【映画用語】「映画」 を英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語で何と言うの? 映画の昔の呼び名は?

2023年9月28日木曜日

映画用語

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Anna Marie・ベルリン・リポート
この記事では「映画」を意味する外国語や、日本における「映画」という言葉の歴史について解説します。 ※この記事は映画用語集の一項目です。

「映画」や「シネマ」という言葉の由来を解説!

日本語で「映画」のことを「シネマ」や「キネマ」と呼ぶことがあります。1919年に創刊された雑誌『キネマ旬報』のタイトルに見られるように、昔は「キネマ」という言葉は、「映画」と同じようによく使われていました。「シネマ」も「キネマ」と語源を同じくする言葉です。

それでは「シネマ」や「キネマ」という言葉は何に由来するのでしょうか? 英語など外国語で「映画」のことを何と言うのでしょうか? 日本ではどのようにして「映画」という言葉が定着したのでしょうか?

この記事はこういった疑問にお答えします!

「シネマ」や「キネマ」の由来

現代の映画の父と呼ばれるのは、アメリカの発明王・エジソンとフランス人のリュミエール兄弟です。彼らは19世紀末、ほぼ同時期に映画の原型になる機械を発明しました。

エジソンは、自分の発明を「キネトスコープ」と呼び、リュミエール兄弟は自分たちの発明に「シネマトグラフ/cinématographe」という名前を付けました。

どちらの名称もギリシア語で「動かす」を表す動詞「キネオー(κινέω)」に由来しています。

エジソンのキネトスコープを壁やスクリーンに映写するプロジェクターは、「ヴァイタスコープ」と呼ばれました。この言葉はラテン語の「生命=vita」にもとづいた言葉です。

これらの最初期の映画機器が世界に広まっていくとともに、世界各地で映画を指す言葉が考案され定着していきました。

「映画」を英語で何と言うの?

「映画」のことを英語では、「ムーヴィー/movie」、「film/フィルム」、「モーション・ピクチャー/motion picture」、「シネマ/cinema」などと言います。

英語圏では、映画が誕生する前から回転覗き絵に由来する「ムーヴィング・ピクチャー」という言葉が存在し、「ムーヴィー」という言葉のもとになりました。アメリカでは「ムーヴィー」を使う人が多いです。

一方、映画の撮影や映写に使われるフィルムから転じた「film」という呼び方は、世界的に、特にヨーロッパで映画を指す言葉として一般的に使用されています。

「映画」をフランス語で何と言うの?

「映画」のことをフランス語では、「フィルム/film」、「シネマ/cinéma」、「シネ/ciné」と言います。

「フィルム」以外はリュミエール兄弟の「シネマトグラフ/cinématographe」に由来する言葉です。

「映画」をドイツ語で何と言うの?

「映画」のことをドイツ語では、「フィルム/Film」、「シュピールフィルム/Spielfilm」、「キノ/Kino」と言います。

「シュピールフィルム」は、「シュピール/劇」と「フィルム」を組み合わせた言葉。「キノ」は「シネマトグラフ/cinématographe」にあたるドイツ語を短くしたもので、「映画館」を意味します。

「映画」をイタリア語で何と言うの?

「映画」のことをイタリア語では、「フィルム/film」、「ペリコラ/pellicola」、「キネマ/cinema」と言います。

「キネマ」はフランス語がもとです。一方、「ペリコラ」は、ラテン語で「皮」や「皮膚」を表すpellisに由来します。

「映画」をその他の言語で何と言うの?

ロシア語で「映画」にあたる単語は、Фильмです。

中国語で「映画」は电影と言います。

スペイン語で「映画」にあたる言葉は、películaです。イタリア語の「ペリコラ」と同じくラテン語に由来します。

日本における「映画」という名称の歴史

エジソンのキネトスコープは、早くも1896年に日本に輸入されました。このとき新聞では、幻灯機に対して用いられていた「活動写真」「写真活動機」という言葉が用いられています。

続いてやってきたシネマトグラフは「自動写真」、「自動幻画」と呼ばれました。一方、ヴァイタグラフは「活動写真」と呼ばれています。

このため明治・大正期には「活動写真」という言葉が広まりました。日本最初の映画会社の名称も日本活動写真株式会社=日活です。

活動写真を略して、映画は「活動」、映画人は「活動屋」と呼ばれ、この呼び方は「映画」という言葉が一般的になった昭和期でも、昔を懐かしんで用いられ続けます。

1910年代末に日本映画界では、「純映画劇運動」と呼ばれる革新運動が起こり、このとき旧来の活動写真と一線を画するために、「映画」という言葉が盛んに使われるようになりました。

同じような意図で「キネマ」という言葉も使われるようになっています。キネマという呼び方は、松竹キネマや帝国キネマといった社名や、雑誌『キネマ旬報』の創刊(1919年)で普及しましたが、昭和期の戦争中に敵性語の規制で社名などから消えました。

同じ頃に東宝映画や大日本映画株式会社=大映が創設され、日本では「映画」という言葉が最も一般的に用いられるようになっていきました。

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