【映画用語】アメコミ映画とは

2022年7月18日月曜日

映画用語

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Anna Marie・ベルリン・リポート
アメコミ映画とは、主にコミックスなどアメリカの漫画を映画化した作品です。 ※この記事は映画用語集の一項目です。

アメコミとは

「アメコミ」とはアメリカン・コミックスの略です。「コミックス」は漫画の一種ですが、次のような特徴が日本の漫画との違いです。

  • コミックスは続き物の雑誌として定期的に発行されます。
  • コミックスは原則的にすべてのページが色刷りです。1冊あたりのページ数は32ページほどです
  • コミックスは、1冊1タイトルが原則で、日本の漫画雑誌のようにいくつものタイトルが掲載されることはありません。

コミックスとは区別される漫画の一種に、「グラフィック・ノベル」と呼ばれる作品もあります。

連続物のコミックスと異なり、グラフィック・ノベルは1巻でストーリーが完結します。このため1巻のボリュームもコミックスよりはるかに大きなものです。

さらにグラフィック・ノベルは、日本の漫画と同じく白黒のページがほとんどです。

アメコミ映画の歴史

アメコミ映画の歴史は、1936年に公開された『フラッシュ・ゴードン』の頃から始まります。

1930年代、40年代のアメコミ映画は、主に連続シリーズとして製作されました。『バットマン』や『スーパーマン』の最初の映画化も、この時期に連続シリーズとして行われています。

1950年代にテレビが普及すると、このようなアメコミの映像化はテレビが主流となり、アメコミ映画は一時期廃れました。

しかし、1978年に公開された『スーパーマン』の大ヒット以来、映画会社は再び積極的にアメコミの実写映画化に乗り出します。

こうして1980~1990年代には、特撮やCGIも取り入れた大作映画が続々と製作されました。

2000年代に入り、ソニーの「スパイダーマン」シリーズやマーベル・スタジオの「アイアンマン」シリーズの大成功で、アメコミ映画はSFアクションのサブジャンルとして確立します。

アメコミ映画の種類

アメコミ映画は原作となるコミックスを出版する会社や、出版形態によって、次の3種類に大別できます。

  • マーベル・コミックスの作品を映画化したもの
  • DCコミックスの作品を映画化したもの
  • その他のコミックスやグラフィック・ノベルを映画化したもの

次にこれらのアメコミ映画の特徴を、種類別に解説します。

マーベル・コミックス

マーベル・コミックスは1939年にタイムリー・コミックスの名称で発足した漫画会社です。2022年現在、ウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下として、ニューヨークに本社を置いています。

代表的なヒーローは、スパイダーマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソー、アイアンマン、ファンタスティック・フォー、X-メンなどです。

マーベル・コミックスは、その作品の映像化権をはさまざまな映画会社にリリースしていました。しかし、1996年にマーベル・フィルムスを解消してマーベル・スタジオを設立したのをきっかけに、大手スタジオと共同で映画製作に本格的に乗り出します。

特に2008年に公開された『アイアンマン』から始まるマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)は、2022年までに30本の長編映画などからなる、共通の世界観を持つ一大フランチャイズとなりました。

これとは別に、「スパイダーマン」の映画化権を持つソニーは、「スパイダーマン」の実写・アニメ映画化の他、2018年に公開された『ヴェノム』以来、SSU(Sony's Spider-Man Universe)と呼ばれる世界観を共有する映画を製作しています。

しかし、このマーベル・スタジオとソニーのフランチャイズは、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021年)から、次第に融合する動きが見られます。

DC・コミックス

DCコミックスはカリフォルニア州バーバンクに本拠を置く漫画会社で、アメリカで最も歴史のあるコミックブック出版社です。

DCコミックスの代表的スパーヒーローは、スーパーマン、バットマン、ザ・フラッシュ、ワンダー・ウーマンなどです。

DCコミックスの作品は、1940年代からバットマンやスーパーマンが実写やアニメで映像化されています。

1978年にはワーナーブラザーズが配給した『スーパーマン』が大ヒット。その後、ワーナーは『バットマン』(1989年)などDCコミックスの作品の実写化を次々に世に送り出していきます。

DCコミックスには、2013年に公開された『マン・オブ・スティール』から始まる、DCエクステンデッド・ユニバース(略称:DCEU)と呼ばれる共通の世界観を有する一連の作品があります。

しかしながら、DCコミックスの映画化を手掛けるワーナーは、DCEUに属さない単体の映画も積極的につくる方針です。

2022年に公開された『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は、こういった単体の作品でDCEUには属しません。

その他

マーベルやDCコミックス以外の出版社のコミックスやグラフィック・ノベルで映像化された作品も多数存在します。

第2次世界大戦前の人気コミック・ストリップを原作にした『フラッシュ・ゴードン』や、グラフィック・ノベルを原作にした『ロード・トゥ・パーティション』(2002年)、『シン・シティ』(2005年)、『アトミック・ブロンド』(2017年)などがこのような種類に属します。

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