。
TVA(Time Variance Authority:時間変動機関)とは、時空の外からマルチバースの時系列が互いに摩擦を起こさないよう監視している組織です。
TVAの裁判官・ラヴォナ・レンスレイヤーの前に引き出されたロキは、神聖時系列を乱した変異体(Variant)ということで「リセット」されることに。
しかし、さまざまな時空に派遣されたTVAのミニットマンが殺される事件を捜査しているメビウスがロキの身柄を引き受けることを申し出ます。
メビウスから「時間劇場(Time Theater)」でロキは未来の自分の姿を見せられます。自らの裏切りで彼を我が子のように育ててくれたフリッガが命を落としたことをきっかけに、ソーと力を合わせて闘うようになるロキ。最後にソーとともに自分を息子と呼んでくれた養父・オーディンの死や、やがてサノスによって殺される自分の姿を見て、ロキはショックを受けました。
ロキはメビウスが席を外したスキに逃げ出そうとしますが、宇宙最強のインフィニティ・ストーンも効力を失うTVAの巨大な力を知って諦めます。
自らの置かれた立場を悟ったロキに、メビウスは彼を救うことはできないが、もっと良いものを与えることができると申し出ます。
メビウスがロキに与える新たな使命とは、TVAのミニットマンを何人も殺している変異体を捕まえることです。しかも、その逃亡者とはロキ自身であるというのでした。
『ロキ』シーズン1第1話の考察と解説
ドラマ『ロキ』のMCUにおける位置づけ
『ロキ』は『ワンダヴィジョン』を皮切りにマーベル・スタジオがディズニー・プラスで独占配信するために製作するドラマの第3弾です。
MCUのフェーズ4に属するこれらのドラマは、今後の映画の物語にも影響を与える作品として位置づけられています。「スター・ウォーズ」の世界で言う「正典(canon)」にあたる作品になりますね。
このようなドラマ『ロキ』は、主人公・ロキの物語の延長ばかりでなく、フェーズ4以降のMCUの世界観を紹介する重要な役割を担っているのです。
マルチバースの争いがMCUフェーズ4の重要な題材となる?
フェーズ4からのMCUはさまざまなユニバースが複雑に絡み合う「マルチバース」がカギとなります。
さまざまなユニバースのタイムラインを監視して、神聖時系列を守る機関であるTVAがMCUに初登場したことで、今後マルチバースでどのような物語が展開されていくか明らかになってきました。
『ロキ』の第1話でミス・ミニッツが、マルチバースと神聖時系列の関係を説明しています。
それによれば、はるか昔、無数の時系列が覇権をめぐってお互いに紛争をおこしてすべてのものを破壊しそうになったそうです。そこで「タイム・キーパー」が現れてマルチバースを「神聖時系列(Sacred Timeline)」と呼ばれる一本のタイムラインにまとめました。
しかし、時々ロキのように神聖時系列から外れるイベント(ネクサス・イベント)を生起させてしまうキャラクターが出てきます。こういった時系列の分岐を放置していると収拾がつかなくなり、混乱の狂気から新たなマルチバース戦争が勃発する危険性が生じます。
そういったことを阻止するために、「タイムキーパー」はTVAを創設して神聖時系列を維持するようにしたというのです。
『ロキ』の脚本をまとめたマイケル・ウォルドロンはMCU映画『Doctor Strange in the Multiverse of Madness(原題)』の脚本も務めています。タイトルから想像できるように、映画では『ロキ』のように時空を移動するヴィランが登場する可能性が高そうです。
さらに2023年に公開が予定される『Ant-Man and the Wasp: Quantumania』でも、時空を自在に移動できるヴィラン・征服者カーンが登場することが噂になっています。
こういったことから、フェーズ4以降のMCUではマルチバースで時空を移動する壮大な闘いが繰り広げられることが予想されます。
MCUドラマ『ロキ』はこのようなマルチバースの闘いを先取りするものとなるか、マーベル・ファン必見のシリーズとなること間違いなしです!
『ロキ』シーズン1第2話のあらすじ:「変異体」(2021年6月16日配信)【ネタバレ注意】
ロキは、逃亡中の自分の変異体が1985年にウィスコンシン州オシュコシュでTVA職員を誘拐した事件の搜査に加わります。
ロキはメビウスに搜査が終わっても自分を消滅させないで、タイムキーパーと会わせてほしいと頼みます。ロキはメビウスに思った以上に大きな危険が迫っていると耳打ちしますが、メビウスは引っかかりません。それでもメビウスはロキにもう一度チャンスを与えるようレンスレーヤーに頼みます。
オシュコシュ事件の搜査に集中したロキは、逃亡中の変異体はラグナロク(アスガルドが消滅した神々の黄昏)やベズビオ火山の噴火のような世界終末のイベントに隠れているのではないかと推理します。世界終末が起きる前はそこで変異体が何をやってもやがて終末ですべて消滅するため、TVAが時系列の異常を探知できないからです。
事件現場に残されていたキャンディを手がかりにロキたちは、逃亡中の変異体が隠れている世界終末イベントは2050年のアラバマ・ハリケーンではないかと推理しました。ロキの仮設を検証するため、ロキとメビウスやハンター・B-15たちのチームはハリケーンで住民が避難しているアラバマの巨大スーパーマーケットに飛びます。
巨大スーパーに到着した彼らは、ロキとB-15の2人と、メビウス率いる残りのチームの2グループにわかれて変異体を探すことにしました。メビウスたちのグループは、逃亡中のロキに1985年のオシュコシュから誘拐されて捕まっていたハンター・C-20を発見。C-20は、変異体にタイムキーパーの居場所を教えてしまったと告白します。
一方、変異体はB-15や住民に憑依してTVAのために働くロキと対峙します。TVAのロキは、変異体のロキに一緒にタイムキーパーを倒してTVAを支配しようと提案。しかし変異体のロキは、もう遅いと言って協力を断りました。
次々と別人に憑依してTVAのロキへの攻撃を繰り出した変異体のロキは、最後に正体を現します。逃亡中の変異体の正体はレディ・ロキだったのです。
レディ・ロキはTVAから盗んだリセットチャージを時限装置に結びつけていました。カウントダウン終了とともにリセットチャージは次々と消えていきます。同じころ、TVAの本部では聖なる時系列がさまざまな時点で分岐していく異常事態が観測されました。
TVAのロキは、時系列にテレポートしたレディ・ロキを追ってメビウスたちの前でタイムドアの向こうに消えていきます。
『ロキ』シーズン1第2話の考察と解説
リセットチャージとは?
第2話ではリセットチャージについて詳しい説明がありました。リセットチャージは「分岐した時系列で影響を受けた範囲を切り落として、時間がそのキズを癒すようにする」ものだそうです。ロキはこの説明を簡単に「周りのものをすべて消滅させる」と言い換えていましたね。
さらに第2話ではタイムトラベルに関する新しいルールが加わりました。それはタイムトラベルで発生した時系列の乱れ(ネクサス・イベント)はある時点をすぎるとTVAでさえも修正・消去できない出来事として確定してしまう、という法則です。
リセットチャージで爆撃された場所は?
第2話の終わりでレディ・ロキはタイムドアを使って時空のさまざまな場所にTVAから盗んだリセットチャージを送り込んでいました。同時に複数の場所でリセットチャージを作動させて周囲の物体を消滅させることで、TVAが修正しきれないほど神聖時系列を撹乱させる計画でしょう。
ターゲットにされた場所は地球では東京、ニューヨーク、北京といった大都市。さらに宇宙ではアスガルド(ソーやロキの故郷の惑星)、サカール(『マイティ・ソー バトルロイヤル』でソーとロキやハルクが流れ着いた惑星)といったMCUで重要な惑星が含まれています。
なかでも注目すべき惑星はサノスの故郷の惑星・タイタンです。TVAのモニターにはタイタンで時系列の乱れが生じた時間は1982年10月13日と表示されていました。
タイタンは人口過剰が大きな問題となっており、サノスはその解決のために惑星の人口の半分をランダムに殺すことを提案していたのです。この考え方が、『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』で宇宙の生物の半分を消滅させるデシメーションの基礎となりました。
このような出来事が起きる前の時点にリセットチャージを投入したレディ・ロキの狙いは何でしょうか?「インフィニティ・ウォー」の冒頭でサノスがロキを殺したことに対する復讐かもしれません。サノスの惑星に混乱を起こすことで、後のデシメーションのきっかけを作るか、はたまたサノスを殺してデシメーションをなかったことにしてしまう可能性もあります。
いずれにしてもレディ・ロキによって神聖時系列に重大な被害が生じたことは間違いありません。
『ロキ』シーズン1第3話のあらすじ:「変異体」(2021年6月23日配信)【ネタバレ注意】
TVAのエージェントからタイムキーパーの居場所に通じる金色のエレベーターのことを聞き出した変異体はTVAにテレポート。彼女を追ってロキもTVAに乗り込んできます。
エレベーターの前でレンスレイヤーに捕まりそうになったロキたちはテンパッドを使って2077年の衛星・ラメンティス1にテレポートします。
ラメンティス1はやがて惑星との衝突で住民が全滅する運命の衛星です。ここで変異体は自分の名前はシルヴィであるとロキに告げます。
ロキを捨ててシルヴィはテンパッドで別の時空にテレポートしようとしますが、バッテリー切れで逃げられません。
やむなくロキと一緒に行動することになったシルヴィは、衛星を脱出する宇宙船からテンパッドのエネルギーを盗むため、列車で発射基地に向かいます。
しかし、食堂車で彼女がウトウトしたスキにロキが酔っ払って正体を暴露したため、2人は列車から放り出され、テンパッドも壊れてしまいました。
がっかりするシルヴィにロキは宇宙船を奪って脱出することを提案します。
厳重な警戒をかいくぐって発射台まで来たロキたちですが、彼らの目の前で宇宙船は隕石があたって爆発してしまうのでした。
『ロキ』シーズン1第3話の考察と解説
第3話では、TVAの内情や第2話で姿を現した変異体の素性が少し明らかになってきました。
レディ・ロキかと思った変異体の名前は「シルヴィ」
第2話でロキの変異体として正体を現した女性は、ロキと呼ばれることを拒否して、シルヴィと呼ぶようロキに言います。
コミックでシルヴィという名前のキャラクターでロキと関係があるのは、2009年に『Dark Reign: Young Avengers』#1で初登場するシルヴィ・ラシュトンです。
コミックのシルヴィは、ロキによって魔力を与えられ、自分のことをアスガルド人のエンチャントレスであると思い込んでいる人間の女性です。髪の色は金髪で、ドラマでシルヴィ役を演じるソフィア・ディ・マルティノーも髪を金髪に染めていますね。
ドラマ『ロキ』のシルヴィは、レディ・ロキよりエンチャントレスに近いキャラクターになってきたようです。
ドラマ『ロキ』のシルヴィとマーベル・コミックのキャラクターの比較については、こちらの記事で解説しています。
TVA内部は変異体だらけ!
メビウスの説明では、TVAの職員はすべてタイムキーパーによって作られた人たちであるということでした。第1話で職員の1人はTVAの外の世界を知らず、「魚ってなに?」とロキに尋ねていたくらいですからね。コミックでTVAの職員はメビウスや顔のないクローンです。
しかし第3話で、シルヴィに捕まって魔法で尋問されたTVAのエージェントはもともと地球の人間だったことが明らかになります。
さらにシルヴィは、TVAの職員はすべて変異体であると言うのです。
シルヴィの背景はまだよくわかりませんが、何年もかけてTVAに対する攻撃を計画していたことから、TVAの内情をもっと知っているのではないでしょうか。
テンパッドとは
テンパッドは、TVAがタイムドアを通って時空を移動するのに使う小型のガジェットです。
『ロキ』第3話でこの装置の特徴が少し明らかになりました。
まずテンパッドは宇宙船を動かすぐらいの強力なエネルギーを必要とすること。
さらにテンパッドは、本体内にテレポートする先をいくつも記憶させておくことができる、ということです。
細かいことですが、ディスプレイに表示されるミス・ミニッツが「You’re outta juice!」と口語でエネルギー切れを教えてくれるのもお茶目ですね。
『ロキ』シーズン1第4話のあらすじ:「分岐(ネクサス)イベント」(2021年6月30日配信)【ネタバレ注意】
滅亡寸前の衛星・ラメンティス1でシルヴィはロキに自分の過去を語ります。シルヴィは子どものときにアスガルドの王宮でTVAに逮捕されたのです。
このとき彼女を捕まえたエージェントはレンスレイヤーでした。レンスレイヤーのテンパッドを奪って逃亡したシルヴィは、それから時空を転々として成長したそうです。
TVAでレンスレイヤーは、ハンターC-20が不可解な事情で死亡した、とメビウスに告げ、そのことを誰にも話さないよう命じます。
一方、ラメンティス1ではロキとシルヴィの間にロマンティックな感情が芽生えるに従って、時系列の乱れであるネクサス・イベントのエネルギーが上昇。これを感知したメビウスがロキとシルヴィを捕まえに来たため、彼らはラメンティス1から脱出できました。
TVAでメビウスはロキを罰するために彼をタイムループに放り込みます。タイムループでは、ロキがレディ・シフの髪を切ってしまったため、怒り狂った彼女にボコボコにされるイベントが延々と繰り返されるのです。
すっかり弱りきったロキはメビウスに、TVAの職員は時系列から誘拐されて記憶を消された変異体であることを打ち明けます。
同じころシルヴィを尋問したハンターB-15は、シルヴィの魔法で自分の過去を知り、自分が変異体であることを確信します。
メビウスは最初ロキの言うことを信用しません。しかし、レンスレイヤーと面会したときに彼女のテンパッドを盗んだメビウスは、そこに記録されていたハンターC-20が死ぬ前の尋問の映像を見ます。彼女はTVAではなく神聖時系列で生活していたときの記憶があった、つまり自分は変異体である、と繰り返し主張していたのです。
ロキの言葉が真実であることを確信したメビウスはロキとシルヴィを解放しようとします。しかし、テンパッドを盗まれたことに気づいたレンスレイヤーにメビウスは消されてしまいました。
ロキとシルヴィはレンスレイヤーによってタイムキーパーたちの前に引き出されます。そこにハンターB-15が乱入!彼女によって首輪のロックを解除されたロキたちはレンスレイヤーたちと混戦になります。
警護のミニットマンを倒してレンスレイヤーを気絶させたシルヴィはタイムキーパーの首を切り落としました。しかし、タイムキーパーはニセモノ、ただのアンドロイドだったのです!
意識を取り戻したレンスレイヤーは、シルヴィの目の前でロキを消してしまいます。復讐に燃えるシルヴィはレンスレイヤーを倒して真実を話すよう求めるのでした。
ミッド=クレジット・シーンでは未知の廃墟でロキが目を覚ますと、年寄りのロキ、子どものロキ、ワニのロキ、黒人のロキに囲まれていました。彼らは、ロキに地獄に行きたくないなら、自分たちと一緒に来るように、と言います。
『ロキ』シーズン1第4話の考察と解説:結末の意味は?
第4話でドラマ『ロキ』は後半戦に突入しました。TVAや神聖時系列の仕組みの解説は一段落して、いよいよ本格的なストーリー展開に入っていくようです。
TVAによって消される(prune)ことの意味
第4話ではメビウスとロキがレンスレイヤーの手でいきなり消滅させられて、ドッキリさせられました。
このキャラクターを消すことを表現する用語として、ドラマ『ロキ』の原語ではpruneという単語が使われています。「Prune」とは、木などを刈り込む、剪定するといったことから、余分な部分を取り除くといった意味で使われる動詞です。
見た目にはキャラクターを消し去っているようですが、「取り除く」だけなので、永遠に消されてしまうわけではありません。他の場所で、別の形態で復活する可能性もあるようです。
実際、ドラマのロキもすぐにミッド=クレジット・シーンで目を覚ましています。
第4話結末の考察:コミックの少年ロキとの関連を解説
ミッド=クレジット・シーンでは、さらにロキの新たな変異体が登場しました。画像の左から2人目の少年は、子どもの姿のロキです。
コミックの世界では、クロスオーバー・ストーリーライン「Siege」で死んだことになっていたロキが、フランス・パリのストリート・ギャンブラーの少年として復活しています(『Thor』#617)。
この子どものロキは記憶を失っていましたが、彼を見つけ出したソーによってその一部を取り戻しました。
ソーは、ラグナロクで壊滅したアスガルドを復興しますが、アスガルドで仲間はずれの少年ロキは地球に戻ります。
ある日、少年ロキはカササギを通じて前世のロキの霊から、自分が戦いで自らを犠牲にして復活する運命であると知らされることに。
この道をたどりたくない少年ロキは、前世のロキをイコル(Ikol)という名前のカササギのなかに閉じ込めます。ですが、あるとき少年ロキは何も知らずにメフィストが世界征服に使うアイテムを作ってしまいます。
自分の消滅と引き換えにこのアイテムを無力化するため、少年ロキはイコルをロキとして復活させるのでした。
このようにコミックの少年ロキは、新しい人生を始めようとしても昔の自分にもどる運命の悲劇的キャラクターと言えるでしょう。
このコミックの少年ロキの運命は、自らのアイデンティティーと直面することで素直な心を見つけ出していくドラマのロキの姿とある程度重なるかもしれません。
第4話結末の解説:老人ロキ
ミッド=クレジット・シーン画像の右端には、老人のロキも見られます。
この老人のロキの衣装のデザインは、1962年10月に『Journey into Mystery』#85で登場したロキの衣装のデザインを踏襲したもののようです。
ロキのキャラクターのデザインとしては60年近く前の最初期のものなので老人の姿になった、ということでしょうか。
第4話結末の解説:黒人のロキ
ミッド=クレジット・シーンの左端に写っているソーのような格好をした黒人のロキは、「自慢げなロキ(boastful Loki)」と呼ばれています。
コミックの世界で黒人のロキが登場したことはないため、このキャラクターが何に着想を得たかは不明です。
「Secret Wars」ストーリーラインのドクター・ドゥームによって作られた世界・バトルワールドを取り締まっている集団に「Thor Corps(ソー軍団)」と呼ばれるものがあります。そこには、ファルコン、ウォーマシン、ブレイドといった黒人のヒーローも所属していました。
ドラマ『ロキ』で登場した黒人のロキとの関連は薄そうですが、「Secret Wars」のストーリーラインは今後のMCUを読み解くカギになるかもしれません。
『ロキ』シーズン1第5話のあらすじ:「未知への旅(Journey into Mystery)」(2021年7月7日配信)【ネタバレ注意】
シルヴィはレンスレイヤーに消されたロキがボイドと呼ばれる次元に送られたことを聞き出します。TVAは捕まえて消滅させた変異体をすべて時間の終わりにあるボイドという次元に送って閉じ込めていたのです。
一方、ボイドでロキはアリオトと呼ばれる巨大な雲の生き物がボイドからの脱出を阻んでいることを知ります。
シルヴィはロキを救出するため、レンスレイヤーのテンパッドを奪って、自らを消滅させます。ボイドに到着したシルヴィは危うくアリオトに飲み込まれそうになりますが、駆けつけたメビウスのおかげで命拾いしました。
ロキは自分の変異体たちとともに、彼らの隠れ家で一杯やりながら、ボイドから脱出する方法を考えています。するとそこに、黒人のロキの裏切りで彼らの居場所を知ったアメリカ大統領候補ロキが、手下のロキの変異体を引き連れて乗り込んできました。
変異体が同士討ちをするなか、ロキは子供のロキや老人のロキとともにこっそり脱出。丘の上でロキがアリオトを倒す方法を思案していると、そこにメビウスとシルヴィがやってきます。
シルヴィはアリオトを魔法にかけてTVAの黒幕を探り出そうと提案します。シルヴィと一緒にボイドに残ることにしたロキに別れを告げて、メビウスはシルヴィが盗んできたテンパッドを使ってTVAに戻っていきました。
手に手をとりあってアリオトに戦いを挑むロキとシルヴィ。老人のロキがアスガルドの巨大な幻影を作り出して、アリオトをおびき寄せます。
アリオトがアスガルドの幻影と老人のロキを飲み込んでいるすきに、ロキとシルヴィは力を合わせてアリオトに魔法をかけます。魔法で生じた雲の切れ目から見えた城に向かって、最後の謎を解くため、ロキとシルヴィはさらに進んでいくのでした。
『ロキ』シーズン1第5話の考察と解説
ボイド(空虚、The Void)とは
ロキ第5話ではまず消去(prune)された変異体が送り込まれる場所が明かされました。TVAが使う棒は、分岐した存在を完全に消去するのではなく、時間の終わりにあるボイドという場所に送り込む道具のようです。
ボイド(空虚、The Void)とは、「すべての存在が一点に交差して停止する場所」です。ボイドはさまざまなユニバースの時間の終わりに存在するため、TVAがそこに変異体を送り込んでも、そこから先に発展する心配がありません。
この設定で重要な点は、MCUの時間の流れには終点があり、そこですべてのユニバースの時間は一点で交差する、ということです。この設定は、ユニバース同士が衝突して消滅するという壮大なシナリオの伏線になるかもしれません。
さらに変異体を完全消去しないで送り込める場所を作ったことで、MCUのキャラクターには無限の変異体が登場する可能性も開かれました。第5話でも、無数のロキの変異体が登場して乱闘になっています。この設定は、ディズニー・プラスでマーベルのキャラクターの別の姿を描くアニメシリーズ『What If...?』を展開していく前提ともなるでしょう。
さて、TVAに捕まった変異体たちが送り込まれるボイドという空間は、平和なパラダイスではありません。その空は巨大な雲のような怪物・アリオトで覆われおり、逃げようとしたり、油断したりするとすぐに飲み込まれてしまうのです。
アリオト(Alioth、アライオス)とは
ロキ第5話で登場したアリオト(Alioth、アライオス)は、ボイドの住民の生命を脅かすばかりでなく、その背後にある城への通り道を守っている番犬のような存在です。
一方、コミックのアリオトはMCUのアリオトよりもはるかに強力な存在でした。1993年に発行された4話完結のミニ・シリーズ『Avengers –The Terminatrix Objectives』でアリオトは登場しています。
コミックのアリオトは宇宙で時間の制限から自らを解放した初めての存在であるといわれ、彼の支配する領域は何千年にも及び壮大なものです。同じように時空を移動するヴィランである征服者・カンの宿敵で、カンが領域を拡大するのを邪魔しています。
カンの方でも、アリオトに侵入されないようにバリアを張り巡らせていました。しかし、カンを冬眠状態にして実権を掌握したカンの愛人・ラヴォナ・レンスレイヤーがこのバリアを間違って壊してしまいます。
このため、アリオトがカンの領域ばかりでなく時空のあらゆるところまで侵入するという危機が生じました。このため冬眠状態から呼び起こされたカンがアベンジャーズと手を結んでアリオトに立ち向かうことになります。
コミックではファンタスティック・フォーの宿敵でもあった超大物ヴィランの征服者・カン。MCUでは2022年以降に公開される予定の映画『アントマン&ワスプ:クワントゥメニア(原題)』にジョナサン・メジャーズがカンに扮して登場することが決定しています。
ドラマ『ロキ』では、すでにコミックでカンの恋人であったラヴォナ・レンスレイヤーが重要な役割を果たしています。
第5話でアリオトも参戦したことで、ドラマ『ロキ』には今後MCUで征服者・カンが登場するための伏線が幾重にも張りめぐらされていることが明らかになってきました。
ちなみに、現実の世界でAliothとは北斗七星のを形成する恒星の1つである、おおぐま座イプシロン星のことです。日本では「アリオト」と表記されています。
『ロキ』シーズン1第6話のあらすじ:「とわに時を いつでも」(2021年7月14日配信)【ネタバレ注意】
時の終わり(the End of Time)にある城砦(シタデルthe Citadel)の玄関でロキとシルヴィをミス・ミニッツが出迎えました。ミス・ミニッツは彼らののぞみを何でもかなえてやるから、もとのタイムラインに戻るよう言います。ですがロキたちは彼女の申し出を断って先に進みました。
TVAでレンスレイヤーがミス・ミニッツから重要な情報をダウンロードして逃げる準備をしていると、メビウスが入ってきます。メビウスを振り切ってレンスレイヤーは「自由意志(free will)」を探しにタイムドアを通ってどこへともなく消えていきました。
ハンター・B-15は仲間のミニットマンたちにレンスレイヤーは学校の校長先生の変異体であることを示します。
ロキとシルヴィはついにシタデルの主である「在り続ける者」(He Who Remains)と対面することになりました。「在り続ける者」は彼の変異体たちが引き起こしたマルチバース戦争を終結させたあと神聖時系列とそれを管理するTVAを作ったのです。
想像もつかないほど長い間時系列を管理するのに飽き飽きした「在り続ける者」は、TVAの仕事をやめたいのです。時系列の分岐が始まるなか、「在り続ける者」はロキたちに自分を殺してマルチバース戦争を再発させるか、彼の後継者としてTVAの管理を引き受けるかの選択を迫ります。
シルヴィは「在り続ける者」を殺そうとしますが、ロキは彼女を止めようとします。シルヴィはロキにキスをしてから彼をTVAに送り返し、「在り続ける者」を殺してしまいました!
シタデルにひとり残ったシルヴィの前で時系列が無秩序に分岐していきます。
TVAの本部でB-15とメビウスと再会したロキは、「在り続ける者」とその変異体のことについて彼らに説明しますが、彼らはロキが誰だかわからないようです。ロキはTVA本部にあるタイムキーパーの銅像が「在り続ける者」のものに替わっていることに気づいて愕然とするのでした……。
ミッド=クレジット・シーンロキがシーズン2で戻ってくることが予告されます。
『ロキ』シーズン1第6話の考察と解説
「在り続ける者」とは
「在り続ける者」はロキ第6話でついに登場したTVAの黒幕です。この役は『アントマン&ワスプ:クワントマニア』で征服者カーンを演じる予定のジョナサン・メイジャーズが務めています。
ドラマ『ロキ』では征服者カーンの名前は一切出てきません。メイジャーズはドラマ『ロキ』に征服者カーンの役で出演することはない、と言っていましたが、完全な嘘ではなかったことになります。
コミックの世界では「在り続ける者」と征服者カーンは時間を操作することができるという共通点があるだけの、完全に独立した別のキャラクターです。
MCUでは「在り続ける者」にはマルチバース戦争を始めた多数の変異体が存在する設定で、征服者カーンもそのひとりです。
コミックでは征服者カーンの変異体のひとりが時間を超越した空間に入ってイモータス(Immortus)となり、時系列をまとめようとしました。このためイモータスは自分の変異体やアベンジャーズと対立することになります。
MCUの「在り続ける者」はコミックのイモータスに近いキャラクターと言えます。ドラマ『ロキ』ではシルヴィもコミックのレディ・ロキとエンチャントレスを混ぜた独自のキャラクターとして構想されていますから、「在り続ける者」とイモータスを混ぜることも不自然ではありません。
ドラマ『ロキ』シーズン1の結末を解説・考察
シルヴィが「在り続ける者」を殺したことの意味
シルヴィが「在り続ける者」を殺したことで一本だった神聖時系列が無限に分岐して、MCUは本格的にマルチバースの時代に突入しました。さまざまなキャラクターの変異体が別のユニバースで別の物語を展開する可能性が開かれたのです。それと同時にマルチバース間の全面戦争も風雲急を告げ始めています。
これは、MCUのキャラクターの別の可能性を描くアニメシリーズ『ホワット・イフ』や映画『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』の基礎となる重要な設定です。さらに時空を自由に移動できる征服者カーンがフェーズ4以降、いくつもの作品にまたがるサノスのような超巨大ヴィランとなる可能性が高まってきました。
マルチバースの時代に入ったことで、マーベル・スタジオが展開するトム・ホランドのスパイダーマンと、ソニーが製作するアニメのスパイダーマンのキャラクターが交流する可能性も出てきました。
映画の世界ではアニメとCGIと実写の融合が急速に進んでおり、マルチバースという世界観は無限の可能性を秘めています。
ドラマ『ロキ』シーズン1の結末でシルヴィが「在り続ける者」を殺したことは、この無限の可能性が開かれたことを象徴的に示したものと考えられます。
シルヴィは子どものときにTVAに捕まってから長い間、逃亡生活を余儀なくされていました。このような彼女がTVAの黒幕である「在り続ける者」を殺した背景には、自分と同じように逃亡生活を強いられた変異体たちが自由に生きられる可能性を作る、という動機もあると言えます。
ドラマ『ロキ』シーズン2のあらすじ・ヴィランを予想
ドラマ『ロキ』はシーズン2に続くことがミッド=クレジット・シーンで予告されました。
シーズン2の物語は、ロキがメビウスやハンター・B-15と協力して「在り続ける者」や征服者カーンと対立することになると考えられます。
「在り続ける者」は自分の変異体が多数存在すると言っているため、ジョナサン・メイジャーズが演じるこのヴィランはシーズン2にも登場するでしょう。
「自由意志」を探す、と言ってどこへともなく消えていったレンスレイヤーも、本格的なヴィランとなって帰って来る可能性があります。
シーズン1の結末で、「私はあなたと違う」と言ってロキと別れることになったシルヴィの運命も気になるところ。ロキと性格が違っても、彼と出会えたことは彼女にとって人生の重要なイベントだったはずです。
ロキとシルヴィの関係がこれからどのように展開されるのか、シルヴィがヴィランとなってロキと対立するのか?といったこともシーズン2の大きな見どころと言えます。
ドラマ『ロキ』シーズン2は2023年10月5日から配信が始まりました!
『ロキ』シーズン2のあらすじなどの詳しい解説は、以下の記事をお読みください。