映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)のあらすじと見どころをネタバレ解説

2023年9月25日月曜日

サスペンス

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映画『ミステリと言う勿れ』ポスター
この記事では映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)のあらすじと見どころをネタバレも含めて解説します。

映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)の基本情報

  • タイトル:『ミステリと言う勿れ』
  • 監督:松山博昭
  • 脚本:相沢友子
  • 原作:田村由美『ミステリと言う勿れ』2〜4巻
  • キャスト:菅田将暉、松下洸平、町田啓太、原菜乃華
  • 公開日:2023年9月15日
  • 上映時間:2時間9分
  • 製作国:日本

映画『ミステリと言う勿れ』は田村由美の人気漫画を、菅田将暉主演で実写化した同名の連続テレビドラマの劇場版です。原作で人気のエピソード「広島編」(2〜4巻)をもとに、広島の名家・狩集家をめぐる遺産相続事件の顛末が描かれます。

天然パーマでおしゃべりな大学生・久能整は、広島で開催される美術展を訪れるため同地を訪問していました。広島で整は、犬童我路の知人だという女子高生・狩集汐路と出会い、あるバイトを持ちかけられます。

それは、狩集家の莫大な遺産相続に関するものでした。当主の孫にあたる汐路ら4人の相続候補者は、遺産を相続するために、遺言書に記されたお題に従って謎を解いていくのです。しかし、狩集家の遺産相続の背後には、ときには死者さえ出るという恐ろしい謎が隠されているのでした……。

本作はサイコスリラー映画『キャラクター』(2021年)などで知られる菅田将暉が主演を務め、連続テレビドラマ版の監督を務めた松山博昭が監督を務めました。

汐路を原菜乃華、彼女と遺産相続を争う狩集理紀之助を町田啓太、波々壁新音を萩原利久、赤峰ゆらを柴咲コウ、狩集家の顧問弁護士の孫・車坂朝晴を松下洸平が演じています。

脚本は『本能寺ホテル』の相沢友子です。

映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)予告編

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映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)のあらすじ(前半)

8年前、猛スピードで道路を走行中の車がカーブを曲がり切れず、ガードレールを突破し、崖下に転落。その車は爆発し、大炎上。車に乗っていた4人の男女は全員亡くなりました。

現代、海岸で狩集汐路と出会った犬堂我路は、狩集家の「闇」に潜入し、汐路を保護しながら「闇」を探る計画を立てていました。しかし、自身が指名手配犯になり、計画は困難になります。

そのため、我路は友人である大学生の久能整を汐路に紹介しました。整は観光で広島を訪れていましたが、汐路から命と金がかかるボディガードの依頼を受けました。整は話に戸惑いつつも、我路に紹介された汐路の話しに興味を持ち、狩集家の遺産相続の場に連れてこられてしまいます。

狩集家の顧問税理士である真壁軍司と顧問弁護士の車坂義家によれば、汐路の祖父である狩集幸長の遺言には、相続権を持つ息子と娘の世代が全員死亡したため、次期当主は孫の中から1人が選ばれると書かれていました。

相続の条件は、4人の候補者に狩集家の蔵の鍵を渡し、「それぞれの蔵において、あるべきものをあるべき所へ、過不足なくせよ」という謎めいた言葉を解くことです。

汐路は「狩集家では遺産相続時に必ず揉め事が起こり人が死ぬ」と祖父から聞かされていました。彼女は、自身の父である弥が8年前に3人の兄弟と共に自動車事故で死亡したのも、遺産相続の揉め事が原因であると確信していました。

整はこの話を聞いて、余計なトラブルを避けるために、候補者である理紀之助、新音、ゆらに汐路と協力する提案をしましたが、競争相手として緊張が高まり、誰も応じません。

その晩、整は狩集家の広大な家に泊まることになりました。玄関にはアメジストドームが置かれ、家中にはお札や祠があり、整は不気味な雰囲気を感じます。

翌日、整と汐路は割り当てられた蔵を探索し、9体の日本人形を見つけました。人形の服に描かれた花の柄から、整はこれが各月を示していることに気づいたが、12ヶ月を揃えるためには「牡丹」「菊」「桜」が足りないことが分かります。

次に新音の蔵を訪れた2人は、大量の有田焼の本物と偽物が対になっているのを発見しました。

その日、蔵へ向かう途中で汐路の頭上から植木鉢が落下し、夜には階段に油が撒かれ、汐路と新音は階段から落下しました。

不穏な空気が漂い、ゆらが座敷牢に閉じ込められ、彼女の夫である一平と理紀之助が彼女を救出に駆けつけました。理紀之助はアリバイがなく、自分の蔵に多くの血のついた日本刀があることが明らかになりましたが、他の情報はありません。4人の候補者たちは互いを疑い始めます。

整は汐路に手を出さないよう忠告します。落下した植木鉢や撒かれた油、そしてゆらを閉じ込めた犯人が汐路であることを、整は見抜いていました。

汐路は自身の父が遺産相続のトラブルから死亡したことに責任を感じ、それが警察の発表した居眠り運転ではなく殺人だと信じていました。

汐路は遺産相続で騒動を起こすことで、関心を集めようとしていたのです。そこまで思い詰めた彼女のトラウマを知った理紀之助、新音、ゆらは彼女を許し、共に事件の謎を解くことを誓います。

映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)のあらすじ(後半)

事件が一段落したため、整は東京に帰ることを考えました。しかし、コインランドリーからの帰りに車に惹かれそうになったり、狩集家の家族写真を見たりしたことで、計画を変更することに決めます。

そして、4人の候補者と汐路の初恋の相手である朝晴を呼び寄せ、遺産相続のトラブルで亡くなった狩集家の過去の人間が全て「天然パーマ」かつ「色白」であったことを指摘します。最初は冗談のように聞こえましたが、狩集家には稀にその条件を満たした人間が生まれ、必ず弥のように老衰や病気ではない理由で死亡していたのです!

整は、弥が自身と同じ特徴を持つ兄弟と「狩集家」と「死」の謎を調査し、その情報をUSBメモリに保管していたことを発見しました。しかし、USBメモリは見つかりません。

調査を進める中で、狩集家の真相を知り、その物語を舞台の脚本として用いた男性が自殺したことを知った整は、その舞台の物語を汐路たちに見せました。

物語によれば、戦後の混乱の中で、鬼と2人の従者が本当の狩集家の人間を皆殺しにし、名前を乗っ取り大成した一族が今の狩集家でした。物語の内容に汐路たちは動揺しましたが、蔵の地下に埋まっている多数の人骨から、物語が実際の出来事であることを確信します。

さらに物語によれば、少女を逃がしてしまった「鬼」は、自身が偽物の狩集家であることが明るみに出ないように、同じ特徴を持つ子孫を殺すことを2人の従者と誓ったとされていました。

汐路たちは、「鬼」が恐れる「本当の狩集家の末裔」を発見した弥が、その情報をUSBメモリに保管していた、という結論を出します。

朝晴が帰宅した後、汐路は、自分が弥と最後に会った日に苛立ちからジュースを弥にこぼしたという思い出話をしました。

その話を聞いた整はUSBメモリの場所に気付き、汐路に「関係者全員に共有してください」と言いました。一方、USBメモリの場所を知った犯人は、急いでUSBメモリを見つけ、データを読み出し、「本当の狩集家の末裔」の居場所を突き止めます。

犯人は「本当の狩集家の末裔」の家を訪れ、火をつけようとしましたが、駆け付けた刑事たちに逮捕されました。整たちが到着し、犯人である朝晴に、嘘のUSBメモリを渡したことを伝えました。

「真壁家」と「車坂家」は代々狩集家の顧問となり、「従者」として「鬼」のルールを厳格に守り、謎に近づく人物ばかりでなく、狩集家でも「天然パーマ」と「色白」の者を殺してきました。

整は朝晴の言動の違和感から彼を警戒し、弥に与えたジュースが睡眠薬入りであることに気付きました。それを利用して汐路とともに朝晴に罠をかけたのです。

朝晴は罪を認め、遺産相続の場で「なぞ解き」を利用し、「本当の狩集家の末裔」を見つけ出す計画だった、と明かしました。また、謎を知っている脚本家の殺害も告白しました。

警察に連行される際、朝晴は汐路に対して、彼女が幼少期に弥の行動を教えたことで弥の殺害が容易になったことを明かし、汐路はショックを受けてしまいます。

整は悲しむ汐路を慰め、4人の候補者にアメジストドームに隠されていた弥のUSBメモリを渡し、「本当の狩集家の末裔」の元へと案内します。

その女性は弥の訪問を受け、正当な後継者として弥から日本人形を贈られたことや、「『鬼』のルールの存在を自分たちが終わらせる」という約束を受けたことを語りました。そして、4人に彼らの性格に合わせた石を用いたパワーブレスレットを渡しました。

事件が解決し、汐路たちは整を駅まで見送ります。彼はとても疲れており、新幹線で東京まで寝て帰るそうです。

一方、弥が我路と知り合いだったことから、大隣警察署にも事件の報告が届き、整の存在に刑事たちは驚きました。クルーザーで逃亡生活を続ける我路は、汐路からのメールを読み、満足そうに微笑むのでした。

それでは次に、映画『ミステリと言う勿れ』の見どころを紹介します。

見どころ1:整の独特なキャラクターを忠実に再現

主人公の久能整は天然パーマでおしゃべりな大学生。彼は、とことん考え抜く性格で、膨大な知識と独特の価値観と持論で、さまざまな謎を解き明かしていきます。

整のコミカルな言動や、鋭い洞察力は原作コミックでも人気です。

菅田将暉は、整の独特なキャラクターを、コミカルでありながらもどこか真剣な表情で演じており、原作ファンからも高い評価を受けると思います。

特に、整の膨大な知識にもとづく、雑学と推理のマシンガントークは本作の見どころのひとつです。

映画ファンにとっては、ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督の初期作『サスピリアPART2』(1975年)の引用も見逃せません!

本作を鑑賞する前に、ぜひ予習しておきましょう。

整の感じた「違和感」の意味がはっきりすると思います。

見どころ2:謎解きの面白さ

整は、遺言書に記されたお題に従って、狩集家の遺産相続をめぐる謎を解き明かしていきます。

横溝正史による小説『犬神家の一族』に代表される、由緒ある大家族の遺産相続に絡む殺人や推理劇は日本のミステリーの定番ジャンルです。

とは言え、『ミステリと言う勿れ』は現代的な家族を描き出す、新たな「遺産相続ミステリー」と言えます。

謎解きは、一筋縄ではいかないどんでん返しが用意されており、整の推理が次第に真相に迫っていく様子は、手に汗握る展開です。

見どころ3:広島の街並みや風景

映画の舞台は、広島。広島の街並みや風景が美しく描かれており、映画の雰囲気を盛り上げています。

こういった美しい風景の場面は、大画面の映画館でしか味わうことのできない魅力となっています。

まとめ:原作ファンはもちろん、映画ファンも満足できる作品

この記事では映画『ミステリと言う勿れ』(2023年)のあらすじと見どころをネタバレも含めて解説しました。

映画『ミステリと言う勿れ』は、原作やサスペンス映画のファンはもちろん、幅広い映画ファンにもおすすめできる作品です。

原作の魅力を忠実に再現しながら、映画ならではの美しい風景も盛りだくさんで、楽しめる作品となっています。

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