MCUのウロボロス/OBはTVAのエンジニア
MCUドラマ『ロキ』シーズン2第1話で初登場したOBことウロボロスはTVAの主任エンジニアであり、実際には唯一のエンジニアです。
そのため、彼は時間旅行のための装置を含む、全ての部門のツールや設備の保守と修理を担当しており、これは複雑なテクノロジーを管理する重要な役割です。このためOBはTVAやその装置についての本まで書いており、TVAの設備の全ては彼が開発したものか、彼が修理できるものである、とさえ言われています。
幸運なことに、OBは天才的な頭脳の持ち主であるばかりでなく、仕事熱心です。実際、『ロキ』シーズン2第1話では、ロキとメビウスが現れるまで400年もの間、誰も彼を訪れなかったにもかかわらず、縁の下の力持ちとして働き続けていました。
ウロボロスにOBというあだ名をつけたのは、過去にタイムトラベルしたロキです。
ウロボロス/OB役を演じるのはキー・ホイ・クァン
ウロボロス/OB役を演じているのは、中国系ベトナム人でアメリカの俳優・キー・ホイ・クァンです。彼が『ロキ』シーズン2に出演するという噂は、番組がスタートする前から確認されて話題となっていました。
1971年にベトナムで生まれたクァンは、子どものときに家族と一緒にアメリカに移住しました。12歳のとき『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)のショート・ラウンド役で映画デビューを果たし、1年後には『グーニーズ』(1985年)で少年発明家・リチャード・ 'データ'・ ワンとして出演しています。
その後演技から長い間離れていた後、クァンは『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)でミシェル・ヨー、ステファニー・フー、ジェイミー・リー・カーティスと共演し、アカデミー助演男優賞を受賞しました。
実はクァンがマーベルコミックの実写化に関与するのは、今回が初めてではありません。
20世紀フォックスが2000年に製作した『X-MEN』に、クァンは武術指導や通訳として参加していました。
ウロボロスとヨルムンガンド:北欧神話とMCUのロキにおける意味
ウロボロスとは、古代世界に広く見られたシンボルの1つで、自分の尾を噛んだり飲み込んだりして環のようになったヘビ、もしくは竜を図案化したものです。
このイメージは古代エジプトや古代ギリシャの図像学にルーツを持っていますが、またMCUにおけるソーとロキの物語のもとになった北欧神話とも深い関連があります。
北欧神話でウロボロスにあたるのは、ヨルムンガンドです。
ヨルムンガンドは、ミッドガルドの蛇または世界蛇としても知られ、海に住んで地球全体を囲み、自分の尾を噛むほど巨大な蛇のような存在です。伝説によれば、ヨルムンガンドが尾を解放すると、壊滅的なラグナロクの出来事が起こるとされています。
しかし、MCUとの関連でヨルムンガンドの神話で興味深いことは、ヨルムンガンドは北欧神話においてロキの子供の1人であることです。
北欧神話では他にも、死の女神ヘルや狼フェンリルなどがロキの子供です。これらのキャラクターは『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017年)で登場しましたが、MCUではケイト・ブランシェット演じるヘラはロキの姉でした。
北欧神話では、ソーはしばしばヨルムンガンドと壮大な戦いを繰り広げ、ラグナロクの間には命をかけて対決します。
このように北欧神話の世界でウロボロス/ヨルムンガンドは、ロキと非常に深い結びつきをもったキャラクターです。
マーベルコミックのウロボロス
マーベルコミックには、MCUのウロボロスに該当するいくつかのキャラが存在します。
TVAと関連のある唯一のマーベルのウロボロスは、2005年のシーハルクのコミックに登場した「Mr. Orobourous」です。
このキャラクターはダン・スロットによって創作された、TVAの裁判官でした。マーベルのシーハルクのコミックでは、ウロボロスの綴りは、MCUや神話の伝統的なウロボロスとは少し異なっていました。
このキャラクターはまた「Mr. Paradox」のクローンであり、Mr. Paradox自体はいくつかのTVAの職員のクローンでした。Mr. Paradoxは『ロキ』シーズン2第1話に登場したドックス将軍と関連がある可能性があります。MCUのOBことウロボロスは裁判官ではありませんが、コミックのTVAの裁判官へのオマージュであることは確実です。
ドクター・ストレンジに登場するオキュルス・ウロボロスは、正確な意味でのキャラクターではなく元素魔法の伝導体ですが、古典的なウロボロスの形状、つまり自分の尾を食べる蛇のバリエーションとして描かれています。
ドクター・ドゥームはオキュルス・オロボロスの力を利用しようとしましたが、ドクター・ストレンジによって阻止されました。
また、2015年の「Silver Surfer Vol. 7 #11」に登場するアドミラル・ウロボロスもいます。彼は銀河の使者であるシルバー・サーファーと対立するキャラクターで、時間のループに閉じ込められたシルバー・サーファーと対面する場面があります。
『ロキ』シーズン1では、TVAの時間操作技術によって、個人を時間ループに閉じ込めることが示されていました。罰として時間ループに閉じ込められたロキは、何度もレディ・シフにボコボコにされています。
興味深いことに、シルバー・サーファーが陥った時間ループは「メビウスの帯」と呼ばれており、オーウェン・ウィルソン演じるキャラクターは「メビウス M. メビウス」という名前です。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』でトニー・スタークは時間旅行を実現するために、反転した「メビウスの帯」を使用しました。このようにマーベルのコミックやMCUの世界でウロボロスという名前は、時間を操作することと関連の深い名前です。
最近のマーベルでのウロボロスという名前の使用は、2022年に「Marvel's Contest of Champions」に見られました。この場合、ウロボロスは「宇宙517」に存在する組織の名称です。この組織は「バトルレルム」と呼ばれる現実において、宇宙の長老たちの支配に対抗するために結成されています。