【映画用語】アンダーグラウンド映画とは

2023年9月13日水曜日

映画用語

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Anna Marie・ベルリン・リポート
アンダーグラウンド映画とは、一般の映画館での上映を考慮せず、映画作法の慣例から離れて制作された実験映画、個人映画、独立映画、または非合法に制作された映画の総称です。以下では、アンダーグラウンド映画の特徴や歴史、代表的な作品について詳しく解説します。 ※この記事は映画用語集の一項目です。

アンダーグラウンド映画の特徴

アンダーグラウンド映画は、伝統的な映画スタジオやメジャーな制作会社ではなく、独立した映画制作者や小規模な制作グループによって製作される映画です。

これらの映画は大衆文化や商業的な要素から外れており、より実験的で挑戦的なアプローチを取っています。

以下にこのようなアンダーグラウンド映画の特徴をあげます。

独立性

アンダーグラウンド映画は、メジャーな制作会社の制約から解放された独立した制作者によって制作されます。これにより、制作者は自分のビジョンを忠実に表現する自由があります。

実験的なアプローチ

アンダーグラウンド映画はしばしば実験的な手法やストーリーテリングアプローチを採用しています。伝統的な映画の枠組みを打破し、新しいアイデアや視覚的な要素を試みることが一般的です。

低予算

一般的にアンダーグラウンド映画は低予算で制作されます。このため、創造的な方法で資金を調達し、リソースを最大限に活用する必要があります。

アンダーグラウンド映画の歴史

アンダーグラウンド映画の歴史は古く、1920年代のダダイスムやシュルレアリスム運動に始まります。これらの運動は、伝統的な映画制作の規則に挑戦し、非常に実験的な映画を生み出しました。

1930年代末から、ニューヨークでヨーロッパのアヴァンギャルド映画が紹介され始め、1940年代には16ミリメートルカメラを使用して前衛映画や個人映画を制作する作家たちが登場しました。

1955年にはジョナス・メカスが創刊した『フィルム・カルチャー』誌が、これらのアメリカの実験的な作品を論評し、1959年には「その生涯の大半を地下的存在として送る映画」という定義を提唱し、アンダーグラウンド(略称アングラ)映画という用語が普及しました。

アングラ映画はメカス、スタン・ブラッケージ、ケネス・アンガー、アンディ・ウォーホルなどの実験映画作家を輩出し、ジョン・カサヴェテスの1960年の16ミリメートル個人制作映画『アメリカの影』を高く評価しました。

1960年には、メカスらのニューヨークを拠点に活動する前衛的な映画製作者23人が「ニュー・アメリカン・シネマ・グループ」を結成し、ハリウッド映画に対抗する個人的表現としての映画制作を宣言しました。ただし、カサヴェテスの参加は非公式とされ、まもなくグループは分裂しています。

彼らは1960年代に意欲的なアングラ映画を制作し、しばしば「オフ・ハリウッド派」または「ニューヨーク派」とも呼ばれました。

このためアンダーグラウンド映画というと一般的には、1950年代末から60年代のアメリカにおいて、ハリウッド資本の外側で作られた前衛映画を特に指すことが多いです。

このアートフォームはしばしば「アメリカン・アヴァンギャルド」または「ニュー・アメリカン・シネマ」としても知られています。

1960年代には、アンダーグラウンド映画がカウンターカルチャーと結びつき、アメリカのビート・ジェネレーションやヒッピー運動に影響を与えました。

アンダーグラウンド映画の代表的な作品

  • 『バワリー25時』(1956年):ライオネル・ロゴーシン監督作、ニューヨークのバワリー地区の1日を撮るドキュメンタリー・ドラマ
  • 『アメリカの影』(1959年):ジョン・カサヴェテス監督作、異人種間の関係を描いたヒューマンドラマ
  • 『クール・ワールド』(1963年):シャーリー・クラーク監督作、ニューヨークのハーレム地区のアフリカ系アメリカ人の生活を描いた作品

まとめ

アンダーグラウンド映画は映画制作の伝統から外れ、独自の視点やアプローチを追求する芸術的なジャンルです。これらの映画はしばしばカルト的なフォロワーを持ち、新しい映画メディアの可能性を開拓しています。

アンダーグラウンド映画の世界を探索し、挑戦的で刺激的な映画体験を楽しんでみてください。

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