映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末はわかりにくい?
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)は日本語新訳版で文庫本3巻からなる原作小説の約半分を映像化したものです。
物語は完結せず、結論が出ないまま映画は終了します。このため映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末は唐突でよくわからない、という声も聞かれます。
そこで、この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末をわかりやすく解説! 結末の意味や続編との関連も考察します。
この記事は映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)とその原作のネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)終盤までのあらすじ
ここでは映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)終盤までのあらすじを短くまとめました。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のあらすじと用語の詳しい解説は以下の記事をご覧ください!
10191年、宇宙の皇帝シャッダム4世はハルコネン男爵を砂の惑星・アラキス統治のポストから解任しました。
アラキスは不老長寿や意識覚醒に効果のある神聖な麻薬「スパイス(メランジ)」が採れる宇宙で唯一の惑星。ハルコネン男爵はスパイスの取引で巨万の富を得るため先住民・フレーメンを搾取、フレーメンの反抗でアラキスの治安が悪化していました。
皇帝は人望を集めるレト・アトレイデス公爵にアラキス統治を依頼し、公爵はそれを引き受けます。しかし、この人事の背景には、最近力をつけてきたハルコネン家とアトレイデス家を仲違いさせて両者を弱体化しようという皇帝の思惑もありました。
重要な財源であるアラキスを取り上げられて面白くないハルコネン男爵は、アラキスのアトレイデス公爵を襲撃して亡きものにしようと計画。この計画に皇帝のエリート兵士・サルダウカーの軍団も密かに加わります。
身内の裏切りもあって寝込みを襲われたアトレイデス公爵はハルコネン男爵に捕らわれ、彼と刺し違えようとして命を落とします。公爵の家臣は虐殺され、数少ない生き残りも四散しました。
アトレイデス家の後継ぎであるポールは母のジェシカとともにハルコネン家の追手を逃れて砂漠をさまようことになります。
やがてポールとジェシカは砂漠でフレーメンの部族に救われました。
砂漠で生きるフレーメンのしきたり
この部族はレト・アトレイデス公爵とも面識のあった部族長・スティルガーが率いる人びとです。
彼はポールたちに、自力で砂漠のなかで生き残れないよそ者は殺される、という砂漠のしきたりを説明します。
ポールたちはサンドワームに食べられそうになったところをフレーメンに救われていました。このことが砂漠で生きる力がない証拠とみられたようです。特にスティルガーは年長のジェシカは新しい生活に適応できないので彼女を殺そうとしました。
しかし、ベネ・ゲセリットで格闘技も学んでいるジェシカはスティルガーを簡単に倒し、スティルガーに自分たちを保護するよう無理やり納得させます。
ジャミスとポールの決闘の意味
それでも部族のひとり・ジャミスは納得がいきません。ジャミスは性格こそ悪くないものの、勇敢をすぎて粗暴なところがあり、負けず嫌いです。
ジャミスはもう1回戦うチャンスを得るため、フレーメンのしきたりである決闘を申し込みます。
アムタル・ルールとも呼ばれるこのしきたりは、どちらが正しいか決めるため命をかけて戦う決闘です。
原作でジャミスはジェシカが本当にフレーメンの予言に伝わる星から来た教母であるかどうか、決闘で決めようと言うのです。
ジャミスはジェシカに決闘の代理人を選ぶよう強制します。ジェシカはフレーメンから代理人を選べないため、ポールがジェシカの代理人になりました。
この決闘はポールがフレーメンの予言に現れる救世主であるかどうかを決める意味もあります。
ジャミスとの決闘の経過
決闘の前にポールは夢のなかに何度も現れた少女・チャニから決闘に使う神聖なクリスナイフをもらいます。原作でチャニはこのときポールにジャミスの戦い方の癖も詳しく教えてくれました。
これに対して映画でチャニはポールが予言で約束された救世主「マーディ」とは思えないとあっさり言い放っています。
若いポールはまだひ弱に見えるものの、ガーニー・ハレックのような歴戦の強者から剣術指南をみっちり受けています。このためジャミスの攻撃も軽くかわして彼を倒してしまいました。
ポールは死ぬまで戦う決まりを知らないのでジャミスにとどめを刺しません。しかし、それがフレーメンにはジャミスを苛めているように見えます。
ジャミスは最後の力を振り絞ってポールに襲いかかってきました。そのときポールはジャミスの動きを夢で見ていたことを思い出します。
夢で彼はジャミスに刺されていますが、その記憶を逆手に取ってポールはジャミスを殺しました。
決闘に勝ったポールが手に入れたもの
決闘に勝ったポールはジェシカとともにフレーメンに受け入れられることが決まりました。
フレーメンの助けを借りてアラキスから脱出しようと考えているジェシカをポールはアラキスにとどまるよう説得します。
決闘を通してポールは夢で予見した未来を変えられることに目覚めたのです。
夢で予見した未来を変えられることを知ったポールは、超能力者としての自らの使命を自覚した、とも言えます。それは亡き父・レト・アトレイデス公爵の遺志をついで惑星・アラキスに平和をもたらすことでもあるのです。
映画は砂漠をフレーメンの部族とともに歩くポールとジェシカにチャニが「これはまだ始まりにすぎない」と言って締めくくられます。
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)のポスト=クレジット・シーンは存在するの?
ポスト=クレジット・シーンは存在しない
映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)にはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)などでおなじみのポスト=クレジット・シーンは存在しません。
しかし、映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)は原作小説の半分を少し上回る部分だけを映像化したものです。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は最初から2部作で映像化する計画でした。
このため、続編の展開を予想させるシーンがポールの夢の映像として映画の全編に散りばめられています。
続編の展開を予想させるシーン
言うなれば、ポールの予知夢が続編につながるポスト=クレジット・シーンに代わるものです。
具体的にはポールが多くの軍勢と戦うシーンをまずあげられます。このシーンでポールの眼が青くなっており、彼が完全にフレーメンと同化したことをうかがわせます。
さらに水のある土地で多くの兵士たちが宇宙船に乗ったポールとチャニに手をふるシーン。これは続編の結末と関連するものと思われます。
続編の展開は予測不能!
この記事では映画『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)の結末をネタバレも含めてわかりやすく解説し、その意味を考察しました。
原作の後半はフレーメンの救世主となったポールが皇帝とハルコネン家の軍勢を打ち破り、惑星・アラキスを解放して自らは皇帝となる、という物語です。
しかし、ポールの予知夢はそのまま現実になるのではない、ということを忘れてはなりません。
ヴィルヌーヴ監督が原作とは異なる結末を用意している可能性もあり、今から続編が待ち遠しいですね!