映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のネタバレ! あらすじと登場人物の解説、原作との相違点について考察

2023年8月27日日曜日

SF

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映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)
この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじと登場人物をネタバレも含めて解説し、原作小説との比較考察を行います。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の基本情報

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)はSF文学の金字塔『デューン 砂の惑星』の前半を映像化した作品です。

監督・脚本を務めたのは『ブレードランナー2049』(2017)でSFの名作に最新鋭の視覚効果で新たな生命を吹き込むことに成功したドゥニ・ヴィルヌーヴ

さらに脚本にはエリック・ロス(『フォレストガンプ一期一会』)やジョン・スペイツも加わり、SF文学の名作にふさわしい映像化を目指す万全の布陣となっています。

キャストは主人公・ポール役のティモシー・シャラメ(『君の名前で僕を呼んで』)をはじめ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック、ゼンデイヤといった豪華アンサンブルキャストです。

  • 原題:Dune
  • 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
  • 脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ、エリック・ロス、ジョン・スペイツ
  • 原作:フランク・ハーバート著、酒井昭伸訳『デューン 砂の惑星』(ハヤカワ文庫SF)
  • キャスト:ティモシー・シャラメ、レベッカ・ファーガソン、オスカー・アイザック
  • 公開日:2021年9月3日、ベネチア国際映画祭にてプレミア上映
  • 上映時間:2時間35分
  • 製作国:アメリカ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)予告編

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映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじ:第1幕

以下の記事では映画『デューン/砂の惑星』(2021年)を鑑賞するのに役立つ用語を五十音順にまとめていますので、あわせてご覧ください。

この記事では映画『デューン/砂の惑星』(2021年)を鑑賞するのに役立つ用語を五十音順にまとめています。

砂の惑星・アラキスとスパイス

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

10191年、ハルコネン男爵は皇帝シャッダム4世の命令で砂の惑星・アラキス統治の任を解かれました。ハルコネン家はそれまで80年間アラキスの先住民・フレーメンを弾圧して“スパイス”の採掘を管理して大儲けをしており、フレーメンとの関係が最悪になっていたのです。

“スパイス(別名メランジ)”とは不老長寿を可能にする神聖な麻薬で、砂の惑星・アラキスの砂漠でしか採取できません。人間の認知能力を高める効果もあるスパイスは、星間飛行をする宇宙船のナヴィゲーターに不可欠のものであり、宇宙で最も重要な物資です。

アトレイデス家の跡取り息子・ポールと母・ジェシカ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

水が豊かな惑星・カラダンではアトレイデス公爵家の跡取り息子・ポールが謎の女の夢を見ていました。

翌朝、ポールは朝食の席で母・ジェシカから皇帝の使節を迎えるため礼服に着替えるよう言われます。ジェシカは声で人を操る術・“声(ヴォイス)”の訓練をポールにさせようとしますが、ポールは夢のせいか、やる気がありません。

やがてヘラルド・オブ・ザ・チェンジに率いられた皇帝の使節団が到着。使節団には星間飛行を独占するスペーシング・ギルドや、超能力を持つ女性の教団・ベネ・ゲセリットのシスターも加わっています。

ヘラルド・オブ・ザ・チェンジはレト・アトレイデス公爵にアラキスの平和を回復せよとの皇帝の意向を伝え、レトはその任務を引き受けました。

アラキス統治に活路を見出すレト・アトレイデス公爵

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

セレモニーの後、ポールは先発隊としてアラキスに出発するダンカン・アイダホに、彼を含めてたくさんの兵士が死んでいる夢を見たことを打ち明けます。ダンカンは、重要なことは目覚めているときに起きる、といって取り合いません。

アラキスに出発する前に祖先の墓を詣でたポールと父・レトはアラキスで直面する危険について語り合います。レトは、皇帝の目的がアトレイデス家とハルコネン家を対立させて両方とも弱体化させることであると見抜いていました。

しかし、レトはアラキスの先住民・フレーメンの協力を確保することで砂漠の力を得てアトレイデス家の未来を盤石のものにすることを企んでいます。先にアラキスに行ってフレーメンと交渉を始めることがダンカンの任務だったのです。

宿敵ハルコネン家の脅威に備えよ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

その後、ポールはガーニー・ハレックとナイフで戦うトレーニングに汗を流します。彼らは全身を見えないシールドで保護しています。シールドは高速で接近するものを弾き返しますが、秒速6~9センチメートルで接近するものは防げません。

ガーニーは戦う気のないポールに、戦いはやる気のあるときに起きるものではない、と忠告。ハルコネン家が80年間アラキスを統治して巨万の富を得ており、つねに警戒を怠ってはならないと諌めます。

ハルコネン男爵の企み

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

その頃、ハルコネン家の惑星・ジェディ・プライムではハルコネン男爵の甥・ラッバーンがアラキス統治の任を解かれたことで怒り狂っていました。

しかし、ハルコネン男爵も、皇帝の命令の裏に勢力を伸ばしつつあるアトレイデス家とハルコネン家への嫉妬があることを見抜いています。男爵はアトレイデス家を滅ぼしてアラキスを取り戻す計画を密かに練っています。

ポールは超能力者か?

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ポールが継続的に不思議な夢を見ることを憂慮したジェシカは、恩師であるベネ・ゲセリットの教母・ガイウス・ヘレン・モヒアムに相談しました。モヒアムはポールの能力を試すため、厳しい苦痛を伴うゴム・ジャッバーの試験を行います。

この試験に合格したポールにジェシカは、彼が超能力者・“クイサッハ・ハデラッハ”かもしれないと打ち明けます。

ベネ・ゲセリットは長年にわたる交配計画によって“クイサッハ・ハデラッハ”を生み出そうと画策してきました。しかし、ジェシカがレトを愛するあまりベネ・ゲセリットの命令に逆らって男の子を出産したため、交配計画に狂いが生じていたのです。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじ:第2幕

アラキス移住早々、ポール暗殺計画が発覚!

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

数週間後、アトレイデス家はアラキスに移住します。宇宙船から降り立ったポールにフレーメンたちは“リサン・アル・ガイブ”と呼びかけます。“リサン・アル・ガイブ”とは「外界からの声」という意味でフレーメンの救世主のことです。

レト・アトレイデス公爵は、守備しやすい壁で囲まれたアラキーンの街に居を構えることにしました。

宮殿でジェシカを迎えたフレーメンの侍女のひとりは忠誠の証として、彼女にサンドワームの歯を研いで作ったクリスナイフを進呈します。

アトレイデス家の一行が新しい惑星に落ち着く間もなく、ポールを無線操縦の小型ドローンで暗殺しようとする事件が発生。レト・アトレイデス公爵は激怒します。

ハルコネン男爵の狙いはアトレイデス家根絶

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ハルコネン男爵がアラキスでアトレイデス家を根絶やしにするつもりであることを知ったモヒアムは、ハルコネン男爵を訪ねジェシカとポールを殺さないよう頼みます。

モヒアムの願いを聞き入れたかに見えたハルコネン男爵ですが、自ら手を汚さないでジェシカとポールを亡き者にする計画を準備していました。

アラキスの先住民・フレーメンとの同盟を図るアトレイデス公爵

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

アラキス統治に乗り出すアトレイデス公爵はすぐに会議を招集。その席で、ハルコネン家が残していった設備はポンコツばかりでスパイスの採掘量を増やすにはしばらく時間がかかる、という厳しい状況が明らかになります。

一方、先に到着してフレーメンの信頼を得たダンカンは、アトレイデス公爵にフレーメンの族長のひとり・スティルガーを紹介します。

フレーメンの人口はハルコネン家による推計5万人をはるかに上回る100万人以上。さらにフレーメンは自らの命を犠牲にすることもいとわない恐るべき戦士で、皇帝の精鋭軍団・サルダウカーに勝るとも劣らない強者です。

このようなダンカンの報告は、かすかな希望を生じさせるものでした。

巨大サンドワームの恐怖

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気を取り直した公爵は、リエト=カインズ博士の案内でポールたちを連れてスパイスを採掘するサンドクローラーの視察に赴きます。

羽ばたき飛行機(オーニソプター)で上空から見守っていたアトレイデス公爵は、巨大なサンドワーム(砂虫)が近づいてくるのを発見します。

サンドクローラーを回収するためすぐにキャリーオールがやって来ますが、フックのひとつが故障して回収できません。アトレイデス公爵はとっさにオーニソプターをサンドクローラーの近くに着陸させて乗員だけ救出しようとしました。

このとき地上に下りてスパイスを吸引したポールは突如幻視に見舞われ意識を失いかけ、ガーニー・ハレックによって間一髪救出されます。貴重なスパイスを満載したサンドクローラーは彼らの目の前であっという間にサンドワームに飲み込まれました。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじ:第3幕

レト・アトレイデス公爵の苦悩

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

宮殿でアトレイデス家お抱えの医者・ユエ博士の診察を受けたポールは、スパイスによって未来を予見する能力が開花したことを実感します。ポールは、ジェシカが女の子を身ごもっていることも言い当て、彼女を驚かせました。

その頃、皇帝の監獄の惑星・サルサ・セクンドゥスでは、ハルコネン男爵のメンタートが皇帝のエリート部隊・サルダウカーをアラキス襲撃に参加させる段取りを整えていました。

ポール暗殺未遂事件で息子の命も狙われていることを知ったレト・アトレイデス公爵は、ジェシカに母としてではなくベネ・ゲセリットとしてポールを守るよう頼みます。さらにレトは、政略結婚の可能性を残すためジェシカを正式の妻に娶らなかったことを後悔していることも彼女に打ち明けました。

アトレイデス家お抱えの医師・ユエ博士の裏切り

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

その夜、怪しげな物音に目を覚ましたレト・アトレイデス公爵は、部屋の外で何者かが倒れているのを見つけます。近寄ろうとした公爵の背中に小さな矢が刺さり、公爵の体は麻痺します。

裏切り者はユエ博士でした。彼の妻はハルコネン男爵に捕まって拷問されていたのです。ユエ博士はアトレイデス公爵を裏切ってハルコネン男爵に引き渡すことで、妻を開放するばかりでなく、ハルコネン男爵に復讐する計画でした。

ユエ博士は公爵の奥歯を抜き、噛み砕くと毒ガスが発生する義歯と取り替えます。ハルコネン男爵は必ず自らアトレイデス公爵を拷問するだろうから、男爵が顔を近づけたときに毒ガスを吹き付けて男爵と刺し違える、という目論見です。

さらにユエ博士は、ポールがアトレイデス公爵家の後継者となれるよう、レトの手からアトレイデス公爵家の指輪を抜き取りました。

ユエ博士がシールドを解除したため、ハルコネン家とサルダウカーの軍勢は無抵抗でアラキーンに侵入。不意をつかれたアトレイデス家の家来たちはほとんど皆殺しにされます。

ユエ博士の計らいで命拾いしたポールとジェシカ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ポールとジェシカは捕らえられ、砂漠に捨てられることになりました。2人が砂漠で死ねば、ハルコネン男爵はベネ・ゲセリットの教母・モヒアムとの約束を守りつつ、2人を殺すことができるからです。

砂漠に向かう羽ばたき飛行機のなかで、ポールはヴォイスを使って兵士にジェシカの口輪を外させます。ポールよりも強力なヴォイスの使い手であるジェシカは兵士に2人の拘束を解かせた上、他の兵士を殺させました。

最後に残った兵士もポールとジェシカは片付け、羽ばたき飛行機は砂漠のなかに着陸します。機内の壁にユエ博士のダイヤモンド型のシンボルを見つけたポールたちは、そこに砂漠で生き延びるための装備と公爵家の指輪が隠されているのを見つけました。

悪運が強いハルコネン男爵

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ハルコネン男爵はアトレイデス公爵を捕らえたので用済みになったユエ博士を殺します。勝ち誇った男爵がアトレイデス公爵に顔を近づけたとき、公爵はガスの入った義歯を噛み砕き、部屋はたちまち毒ガスで満たされました。しかし、男爵は咄嗟に反重力装置で天井まで上昇し、ガス攻撃を生き残ります。

一方、アラキーンの街が炎上しているのを見て帰ることを諦めたポールたちは、砂漠にテントを張って夜を明かすことにします。テントのなかで砂漠のスパイスの刺激を受けたポールは多数の兵士たちに混じってジハード(聖戦)を戦う自分の姿や自分が殺される夢を見てうなされます。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじ:第4幕

ダンカンとカインズ博士の犠牲

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

翌日、ハルコネン家による殺戮を生き延びたダンカンはカインズ博士と合流、盗んだ羽ばたき飛行機でポールたちを見つけました。

ダンカンとカインズ博士はポールたちをとりあえず博士の生態研究施設に連れて行きます。彼女は人里離れた施設でアラキスに緑と水をもたらす研究に従事していたのです。

ポールたちが一息つく暇もなく、サルダウカーの兵士たちが施設を襲撃しました。ダンカンは自ら犠牲となってポールたちが逃げる時間を稼ぎます。カインズ博士はポールとジェシカに羽ばたき飛行機で砂嵐の上空に隠れて脱出するよう提案しました。

フレーメンであるカインズ博士は彼らと別れて単身サンドワームに乗って脱出しようとしますが、サルダウカーの兵士に刺され深手を負います。カインズ博士は最後の力を振り絞ってサンドワームをおびき寄せ、サルダウカーの兵士を道連れに砂のなかに飲み込まれます。

一方、ポールが操縦する羽ばたき飛行機はハルコネン家の飛行機に追跡されますが、砂嵐に突入することで追手を振り切りました。しかしポールの飛行機も砂嵐のなかで損傷を受け、砂漠に墜落してしまいます。

アラキスを搾取するハルコネン男爵

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ラッバーンからポールたちの飛行機が砂嵐のなかに消えたと報告を受けたハルコネン男爵は2人が死んだものと思い満足します。

アラキスの統治をラッバーンに任せたハルコネン男爵。彼はアトレイデス家を滅ぼすのにかかった戦費を取り戻すため、スパイスの採掘を最大限にしてフレーメンを皆殺しにするようラッバーンに命じました。

ポールとジェシカ、フレーメンに救われるか?

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その頃、砂漠を徒歩で横断するポールたちは彼らの足音を聞きつけたサンドワームに飲み込まれそうになります。しかし何者かが別の場所でサンドワームをおびき寄せたため命拾いしました。

やがてポールとジェシカは、以前レト・アトレイデス公爵にダンカンが紹介したフレーメンの部族長・スティルガーが率いる部族と出会います。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじ:第5幕

フレーメンの若者から決闘の挑戦を受けるポール

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

スティルガーはジェシカが砂漠で生き延びる力がないと言って彼女に戦いをいどみます。しかし、ジェシカはベネ・ゲセリットで学んだ格闘術でスティルガーを打ち負かして、スティルガーを服従させました。

岩の上に逃れたポールはそこで夢に何度も現れたフレーメンの若い女性・チャニと初めて対面します。

しかし、スティルガーの部族の一員であるジャミスはジェシカとポールを受け入れることができません。ジャミスはポールが予言で約束された救世主「マーディ」であるとは信じられないのです。

自らの使命を悟ったポール、砂の惑星にとどまることを決意

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ジャミスはフレーメン古来の作法に従ってジェシカの代理人であるポールとの決闘を要求します。決闘の直前、チャニはポールに彼が夢で見たクリスナイフを渡します。

ポールは以前見た夢からジャミスの攻撃パターンを覚えていたこともあり、彼を打ち負かします。決闘でジャミスを殺したポールはフレーメンに受け入れられました。ポールはレトの遺志をついでアラキスに平和をもたらすため砂漠にとどまるようジェシカを説得します。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末の決闘の持つ意味に関するくわしい考察は以下の記事をご覧ください。

この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末をわかりやすく解説し、その意味を考察します。映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)と原作のネタバレを含みますので未鑑賞の方はご注意下さい。

スティルガーの部族とともに砂漠を歩むポールとジェシカはひとりのフレーメンがサンドワームの背に乗って突進する姿を目にしました。ポールたちにチャニは「これはまだ始まりに過ぎない」と言うのでした。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の登場人物

アトレイデス家

ポール・アトレイデス:ティモシー・シャラメ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の主人公・ポール・アトレイデスはアトレイデス公爵家の跡取り息子です。不思議な夢に悩まされていたポールは、自分が砂の惑星・アラキスの救世主であることを自覚するようになります。

レディ・ジェシカ:レベッカ・ファーガソン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

レディ・ジェシカはポールの母であり、レト・アトレイデス公爵の側室です。ベネ・ゲセリットの教育を受けたジェシカは、超能力や格闘術の達人でもあります。

原作で彼女の父親はハルコネン男爵です。このことは映画のなかでガイウス・ヘレン・モヒアムがポールに「あなたが相続権を持っている家系は1つだけではない」と言っていることで示唆されています。

レディ・ジェシカ役を演じるレベッカ・ファーガソンは「ミッション:インポッシブル」シリーズのイルサ・ファウスト役や『グレイテスト・ショーマン』(2017年)のジェニー・リンド役で知られる女優です。

2021年8月に公開されたSFサスペンス映画『レミニセンス』ではヒュー・ジャックマンの相手役を熱演しています。

映画『レミニセンス』についてのくわしい解説は以下の記事をご覧ください。

この記事ではSFサスペンス映画『レミニセンス』のあらすじをネタバレ解説・考察します。さらに登場人物やキャスト、監督と製作を務めたリサ・ジョイとクリストファー・ノーランについても紹介しました。

レト・アトレイデス公爵:オスカー・アイザック

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

※画像左からガーニー・ハレック(ジョシュ・ブローリン)、レト・アトレイデス(オスカー・アイザック)

レト・アトレイデスはポールの父であり、アトレイデス公爵家の当主です。

スフィル・ハワト:スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

スフィル・ハワトはアトレイデス家のメンタート(戦略家、暗殺者の役割も兼ねる人間コンピュータ)です。

ウェリントン・ユエ博士:チャン・チェン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ウェリントン・ユエ博士は人を絶対傷つけないように洗脳されたスークの医者でアトレイデス家の御典医です。

ガーニー・ハレック:ジョシュ・ブローリン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ガーニー・ハレックはアトレイデス公爵の腹心のひとりで、ポールの剣術指南役です。

ダンカン・アイダホ:ジェイソン・モモア

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ダンカン・アイダホはアトレイデス家の腹心のひとりで、フレーメンとの交渉のためアラキスに先遣隊として出発します。

ハルコネン家

ウラディミール・ハルコネン男爵:ステラン・スカルスガルド

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ウラディミール・ハルコネンはアトレイデス家と対立するハルコネン男爵家の当主。反重力装置を使わなければ動けないほどの肥満体です。

グロッス・“ビースト”・ラッバーン:デイヴ・バウティスタ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

グロッス・“ビースト”・ラッバーンはその残虐な性格から“ビースト(野獣)”の異名をとるハルコネン男爵の甥です。

パイター・ド・ヴリース:デヴィッド・ダストマルチャン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

パイター・ド・ヴリースはハルコネン男爵のメンタートです。

フレーメン

チャニ:ゼンデイヤ

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

チャニはポールの夢の中に繰り返し出てくるフレーメンの若い女性です。

スティルガー:ハビエル・バルデム

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

スティルガーはフレーメンの部族のひとつ・シーチ・タブルの部族長です。

リエト=カインズ博士:シャロン・ダンカン=ブルースター

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

リエト=カインズ博士はチャニの母であるフレーメンの生態学者で、皇帝が任命した紛争調停人でもあります。

ジャミス:バブス・オルサンモクン

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)

ジャミスは映画の終盤でポールに決闘を挑むシーチ・タブルの若者です。

その他の派閥

ガイウス・ヘレン・モヒアム

ガイウス・ヘレン・モヒアムはベネ・ゲセリットの教母。皇帝のもとで人が本当のことを語っているかどうかを見抜く役割も果たす重要人物です。

ヘラルド・オブ・ザ・チェンジ:ベンジャミン・クレメンティン

ヘラルド・オブ・ザ・チェンジはカラダンのアトレイデス公爵のもとに皇帝から遣わされた使節団の長。このキャラクターは原作には存在しません。

原作のどこまでを映画化したのか?

あらすじで紹介したように、今回の映画は原作本のほぼ半分、ポールがジャミスを決闘で殺すところまでを映画化しています。映画の最後の「まだ始まりに過ぎない」というセリフからわかるように、続編を期待させる唐突な終わり方です。

ハヤカワ文庫SFの新訳版で中巻の途中までを映画化しています

原作では決闘の直後にポールがフレーメンの名前を選ぶ場面が続きます。フレーメンは部族内でのみ使われる秘密の名前と、公に使われる名前の2つを使い分けます。

秘密の名前は部族長・スティルガーが「ウスル(柱石) 」という名をつけてくれました。公に使われる名前にポールは砂漠のカンガルーネズミにちなんで「ポール=ムアッディブ」という名を選びます。

この重要な名付けの場面は今回の映画では一切描かれないため、続編で取り上げられるものと思われます。

原作との目立つ相違点を考察

イルーラン王女が登場しない

原作では各章の冒頭にイルーラン王女が執筆したポールの伝記からの引用が掲げられています。

イルーラン王女は皇帝シャッダム4世の娘です。皇帝には男の子がいなかったため(ベネ・ゲセリットの后が優生計画に従って女の子しか産まなかったのです)、原作の最後でポールはイルーラン王女と政略結婚して皇帝となります。

原作では語り部のような役割を担っているイルーラン王女。彼女はデヴィッド・リンチの映画ではヴァージニア・マドセンが演じて冒頭からナレーションで登場していました。

今回の映画でイルーラン王女は取り上げられなかったため、はたして続編で登場するのか楽しみです。

ハルコネン男爵の甥がひとりしか登場しない

原作ではハルコネン男爵には2人の甥があり、そのどちらもハルコネン家の跡目を狙っています。

今回の映画に登場するグロッス・“ビースト”・ラッバーンは粗暴な性格の甥で民衆には不人気。ハルコネン男爵は彼をアラキスの搾取に利用しているだけです。

実は、ハルコネン男爵は機が熟したらもうひとりの顔のきれいな甥・ファイド=ラウサに男爵家を継がせる心づもりでいます。デヴィッド・リンチ監督の映画ではファイド=ラウサの役はミュージシャンのスティングが演じていました。

ファイド=ラウサはハルコネン男爵の陰謀を複雑なものにするばかりでなく、男爵の独特の趣味を明らかにする重要なキャラクターです。

このキャラクターが今回の映画で省かれた理由は不明ですが、続編で登場してくるか注目したいと思います。

原作を読むかデヴィッド・リンチ監督の映画を観て新作に備えよう!

この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじと登場人物を解説し、原作小説との比較考察を行いました。

原作小説は重層的な深みを持った作品で、何度くり返し読んでも飽きません。このような小説を映像化することは至難の業で、今回の映画化も豪華な映像や長めの上映時間にも関わらず、原作の深みを完全に伝えるものとは言えません。

原作の世界観の再現度は1984年の映画のほうが優れており、今回の映画では前回描かれた細かいところも省略されています。原作を読んでいなかったり、1984年の映画を観ていなかったりする観客にはわかりにくい箇所があるかもしれません。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の鑑賞前には原作本に目を通すか、1984年の映画を鑑賞しておくことを強くおすすめします!

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