映画『ファーザー』のキャストやスタッフなど作品情報を徹底解説!

2021年6月17日木曜日

ヒューマンドラマ 映画

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映画『ファーザー』、写真は左からオリヴィア・コールマン、アンソニー・ホプキンス
『羊たちの沈黙』で精神病質のハンニバル・レクター博士を演じたアンソニー・ホプキンスが認知症男性の役に挑んだ映画『ファーザー』。この記事ではアンソニー・ホプキンス主演の映画『ファーザー』のキャストやスタッフの情報をわかりやすく、詳しく解説します。

映画『ファーザー』の作品情報

『ファーザー』は2021年に公開されたイギリス・フランス製作のヒューマンドラマ映画。アンソニー・ホプキンス演じる80歳代の男性と娘が、彼の進行する認知症に直面する物語です。

映画『ファーザー』の概要

ロンドンの立派なマンションに1人で暮らすアンソニー(アンソニー・ホプキンス)。80歳を超えて認知症の軽い症状が現れたアンソニーに娘のアン(オリヴィア・コールマン)はホームヘルパーをつけようとします。しかし1人で暮らせると言い張るアンソニーは、次々とヘルパーに難癖をつけて追い出す始末。

そんなアンソニーの認知症は、ときどき周りの人が誰だかわからなくなるほど進行してくるのでした……。

認知症で混乱する老人にアンソニー・ホプキンス、その対処に苦慮する娘にオリヴィア・コールマンと2人のオスカー受賞者を起用した豪華な配役の本作。

原作はフランスの中堅小説家、劇作家フローリアン・ゼレールの戯曲で、ロンドンやニューヨークの公演は絶賛されました。映画化にあたり、原作者であるゼレールが脚本も共同執筆して監督を務めています。

  • 原題:The Father
  • 監督:フローリアン・ゼレール
  • キャスト:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、ルーファス・シーウェル
  • 公開年:2021年
  • 上映時間:1時間37分
  • 製作国:イギリス、フランス

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5月14日から公開される映画『ファーザー』は、イギリスの名優・アンソニー・ホプキンスが認知症の男性役に挑んだヒューマンドラマだ。

映画『ファーザー』予告編

映画『ファーザー』のスタッフ

監督・脚本・原作:フローリアン・ゼレール

本作のもとになったのは、フランスの作家・フローリアン・ゼレールの同名の戯曲です。映画化にあたっては原作者のゼレールが脚本を執筆し、メガホンも取りました。

1976年生まれ、フランス・パリ出身のゼレールは、22歳のときに書いた小説『Neiges artificielles(原題:人工雪)』で作家デビュー。2004年には小説『La Fascination du Pire(原題:邪悪の魅惑)』で、フランス文学の権威ある「アンテラリエ賞」を受賞しています。

ゼレールは劇作家としても非常に高く評価されており、イギリス・ガーディアン紙が「現代で最もエキサイティングな劇作家」と呼ぶほどです。

本作の原作である戯曲『Le Père(原題:ザ・ファーザー)』は2012年にフランスで発表された後、2014年にロンドン、2016年にニューヨークで公演されました。2014年にフランス演劇関連では最高の賞とされるモリエール賞の最優秀脚本賞を受賞したこの作品を、イギリス・タイムズのマガジンは2010年代に最も称賛された戯曲と評しています。

脚本:フローリアン・ゼレール、クリストファー・ハンプトン

ゼレールの戯曲の映画化にあたって、イギリスの劇作家、脚本家、映画監督であるクリストファー・ハンプトンが脚本の共同執筆にあたりました。

1946年、ポルトガル領のアゾレス諸島でイギリス人の両親のもとに生まれたハンプトンは、父親の仕事の都合で13歳までイエメンやエジプトなど外国で暮らしています。

オックスフォード大学でドイツ語とフランス語を学んだハンプトンは、大学在学中から演劇に関わり、劇作家として活動し始めました。1995年には『サンセット大通り』でトニー賞を受賞しています。

フランス語を得意とするハンプトンの才能がこれまで最大限に発揮された作品が、18世紀フランスの小説を映画にした『危険な関係』(1988年)です。この映画の脚本でハンプトンはアカデミー脚色賞を受賞しています。

編集:ヨルゴス・ランプリノス

認知症の老人が直面する混乱や不安を、スクリーンを通じて効果的に観客に伝えるには、編集が重要なカギであることは言うまでもありません。

そんな本作の編集を担当したヨルゴス・ランプリノスは、フランスを中心に活動するギリシア出身の映画編集者です。2000年代初頭から映画製作の現場で編集補助の仕事などをはじめたランプリノスは、2007年に映画編集者として独立しました。

2013年からは、フランスの映画監督・ザビエ・ルグランの作品の編集を手掛けてきました。2017年に公開された映画『ジュリアン(原題:Jusqu’à la garde)』で、フランス映画の権威あるセザール賞編集賞を受賞しています。

音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

本作の音楽を担当したルドヴィコ・エイナウディは1955年生まれイタリア出身の作曲家、ピアニストです。クラシックを基調にポップ、ロック、フォークや世界の音楽を取り入れた瞑想的、内面的で端正な作風で、ヨーロッパを中心にコンサートや映画音楽で活躍しています。


来日記念盤 エッセンシャル・エイナウディ

父方の祖父は1948年から1955年までのイタリア大統領、母方の祖父はピアニスト、オペラ指揮者、作曲家という恵まれた家系に生まれたエイナウディ。彼は10代のころにフォークギターで作曲をはじめ、ミラノのヴェルディ音楽院に進学、1982年に作曲のディプロマを取得しました。

同年、作曲家・ルチアーノ・ベリオの管弦楽法の講座に参加したエイナウディは、タングルウッド音楽祭に参加する奨学金を獲得。アフリカの声楽やビートルズのアレンジもしていたベリオからエイナウディは、「音楽に対する非常にオープンな考え方」を学んだそうです。

その後エイナウディは1990年代半ばから主にイタリアで映画音楽も手掛けるようになり、数々の賞を受賞しました。特に2002年に放送されたTVシリーズ『ドクトル・ジバゴ』の音楽は、モーリス・ジャールの名曲に比肩すると高く評価されています。

2010年、『ブラック・スワン』予告編の音楽を担当。2011年にはクリント・イーストウッド監督の伝記映画『J・エドガー』や『最強のふたり』の音楽を書いています。

本作の音楽は、エイナウディ自身が演奏するピアノにビオラなど弦楽器が加わる室内楽的なスコア。さらに冒頭に出てくるパーセルのオペラのアリアなども作中で効果的に活用されています。

映画『ファーザー』のキャスト

ここからは映画『ファーザー』のメイン・キャストをご紹介します。見出しは「役の名前:俳優の名前」の順番です。

アンソニー:アンソニー・ホプキンス

本作の主人公であるアンソニーは、80代前半の元技術者の男性です。生年月日は作中で1937年12月31日であることが、彼の口から語られます。

この生年月日は、実はこの役を演じるアンソニー・ホプキンスの誕生日なのです!ホプキンスは、ある年の日付が何曜日だったかを即座に言い当てる特技を持っています。映画の中で認知症のアンソニーも自分の誕生日が金曜日であったと言って娘たちを驚かせていました。こういったことで本作の脚本がホプキンスにピッタリと合うように改変されていることがわかります。

アンソニー・ホプキンスはサイコサスペンス映画『羊たちの沈黙』(1991年)のハンニバル・レクター博士役で有名です。第2次世界大戦後から舞台俳優として活動していたホプキンスは、1960年代終わりから映画俳優として活躍してきました。

2010年代には「マイティ・ソー」シリーズのオーディンといった役も引き受けています。

アン:オリヴィア・コールマン

アンは仕事をしながらアンソニーを自分の家に引き取って彼の面倒をみようとする娘です。

アンを演じるオリヴィア・コールマンは1974年生まれイギリス出身の女優です。

TVドラマシリーズ『ピープ・ショー ボクたち妄想族』のソフィー・チャップマン役を2003年から10年以上努めたコールマン。映画女優としては『思秋期』(2011年)や『私が愛した大統領』(2012年)で注目されるようになりました。

2018年に主演を務めた『女王陛下のお気に入り』で、ベネチア国際映画祭女優賞やアカデミー主演女優賞を受賞しています。

男(ポール/ビル):マーク・ゲイティス

アンソニーのマンションの居間で、ソファーに座っていてここは自分の家だと言ってアンソニーを驚かす謎の男です。映画の結末では別の人物として登場します。認知症で人物の見分けがつかなくなった人の混乱を観客が実感するために、わざと別の名前で登場する仕掛けです。

この謎の男を演じるマーク・ゲイティスは、1966年生まれイギリス出身の俳優、脚本家、小説家です。主にイギリスのテレビや舞台で活躍しています。

ゲイティスはスケッチ・コメディ集団「ザ・リーグ・オブ・ジェントルマン」の主要メンバーの1人として最も有名です。1990年代後半から舞台、ラジオ、テレビに出演するとともに脚本を執筆してきました。

また子どもの頃から関心のあったSF『ドクター・フー』の小説を書いたり、本編にも何度か出演しています。

女(アン/ローラ/キャサリン):オリヴィア・ウィリアムズ

映画の序盤でアンソニーのマンションにやってきて、自分は娘のアンだと言ってアンソニーを困惑させる謎の女。映画の途中と結末でこれまた別人として登場します。

この謎の女を演じるオリヴィア・ウィリアムズは1968年生まれイギリス出身の女優です。ブリストル・オールド・ヴィック劇場演劇学校とローヤル・シェークスピア・カンパニーで演劇を学んだ後、1996年にテレビ映画『エンマ』で注目を集めました。

1997年、ケビン・コスナーの『ポストマン』で映画デビュー。続いてウェス・アンダーソン監督の『天才マックスの世界』(1998年)に出演、ブルース・ウィリス主演の『シックス・センス』(1999年)ではウィリスの相手役を務めました。

本作でアン役を務めるコールマンとは『私が愛した大統領』でも共演しています。

ローラ:イモージェン・プーツ

ローラは、アンソニーのために新しく雇われる明るく親切なホームヘルパー。

ローラを演じるイモージェン・プーツは1989年生まれイギリス出身の女優、モデルです。

プーツはもともと獣医さんになりたかったそうですが、実習中に動物の手術を見て気絶したため諦めたとか。17歳のときにホラー映画『28週後…』(2008年)のタミー・ハリス役に抜擢されて映画女優としての可能性が開かれました。

2011年には『フライトナイト/恐怖の夜』のエイミー・ペーターソン役で主演。それ以後、『25年目の弦楽四重奏』(2012年)、『JIMI:栄光への軌跡』(2013年)、『ニード・フォー・スピード』(2014年)といった話題作に立て続けに出演しました。

2015年春にはミュウミュウの春キャンペーンモデルも務めています。

ポール:ルーファス・シーウェル

アンの夫であるポールはアンソニーと相性が悪く、彼を施設に入れるように強く求めています。

ポールの役を務めたルーファス・シーウェルは1967年生まれイギリス出身の俳優です。イギリスを中心にテレビや舞台でも活躍しています。ちなみにファミリーネームの発音は「スーエル」が近いかも。

ロンドンのセントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ在学中にジュディー・デンチが演出した舞台に出演したことが縁でエージェントとの契約をゲットしたシーウェル。1993年にマイケル・ウィナー(『狼よさらば』)監督の映画『Dirty Weekend』のティム役でブレイクします。その後SF映画『ダーク・シティ』(1998年)で主役に抜擢されました。

ナンシー・マイヤー監督のロモンチックコメディ『ホリデイ』(2006年)などにも出演するシーウェルですが、『レジェンド・オブ・ゾロ』(2005)のアルマン伯爵役など悪役で定評があります。

映画『ファーザー』のあらすじ【ネタバレなし】

舞台はロンドンの立派なマンションの一室。80歳代のアンソニーがヘッドホンでパーセルのオペラのアリアに耳を傾けていると、娘のアンが駆け込んできます。

彼女は、アンソニーの世話をしていたホームヘルパーのアンジェラが、アンソニーに暴言を浴びせられて辞めてしまったと言うのです。しかも彼がホームヘルパーを追い出したのはこれで3人目!

アンソニーは、ホームヘルパーが腕時計を盗んだと疑っていますが、自分で風呂場に隠したのを忘れていたことをアンに指摘されます。

時計を腕に戻ってきて何事もなかったかのように再び音楽を聴こうとするアンソニーに、「話したいことがあるの」というアン。

彼女は最近出会った男性とパリに移住したいので、アンソニーがホームヘルパーを受け入れないならば、他の手段を考えなければならないと言うのです。

しかし、自分の面倒は自分で見られると主張するアンソニーに、彼を施設に入れたいとはまだどうしてもアンは切り出せないのでした。

認知症の症状が出始めたアンソニーをどうするか、アンが下す決断は?この後のあらすじは、別の記事でネタバレも含めて詳しく解説します。

この記事では映画『ファーザー』のあらすじを結末までネタバレを含めてわかりやすく、詳しく解説!認知症の老人の精神的混乱に観客を引き込むため緻密に計算されて張り巡らされた伏線を徹底的に解説します。

映画『ファーザー』の感想評価

この記事ではアンソニー・ホプキンス主演の映画『ファーザー』の作品情報、あらすじ、ネタバレなどを、特に緻密に計算されて張り巡らされた伏線に焦点を置いてわかりやすく、詳しく解説しました。

結論として本作は、認知症老人の混乱と不安を観客に実感させる斬新なストーリー展開を最大の特長とする作品として高く評価できる、という感想です。

原作はイギリスやアメリカでも好評だった戯曲で、本作も舞台のようにほとんど同じ配置の室内で物語が展開されます。一見混乱しているような印象を受ける時系列は、全編を一日の時間の進行のなかに収めるという古典的な戯曲の作法を踏襲したものです。

一方、映画化の監督・脚本を務めたゼレールは、共同脚本のクリストファー・ハンプトンとともに、舞台では実現できない映画ならではの効果も取り入れています。フラッシュバックを使って時間をずらす演出などはその典型的なものです。

映像の連続性をあえて壊すことで、認知症の老人の混乱と不安を観客に感じさせるヨルゴス・ランプリノスの編集は、複雑な脚本に隠された一貫性を維持しています。

主演のアンソニー・ホプキンスと並んで舞台俳優としての経験も豊富な脇役陣も、戯曲が原作でセリフ回しが重要な本作にピッタリです。

クラシック音楽を活用したエイナウディの音楽は、目立たずストーリー展開をしっかり支えています。

監督・脚本・原作をフランス人、キャストはイギリス人、編集はフランスで活躍するギリシャ人、音楽はイタリア人が務めた映画『ファーザー』。アメリカ映画とは異なる、イギリスやヨーロッパの映画の古典的な芸術に裏打ちされた奥深さを感じさせる作品です。

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