マーベル・コミックスにおけるエロス/スターフォックスのオリジン・ストーリー
映画『エターナルズ』のポスト=クレジット・シーンでMCU初参加となるエロスは別名「スターフォックス」と呼ばれるヒーロー。原作マーベル・コミックスには1973年に兄・サノスと同時に初登場しています。
MCUでエロス役を演じるのはイギリスのバンド・ワン・ダイレクションのメンバーで、現在は歌手としてソロ活動をしながら映画俳優としても活躍するハリー・スタイルズです。
映画『エターナルズ』のネタバレも含めたあらすじの詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
兄・サノスとは対照的な性格と外見
エロスは高度な文明を持つ土星の衛星タイタンに生まれました。父親は地球からタイタンに移住したエターナルズのリーダー・アラース/メンターで母親はタイタンのエターナル・スイサンです。
エロスは兄のサノスとは異なり、死や権力よりも女性との恋愛に興味を持つのんびりとした性格でした。
性格ばかりでなく外見もサノスとエロスは大きく異なります。エロスはエターナルズに似た均整の取れた人間の外見ですが、サノスはコミックのデヴィアンツに似た恐ろしい外見です。
サノスと仲違いするきっかけ
この外見のゆえに迫害されたサノスが復讐のためタイタンを攻撃し母親を殺害したことで、兄弟の間に溝ができました。
タイタンを破滅から救うため、エロスと彼の父はコミックの初代キャプテン・マーベルと手を結んでサノスを倒そうとします。
ロマンスと冒険を求めて地球に
サノスとの戦いの後、荒廃したタイタンを再建したエロスは、ロマンスと冒険を求めて地球を訪れます。実はエロスは数千年前に地球を訪れたことがあり、ギリシア・ローマ神話のエロス/キューピッドのモデルになっていたのです。
地球を再訪したエロスはアベンジャーズの見習いメンバーとなります。
「スターフォックス」という名前は、このときにヒーローのワスプが命名したもの。「エロス」という名前が地球ではエロティックなものを連想させるため、その名がつけられました。
エロス/スターフォックスの能力
エロスはエターナルズの血を受け継ぎ超人的な力、俊敏性、耐久性、不老不死、飛行能力などを持っています。とはいえ、どの能力も他のエターナルズのメンバーを凌駕するほど強力ではありません。
エロスの最も重要な能力は、他人の感情をコントロールすることです。近くの人々の脳の快楽センターを刺激し、落ち着かせ、暗示を受け入れさせることができます。
この能力を使って自分や自分が選んだ対象物や人間を好きになるよう他人を操ることもできます。しかし、エロスはこの能力を悪用することはありません。
もともと魅力的なエロスは地球でも恋人が多く、彼を好きになった女性の夫から訴えられたこともあります。
このとき彼の弁護を担当したジェニファー・ウァルターズ/シー・ハルクはエロスがこの能力を悪用したと思って彼をボコボコにしていました。
ピップ・ザ・トロールとの冒険
映画『エターナルズ』の結末でエロスはピップ・ザ・トロールとともにエターナルズの宇宙船に現れます。そこで次に原作コミックでエロスとピップが一緒に活躍する作品を紹介したいと思います。
サノスの生みの親・ジム・スターリンは2018〜2019年の間に『Thanos: The Infinity Sibilings』『Thanos: The Infinity Conflict』『Thanos: The Infinity Ending』と3冊のグラフィック・ノベルを送り出しました。
このグラフィック・ノベルでスターフォックスはピップ・ザ・トロールと協力してサノスの虐殺を止めるため歴史を変えようとしています。
はるか未来の世界でサノスは無限の力を手に入れ、過去の自分を支配することで勝利を確実なものにしようとしました。
アダム・ウォーロックとエロスはテレポート能力のあるトロール・ピップと協力してこの未来のサノスの計画を阻止しようとします。
しかし、アダム・ウォーロックはサノスに殺されてしまいます。遺されたエロスとピップは征服者カーンからタイムトラベルの技術を盗み、サノスの虐殺を止めようと時空を超えた冒険に乗り出すのでした。
エロス登場はサノス復活の前触れか?
この記事では映画『エターナルズ』でMCUに初登場したサノスの弟・エロス/スターフォックスについて詳しく解説し、ピップとの関係も紹介しました。
最後に映画『エターナルズ』のポスト=クレジット・シーンが持つ意味について考えてみたいと思います。
ジム・スターリンは2021年1月のインタビューでサノスがMCUに復帰する可能性がある、と語っており、映画『エターナルズ』で復帰する、とさえ言っていました。
映画『エターナルズ』にサノスは登場しませんが、エロスとピップの登場するポスト=クレジット・シーンはサノス復活を予告するものかもしれません。
スターリンのグラフィック・ノベルの物語を考慮すると征服者・カーンやアダム・ワーロック、さらにサノスまでも巻き込んだ壮大な冒険への布石であると考えられるのです。