映画「キューブ」シリーズ:キューブの目的や黒幕について考察

2021年9月28日火曜日

SF ホラー

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映画『キューブ』(1997年)
この記事ではSFホラー映画「キューブ」シリーズに登場する死のダンジョン「キューブ」の目的と黒幕についてネタバレ考察します。

キューブの目的や黒幕は謎に包まれている

映画「キューブ」シリーズは多数の立方体の小部屋で構成される、殺人トラップ(罠)が張り巡らされた謎のダンジョン「キューブ」から脱出しようとする男女の死闘を描くSFホラーです。キューブの仕掛けについては以下の記事をご覧ください。

この記事では映画『キューブ(CUBE)』(1997年)の死の迷宮キューブの仕組みをくわしくネタバレ解説します。映画『キューブ(CUBE)』の結末のネタバレも含みますので未鑑賞の方はご注意ください。

映画「キューブ」シリーズの設定は謎に包まれている部分が多いです。

特に第1作目では周りの世界を始め、誰がどのような目的でキューブを建設させ、囚人たちはなぜそこに閉じ込められたのか、一切明かされません。

これに対して、第2作目と第3作目ではキューブの目的や黒幕がある程度明らかにされます。ただし、第1作目の監督・脚本を務めたヴィンチェンゾ・ナタリは自分の考えたキューブの設定の詳細を公表していません。

したがって、続編での設定はナタリが最初に考えたものとはまったく異なる可能性もあります。

これに対してナタリをクリエイティヴ協力に迎えた日本のリメイクでは、第1作目をリスペクトしてふたたびキューブの目的や黒幕は謎に包まれたままになる可能性が高いです。

ここからは映画「キューブ」シリーズにおけるキューブの目的と黒幕について、作品ごとに考察します。

『キューブ』(1997年)で推測されるキューブの目的と黒幕

映画『キューブ』(1997年)

キューブの外の世界に関する情報は第1作目のなかでほとんど言及されません。キューブの建設された場所や時代は不明です。映画『キューブ』(1997年)のあらすじについてはネタバレも含めて以下の記事で詳しく解説しています。

この記事では映画『キューブ』(1997年)のあらすじを結末までくわしくネタバレ解説します。

キューブのなかの囚人は北アメリカ訛りの英語を喋っています。さらに囚人のひとりで脱獄の名人であるレンヌは別名「アッティカの鳥」と呼ばれていました。このあだ名は米国のアッティカ刑務所にちなんでつけられたものと思われます。

これらのことから。キューブは北アメリカにあるものと推測されますが、米国の施設である証拠はありません。

しかし、続編となる『キューブ2』で登場するアメリカ軍の大佐は、1作目のキューブの特徴に言及しているため、アメリカ政府が関与している可能性は大きいです。

誰がこのような施設を建設したかについては、医師のハロウェイは「軍産複合体以外にはこの規模の施設を建設することはできない」と推測しています。

『キューブ2』(2002年)で明かされるキューブの目的と黒幕

映画『キューブ2』(2002年)

第2作目ではIZONという名前の企業がキューブを建設したことが明らかにされます。

キューブの外の世界のシーンや囚人の時計などから、時代は現代であることが示唆されています。

しかし、この映画のキューブは時空をまたぐ4次元キューブ(テッセラクト)であるため、正確な位置は特定できません。

IZONは民間企業ですが前述の通りアメリカ軍の大佐が登場するため、アメリカ政府が深く関与する軍需産業である可能性が大きいです。

ソフト版に収録されている長尺の結末ではキューブの「所有者」は政府であることが示唆されます。キューブから生還したケイトは軍人で、ハッカーのアレックスを抹殺する命令を受けてキューブに送り込まれたのでした。これに対して短い版の結末ではケイトの任務や身分は明らかにされないため、キューブの所有者はIZONである印象を受けます。

キューブの目的は量子テレポーテーションの実験でした

『キューブ ゼロ』(2004年)におけるキューブの目的と黒幕

映画『キューブ ゼロ』(2004年)

第1作目の前日譚である『キューブ ゼロ』ではキューブの外の世界がかなり明らかにされました。

キューブはその内部を監視してメンテナンスする技術者や、彼らを管理する人たちによって運営されています。

キューブのなかに閉じ込められた人たちは死刑囚です。彼らは通常の処刑方法のかわりにキューブのなかに閉じ込められることを意図的に選択した死刑囚で、キューブに入る前に記憶を消されています。

キューブを運用している政府は国民を弾圧する全体主義的国家です。このことはキューブのなかに政府に反対する活動家が閉じ込められていることからわかります。

キューブの技術者のひとりは、キューブの中にいる女性のひとりが合意なしにキューブに閉じ込められていることを発見。彼女が政府に抗議する活動をしていたことを報じる新聞の写真を見たことから、キューブが政府に反対するひとたちの口封じにも使われていることを確信します。

2作目でもキューブのなかに閉じ込められた人たちはすべてIZONにとって都合の悪い人たちでした。

こういったことから、2作目と3作目ではキューブの黒幕は政府または軍需産業で、キューブの目的は都合の悪い人物を抹殺することである、と言えます。

『CUBE 一度入ったら、最後』(2021年)におけるキューブの目的と黒幕

映画『CUBE 一度入ったら、最後』(2021年)、ポスター

日本のリメイクにおける新しいキューブの特徴は、登場人物の感情に反応する相互作用(インタラクティブ)な点です。

デジタル・ガイドブックにおけるインタビューでナタリ監督は、相互作用は「キューブが人間の行動研究に関するある種の実験である」ということの証明である、と語っています。

さらにナタリ監督は、これは実験というか厳密には「事例」であるとも言っていました。彼の発言は、日本のリメイクにおけるキューブの目的が人間の行動に関する事例研究である可能性を示唆していると思われます。

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