アメリカン・ニューシネマ成立の背景
アメリカン・ニューシネマは、1960年代から1970年代前半の社会的・政治的な状況や文化的な変化に反応して生まれました。
この時期は、ベトナム戦争や公民権運動、反体制運動などの大きな社会変動が起こり、若者たちの意識や価値観が変化しています。
アメリカン・ニューシネマの映画作品は、これらの社会的なテーマや個人の内面、不条理な現実に向き合うことを試み、従来のハリウッドのエンターテイメント映画とは異なるアプローチを採用しました。
アメリカン・ニューシネマの特徴
アメリカン・ニューシネマの特徴的な要素としては、以下のようなものがあります。
- ローカルな環境や現実の描写
- 従来のスタジオシステムのセットやスタジオでの制作ではなく、実際の都市や街角、現実の環境を舞台にした作品が多く制作されています。また、実在の人々や社会問題に焦点を置くこともありました。
- 手持ちカメラやドキュメンタリースタイルの撮影
- 革新的な映像技法として、手持ちカメラを使った映像やドキュメンタリースタイルの撮影が多く取り入れられました。視覚的にリアルでダイナミックな映像表現が特徴です。
- 非俳優や未知の俳優の起用
- キャストには有名な俳優ではなく、未知の俳優や一般人を起用することが少なくありません。これにより、撮影費用を抑えるばかりでなくよりリアルな演技やキャラクター描写が可能となりました。
- 脚本の自由度と実験性
- アメリカン・ニューシネマの映画作品は、従来のストーリーテリングの枠にとらわれず、自由な脚本や実験的なストーリー展開を試みました。映画の構造や編集においても革新的な手法が採用されています。
アメリカン・ニューシネマの代表的監督
アメリカン・ニューシネマは、従来のスタジオシステムに対する批判や、制約からの解放を求める若い映画監督たちによって牽引されました。
代表的なアメリカン・ニューシネマの映画監督には、マーティン・スコセッシ、フランシス・フォード・コッポラ、ウディ・アレン、ロバート・アルトマン、デニス・ホッパーなどがいます。
これらの映画監督たちは、映画産業における革新と表現の自由を追求し、後の映画制作に大きな影響を与えました。
アメリカン・ニューシネマの代表的作品
以下にいくつかのアメリカン・ニューシネマの代表的な作品を挙げます。
- 『タクシードライバー』(1976年):マーティン・スコセッシ監督
- 『ゴッドファーザー』(1972年):フランシス・フォード・コッポラ監督
- 『イージーライダー』(1969年):デニス・ホッパー監督
- 『アニー・ホール』:ウッディ・アレン監督
- 『M★A★S★H マッシュ』:ロバート・アルトマン監督
これらの作品は、社会や人間の内面を掘り下げたり、従来の映画制作の枠を超えたりする試みを行いました。これらの作品は映画史において重要な位置を占めており、今なお評価され続けています。
リンク
アメリカン・ニューシネマにあたる英語
日本で「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれる運動は、英語でNew Hollywood、American New Wave、Hollywood Renaissanceと言います
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