映画『レミニセンス』あらすじ・ネタバレ解説・考察・キャスト

2021年9月15日水曜日

SF サスペンス

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映画『レミニセンス』
この記事ではSFサスペンス映画『レミニセンス』のあらすじをネタバレ解説・考察します。さらに登場人物やキャスト、監督と製作を務めたリサ・ジョイとクリストファー・ノーランについても紹介しました。

映画『レミニセンス』の基本情報

映画『レミニセンス』は、ヒュー・ジャックマン演じる主人公が記憶を追体験しながら失踪した恋人を探すSFスリラーです。

『インセプション』などで知られるクリストファー・ノーランの弟で、『ダークナイト』などの脚本を共同執筆したジョナサン・ノーランが共同製作。

ジョナサンの妻であり、彼とともにドラマ『ウエストワールド』を送り出したリサ・ジョイが製作、監督、脚本を務め、長編映画監督デビューを果たしました。

  • 原題:Reminiscence
  • 監督:リサ・ジョイ
  • キャスト:ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、クリフ・カーティス
  • 公開年:2021年
  • 上映時間:1時間56分
  • 製作国:アメリカ

映画『レミニセンス』本予告

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映画『レミニセンス』のあらすじ【ネタバレなし】

映画『レミニセンス』の舞台は戦争と気候変動で水没しかかっている近未来のマイアミ。未来に希望を見いだせない人びとに残された楽しみは、過去の幸せな記憶を追体験することだけです。

このような街に生きる主人公・ニック・バニスターは人びとに安全に記憶を追体験させることを可能にするビジネスを経営しています。

ある日、メイと名乗る女性が閉店直前のニックの店に鍵を探すため自分の記憶を探ってほしいと入ってきました。鍵は簡単に見つかりましたが、メイはニックの店にイヤリングを忘れていきます。

イヤリングを返すためにメイが歌手をしている店を訪れたニックは彼女に一目惚れ。そのまま2人は恋仲になりますが、メイはやがて失踪してしまいました。

彼女の行方を探すため、ニックは自分の記憶の世界で必死に手がかりを探します。ある日ニックは、エイヴリー・カスティーリョ検事の依頼で瀕死のギャングの記憶を探る仕事を引き受けました。

ニックの前に映し出されたギャングの記憶には、ニュー・オリンズの麻薬王・セント・ジョーの愛人だったメイの姿が……。ニュー・オリンズとマイアミの危険な裏社会を探りだしたニックは、やがてメイが彼に近づき失踪した本当の目的をつきとめます。

映画『レミニセンス』のネタバレ解説1:レミニセンスの基本原理

映画『レミニセンス』

タイトルの「レミニセンス」とは「過去を振り返ること、回想、追想」という意味の英語。この映画では対象となる人物の記憶にアクセスして追体験させる技術・装置の名称でもあります。

レミニセンスの対象となる人物は麻酔を打って感覚をなくし、半分まで水がはられたタンクのなかに横たわります。ニックの役割は船の漕ぎ手のように対象者の記憶を巧妙に呼び起こすことです。

ニックとワッツは記憶の世界に安全に戻れる技術に精通しているため、多くの常連客がいます。

ニックの案内で対象者の頭部に装着したリングを通して感知された記憶がプロジェクターに映し出される間、対象者は記憶を生々しく追体験します。それはあたかも記憶の世界にタイムトラベルしたような強烈なもので、法廷で証拠として通用するほどのものです。

対象者の記憶はメモリーカードに記録され、ニックの店の金庫に厳重に保管されています。この金庫からある人物の記憶のメモリーカードを奪うことが、メイの背後にいる黒幕の狙いでした。

レミニセンス(記憶潜入)の原理とルールについては以下の記事でくわしく解説しています。

この記事では映画『レミニセンス』の記憶潜入のルールをわかりやすく解説します。映画のネタバレを含む可能性がありますので、未鑑賞の方はご注意下さい。

映画『レミニセンス』のネタバレ解説2:映画『レミニセンス』の真の黒幕は?

映画『レミニセンス』

映画『レミニセンス』の真の黒幕は、メイを使ってニックの店からメモリーカードを盗ませるセバスチャン・シルヴァンです。そのメモリーカードには、最近亡くなったセバスチャンの父・ウォルターの愛人であったエルサの記憶が記録されていました。

セバスチャンの父親・ウォルターはマイアミの「バロン」のひとりに数えられる大金持ちです。ウォルターはエルサ・カリンという若い女性と不倫して、婚外子を作っていました。

エルサはウォルターとの幸せなひとときをニックの店で何度も追体験しており、その記憶が店の金庫に保管されていたのです。

ウォルターの没後、婚外子と遺産を分割したくないセバスチャンはエルサと子どもを殺してその記憶を抹殺しようとします。

この仕事にセバスチャンは麻薬ビジネスに関与していた汚職警官・ブースを雇いました。ブースは麻薬王・セント・ジョーの麻薬を盗んでニュー・オリンズからマイアミに逃げたメイを脅迫し、彼女を無理やりニックに近づけたのです。

メイがニックの店からエルサの記憶の入ったメモリーカードを盗み出したので、万事計画通りにいくかに見えました。

しかし、ブースがエルサばかりでなく彼女の子どもを殺そうとしたことと、メイがニックを本当に好きになってしまったことで計画が完全に狂ってきます。

映画『レミニセンス』のネタバレ解説3:メイの計画

映画『レミニセンス』

ニックに近づくためのメイの策略

ニックに近づくためのメイとブースの計画は実に巧妙なものでした。

メイはニックが自分と恋に落ちるように、彼の身辺を調査します。この調査は、ニックの軍隊時代の友人からニックが大好きだった歌を聞き出すほどの徹底ぶりです。

このようにニックの人柄を調べ上げたメイは、彼の店を訪れたときにわざとイヤリングを置いてきます。まんまとひっかかったニックはイヤリングを返すために彼女のもとを訪れ、恋に落ちました。

ニックと恋仲になったメイは、彼の行動を仔細に観察して、エルサの記憶のメモリーカードを金庫から盗み出すことに成功します。ニックは金庫を開けるパスワードの代わりに、自分の祖父がよくハミングしていたメロディーを使っていたのです。

しかし、メイはニックと時を過ごす間に彼のことを本気で愛するようになっていました。さらにブースがエルサの子どもを殺そうとしたため、彼女は子どもの命を守るため立ち上がります。

エルサの子どもを救うためのメイの計画

エルサの子どもを救出して秘密の場所に預けたメイは、ニックに助けを求めるため彼の店を訪れました。しかし、店の前で待ち伏せしていたブースに捕まったメイは、そのまま車で連れ去られます。

そのとき彼女はニックが自分を探すように、とっさにイヤリングを外して道に落としていきます。案の定、イヤリングを見つけたニックは彼女を必死で探し始めました。

一方、子どもの居場所を聞き出すため、ブースはメイを麻薬漬けにして拷問します。

このままでは子どもの居場所がわかってしまうと思ったメイは、ブースの記憶のなかにニックへのメッセージを残して自殺します。

彼女のメッセージはニックにだけわかる方法で子どもの居場所を知らせると同時に、ニックへの愛と別れを告白するものでした。ニックはブースを捕まえて彼の記憶を探ったことで、彼女のメッセージと死を追体験することになります。

映画『レミニセンス』のネタバレ解説4:ニックの選択

映画『レミニセンス』

真相をすべて知ったニックは、ブースの記憶から最もトラウマとなっている記憶を探り出し、その記憶をブースの精神に「焼き付け」重大な傷害を負わせました。

その後、ニックはワッツのもとを訪れます。愛人と隠し子を殺して遺産を独り占めにしようとしたセバスチャンとブースの計画と彼らへの復讐の顛末をニックはすべてワッツに告白しました。

ニックは人の精神を深く傷つけるという重大な罪を犯した償いをしなければなりません。しかし、セバスチャン・シルヴァン一族の犯罪を暴いた功績で、ニックは刑務所に入らなくてもよくなりました。

そこでニックは自分の店の記憶体験装置のなかで、メイとの楽しい思い出に繰り返し浸りながら残りの人生を過ごすことを選択します。

この結末は、『インセプション』のように、映画全体がニックの追体験する記憶だったのではないか、という疑問をわかせます。

そこで次の項目からは、映画『レミニセンス』のいくつかの疑問点について考察しましょう。

映画『レミニセンス』の考察1:映画『レミニセンス』はすべてニックの記憶か?

映画『レミニセンス』

映画『レミニセンス』の結末は、冒頭のニックのセリフと同じ言葉が出てくるため、観客は記憶のループに陥ったような錯覚を味わいます。

映画の結末で年をとったニックが記憶体験装置のなかに横たわり、孫娘を連れたワッツが彼の面倒を見ていました。このため、その直前までがニックの記憶のループである、と考えることは妥当です。

しかし、映画全体がニックの追体験する記憶であると考えるには、いろいろと不都合なことがあります。

まず、ニックが装置のなかで追体験する記憶のチャプターは「なくした鍵」から始まっているので、映画の冒頭と合っていません。

さらに、ニックとメイの物語はハッピーエンドではないので、そのまま追体験するには不向きです。

とはいえ、『インセプション』の結末ほどではありませんが、映画『レミニセンス』の結末は観客にさまざまな解釈を許す謎めいたものであることは否定できません。

映画『レミニセンス』の考察2:気候変動と戦争の原因

映画『レミニセンス』

映画『レミニセンス』のマイアミは、気候変動で気温が上昇したため海面が上がって街の一部が水没しかかっていました。さらに日中の気温が耐え難いため、人びとは昼間に寝て、夕方から起きて夜に活動するようになっています。

このような急激な気候変動の原因は不明ですが、このため国境で戦争がおきています。この戦争の原因も映画のなかでは言及されません。

しかし、気候変動の影響で貧しい国の人びとが生活の場を求めてアメリカに押し寄せ、国境で紛争が起きて戦争になったと考えられます。

リサ・ジョイ監督はSFを「現代に起こる出来事の大いなる比喩」であると考えています。水没するマイアミというアイデアも、マイアミで海面の上昇に対処するため堤防を建設することが計画されている、というニュースから着想を得たそうです。

国境紛争については、近年の経済移民をめぐるアメリカとメキシコの国境問題がヒントになっている可能性は高いです。

映画『レミニセンス』の考察3:オルフェウスの神話は映画の物語と呼応している

映画『レミニセンス』

映画の中盤と結末でニックはメイを連れて高い塔に登ります。塔の上でメイはニックに幸福なお話を聞かせて、とねだります。ハッピーエンドの話などないというニックにメイは、それでは悲しいお話の途中でやめればいい、と応えました。

そこでニックはギリシア神話のオルフェウスの物語をはじめます。

詩人・音楽家であるオルフェウスは若くして死んだ妻・エウリュディケーを取り戻すため、死者の国に入ります。

オルフェウスの竪琴の音色と弁舌に心を動かされた死者の国の王・ハデス。彼は、地上に出るまでは後ろを振り返らないという条件をつけて、オルフェウスがエウリュディケーを連れ帰ることを許しました。

ここでニックは、オリジナルのギリシア神話を離れて、地上に戻ったオルフェウスとエウリュディケーはいつまでも幸せに暮らしました、という落ちに変えています。このハッピーエンドが映画の結末になっています。

一方、オリジナルのギリシア神話では、地上に出たオルフェウスはエウリュディケーを待ちきれずに後ろを振り返ってしまうのです。まだ地上に到達していなかったエウリュディケーは、あっという間に死者の国に引き戻され消えていきました。

このギリシア神話の悲しい結末は、ニックが地獄のような暗黒街でメイを見つける手がかりを得た直後に彼女の死を知ることになるという映画の物語に対応しています。

映画『レミニセンス』の考察4:ラストシーンの意味

映画『レミニセンス』

映画『レミニセンス』は記憶に関する2つの異なる意見が提示されて結ばれます。

記憶の世界に浸るニックにとって記憶は、別れた人と再開できる場所です。

これに対して、過去にこだわり続けることで目の前に起きていることに盲目になる可能性も映画では指摘されています。

メイとの記憶を探り続けるニックは、ワッツが彼に寄せる思いを長く気がつけませんでした。

映画の結末でニックの面倒を見るワッツに彼女の孫娘はニックがいなくて寂しくないかと問います。ワッツは、人がいなくなって寂しく感じるのは人生の一部であり、悲しい気持ちがあってこそ人生の甘さを感じることができる、と応えました。

このように映画『レミニセンス』は、過去を振り返る(レミニセンス)という行為が持つ力について深く考えさせる物語となっています。

映画『レミニセンス』の登場人物・キャスト

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※スライドショーは『レミニセンス』ロサンゼルス・プレミア、タンディ・ニュートン、ダニエル・ウー、アンジェラ・サラフィアン、ニコ・パーカーの順番です。

ここからは映画『レミニセンス』の登場人物とキャストを紹介します。見出しは「役の名前:俳優の名前」の順番です。

ニコラス・“ニック”・バニスター:ヒュー・ジャックマン

映画『レミニセンス』

『レミニセンス』の主人公・ニコラス・“ニック”・バニスターは「心を調査する私立探偵」とも呼ばれる人物。彼はもともと軍隊の尋問担当者で、人の記憶を呼び起こす達人です。そのスキルを活用して、ニックは人が過去の幸福な記憶を追体験できるビジネスを立ち上げました。

ニック役を演じるヒュー・ジャックマンは20世紀フォックスのマーベル実写化「X-メン」シリーズのローガン/ウルヴァリン役で有名なオーストラリア出身の俳優です。

2008年には『ピープル』誌の「最もセクシーな男」に選ばれ、2012年には『レ・ミゼラブル』の主人公・ジャン・バルジャン役でアカデミー主演男優賞にノミネートされました。

ジャックマンは初期作品である『ニューヨークの恋人』のレオポルド役以来、真面目で魅力的な男性の役で定評があり、ニック役もピッタリです。

メイ:レベッカ・ファーガソン

映画『レミニセンス』

ニックが探し続ける謎の女・メイ役を演じるのはスウェーデン出身の女優・レベッカ・ファーガソンです。

2013年にテレビドラマ『ホワイト・クイーン 白薔薇の女王』の主役で注目を集めたファーガソン。映画では「ミッション:インポッシブル」シリーズのイルサ・ファウスト役や『グレイテスト・ショーマン』(2017年)のジェニー・リンド役で印象に残る演技を見せて注目を集めました。

2021年10月に公開された『DUNE/デューン 砂の惑星』ではレディ・ジェシカ役を務めています。

映画『DUNE/砂の惑星』についてのくわしい解説は以下の記事をご覧ください。

この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじと登場人物をネタバレも含めて解説し、原作小説との比較考察を行います。

エミリー・“ワッツ”・サンダース:タンディ・ニュートン

映画『レミニセンス』

ワッツはニックのビジネスパートナーで、彼にほのかな恋心を抱いています。「ワッツ」というあだ名は軍隊時代に電気事故を起こしたことからつけられたものです。軍歴のある彼女は射撃も得意としています。

ワッツ役を演じるタンディ・ニュートンはエミー賞や英国アカデミー賞を受賞したイギリスの実力派女優。ちなみに彼女の母親はジンバブエ・ショナ族の出身です。

ニュートンは『ジェファソン・イン・パリ』(1995年)やジョナサン・デミ監督作品『愛されし者』(1998年)で大役を務めて注目を集めました。

その後は『ミッション:インポッシブル2』(2000年) や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018年)といった大作にも出演。リサ・ジョイ監督のドラマ『ウエストワールド』ではアンドロイド・メイヴ・ミレイ役の演技でエミー賞に輝いています。

サイラス・ブース:クリフ・カーティス

サイラス・ブースは麻薬組織のために働く汚職警察官で、メイを脅してニックから記憶情報を盗ませる実行犯です。

ブース役を務めるクリフ・カーティスはニュージーランド出身の俳優。1993年にジェーン・キャンピオン監督作品『ピアノ・レッスン』の端役で映画デビューを果たして以来、多数の映画で脇役として活躍しています。

マオリ族出身のカーティスですが、映画ではラテン系などの役で多数の映画に出演しています。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019年)ではルーク・ホブスの兄弟でサモア人であるジョナ役を務めました。

セント・ジョー:ダニエル・ウー(呉彦祖)

映画『レミニセンス』

セント・ジョーはニュー・オリンズに拠点を置く麻薬組織のボスで、メイを愛人にしていたことがある男です。

セント・ジョー役を務めるダニエル・ウーは香港を拠点に活躍する中国系アメリカ人の俳優、映画監督、プロデューサーです。

1998年の映画デビュー以来、60本以上の映画に出演したダニエル・ウー。2018年に公開された『トゥームレイダー ファースト・ミッション』では、主人公・ララ・クロフトに協力するルー・レン役で出演しています。

セバスチャン・シルヴァン:モージャン・アリア

セバスチャン・シルヴァンは父・ウォルターの死後、彼の不動産会社をひとりで相続した大金持ち。父の愛人とその子どもを抹殺するためブースを雇った張本人です。

セバスチャン役を務めるモージャン・アリアはオーストラリア出身の俳優、脚本家、監督です。

2007年にオーストラリア映画『Cross Life(原題)』で映画初主演を果たしたアリアは、その後ロサンゼルスに拠点を移し、主に短編映画を手がけています。

ウォルター・シルヴァン:ブレット・カレン

ウォルター・シルヴァンは気候変動による混乱期に土地投機で大儲けをして財を成した人物です。重病で余命いくばくもないウォルターは密かに愛人の行方を息子・セバスチャンに探させていました。

ウォルター役を演じるブレット・カレンは主にテレビドラマの脇役として長年活躍しているアメリカ出身の俳優です。

2010年代の代表的出演作には、『デビアスなメイドたち』(2013年)のマイケル・スタッポード役があげられます。

タマラ・シルヴァン:マリーナ・デ・タビラ

ウォルターの妻であるタマラは、息子の妊娠をウォルターに打ち明けた人生最高の瞬間を繰り返し追体験することから抜け出せなくなっている女性です。

タマラ役を務めるマリーナ・デ・タビラはメキシコ出身の女優。1974年にメキシコ・シティで生まれた彼女はメキシコの舞台や映画で長年活躍してきました。

マリーナ・デ・タビラはアルフォンソ・キュアロン監督作品の『ROMA/ローマ』(2018年)でアカデミー助演女優賞にノミネートされています。

エイヴリー・カスティーリョ:ナタリー・マルティネス

エイヴリー・カスティーリョはマイアミの地方検事で、麻薬や不動産がらみの犯罪を捜査しています。

エイヴリー・カスティーリョ役を務めるナタリー・マルティネスはキューバ系アメリカ人のファッションモデル、女優です。

2006年にテレビシリーズ『ファッション・ハウス』で女優活動を始め、その後もテレビを中心に活躍してきました。『I-Land 戦慄の島』(2019年)ではチェイス役でレギュラー出演しています。

エルサ・カリン:アンジェラ・サラフィアン

エルサはウォルター・シルヴァンの愛人で彼との間に授かった男の子をひとりで育てている女性です。ウォルターとの楽しい思い出を追体験するため、ニックの店の常連になっています。

エルサ役を演じたアンジェラ・サラフィアンはアルメニア系アメリカ人の女優です。1983年に旧ソ連邦アルメニアで生まれたサラフィアンは4歳のときに両親に連れられてアメリカに移民し、同地で育ちました。

2000年から数々のテレビドラマにゲスト出演を果たし、2016年からは『ウエストワールド』のクレメンタイン・ペニーフェザー役で注目を集めています。

ゾーイ:ニコ・パーカー

ゾーイはラストシーンで登場するワッツの孫娘です。

ワッツ役を務める女優・タンディ・ニュートンがニコ・パーカーの母で、映画監督のオル・パーカーが父です。今回の映画はお母さんとの共演になりますね。

ニコ・パーカーはディズニー実写版『ダンボ』(2019年)で映画デビューを果たしたばかり。彼女は2022年放送予定のHBOドラマ版『The Last of Us (原題)』に主人公・ジョエルの娘・セーラ役で出演します。

映画『レミニセンス』の監督・脚本:リサ・ジョイ

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『レミニセンス』の監督・脚本を務めたのは、SFサスペンスドラマシリーズ『ウエストワールド』の製作・脚本・監督で知られるリサ・ジョイです。『レミニセンス』は彼女の長編映画監督デビューとなります。

2007年からテレビドラマの脚本の仕事を始めたリサ・ジョイは、犯罪ドラマ『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』唯一の女性脚本家として注目を集めました。

2016年から放送されている『ウエストワールド』は数々の賞に輝き、2020年4月にシーズン4の製作が発表されています。

私生活でリサ・ジョイは『ウエストワールド』や『レミニセンス』の共同製作者・ジョナサン・ノーランと結婚して、1男1女を授かっています。

リサ・ジョイ、映画『レミニセンス』は遠い未来のSFではない

2021年8月14日、リサ・ジョイはReal Soundに、映画『レミニセンス』は「遠い未来のSF」ではないという趣旨のコメントを寄せました。

彼女は『レミニセンス』の世界観は現在の出来事に触発されたものであることを強調し次のように述べました。

(“水に支配された都市”)のような未来の世界を描くことができたのは、現在の出来事を反映させているからです。

さらに、SFというジャンルは現代について考察する方法のひとつである、という考えも明らかにして、次のように語っています。

SFの世界は、「現代に起こる出来事の大いなる比喩」なんです。私たちが今感じ取れる振動を大きく描くことによって、現状を考察し直す方法なんです。

映画『レミニセンス』の製作にはジョナサン・ノーランも参加!

映画『レミニセンス』の製作には、『インターステラー』など巨匠・クリストファー・ノーラン監督作品の脚本を共同執筆した弟・ジョナサン・ノーランが名を連ねています。

このため映画『レミニセンス』にはノーラン兄弟の作品に共通する独特の雰囲気が見られます。

謎の美女や記憶が物語の重要なカギとなる点は、ジョナサンの短編小説を原案にした『メメント』(2000年)と共通です。

ネオ・ノワールな犯罪都市の雰囲気は、ジョナサンが脚本を担当した『ダークナイト』(2008年)や『ダークナイト ライジング』(2012年)を思い出させます。

さらに、水に覆われた街や記憶と現実が複雑に交錯するストーリー展開は、ジョナサンは名を連ねていないものの、クリストファー・ノーラン監督の傑作SFスリラー『インセプション』を想起させるものです。

映画『レミニセンス』はネオ・ノワールの雰囲気たっぷりのSFスリラー

この記事では映画『レミニセンス』をネタバレ解説して、あらすじやキャスト、監督のコメントなどを紹介しました。

『レミニセンス』は現実の気候変動にも触発された脚本家・リサ・ジョイが、初めて長編映画の監督に挑んだ意欲的な作品です。

『ダークナイト』などを手がけたジョナサン・ノーランも製作に加わってネオ・ノワールの雰囲気が漂う世界観が印象的なSFスリラーに仕上がっています。

批評家の評価はあまりよくないですが、豪華な映像が素晴らしく、特にヒュー・ジャックマンのファンは見逃せない作品です。

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