映画『ミナリ』とは
『ミナリ』は、1980年代にアメリカ・アーカンソー州に移住して農場を立ち上げる韓国系移民の一家を描いた、ヒューマンドラマ映画。タイトルの「ミナリ」とは、日本では春の七草の1つである「セリ」にあたる植物を指す韓国語です。
監督・脚本を務めたリー・アイザック・チョンは、アーカンソー州の農場で育った韓国系アメリカ人。彼の半自伝的作品と言える本作は、アジア系移民がアメリカで直面する日常を細かく描いており、日本人も共感できる部分が少なくないです。
主人公・ジェイコブ役を務めたスティーブン・ユアンは、村上春樹の短編小説にもとづいた映画『バーニング 劇場版』(2018年)のベン役で日本では知られています。さらに韓国から呼び寄せられてひと波乱起こすおばあちゃん・スンジャを、ベテラン女優ユン・ヨジュンが好演して、アカデミー助演女優賞に輝きました。
韓国人一家の物語なのでセリフの大半は韓国語ですが、アーカンソー州の田舎のアメリカ人との交流も描かれています。近所の人と知り合いになったり、仕事仲間を初めて家に招待したりと、アメリカに移り住んだ人が誰でも経験するシーンも少なくないです。
アメリカに家族で長期滞在したことのある人ならば自らの経験に照らして共感することもあると思います。またこれからアメリカに行こうと思っている人には、アジア系移民のアメリカにおける生活の一端を垣間見ることのできる貴重な映画です。
今回の表現とダイアログ
【What do you say?】 どうかな? / 何て言うのかな? / 元気?
今回のダイアログは、子どもがお菓子をもらったときに親が子どもにお礼を言うように促すシーンを取り上げます。
- Randy: Would you like a sucker? I bet you would like the blue one.
- ランディ:キャンディ食べるかい。青が好きかな。
- Jacob: What do you say?
- ジェイコブ:何て言うのかな?
- David: Thank you.
- デヴィッド:ありがとう。
表現解説
What do you say? は、アメリカでよく使われるくだけた慣用句で、相手に何かを促したり挨拶代わりに使えたりする便利な表現です。
上にあげたダイアログでは、ジェイコブが息子・デヴィッドに、キャンディをくれた銀行員・ランディに対してお礼を言うように促しています。
子どもにThank youやPleaseといった丁寧な口のきき方を教えるのは重要なしつけですが、What do you say? という慣用句はそんなとき次の例文のようにも使われます。
I want cake! - What do you say? - Please!(ケーキ食べたい! - 何て言うの? - プリーズ)
またWhat do you say? は子どもに対してばかりでなく、一般的に相手の意向を聞いたり、促したりする意味でも頻繁に使われます。
Let’s go to the movies tonight, what do you say?(今夜映画に行くのどうかな?)
さらにWhat do you say? はHow are you? と同じ意味で挨拶代わりに使われることがあることも覚えておきましょう。