映画が誕生したのはいつですか?
1895年12月28日、パリのキャピシーヌ通り14番地にあったグラン・カフェの地下にある「インドの間」という部屋で、リュミエール兄弟が開発した「シネマトグラフ・リュミエール」という機械が映写機として使用されました。
この機械を使い、35ミリフィルムに記録された映像がスクリーンに投影され、一般の観客を対象に有料の公開上映が初めて行われたのです。
これが一般的に「映画の誕生」とされています。
世界で最初の映画は?
このとき上映された作品、すなわち世界で最初の映画は、『リュミエール工場の出口』や『ラ・シオタ駅への列車の到着』、『赤ん坊の食事』、『水をかけられた撒水夫』などがあり、それぞれ1分程度の実写短編でした。
入場料は1フラン、全体のプログラムは25分ほどで、客席100席のうち半分も埋まらなかったとされています。
当時のチラシには上映作品は10本と記載されていますが、11本または12本とする説もあり、有料入場者数についても33人説や35人説があるなど、詳細ははっきりしていません。
また、『列車の到着』の上映時に「列車が向かってくる映像に驚いた観客が逃げ出した」という有名なエピソードも、実際にはシネマトグラフの宣伝として誇張された話だと言われています。
映画の生まれたきっかけは?
映画の誕生を厳密に定義することは難しく、リュミエール以前にも映像の投影や連続写真を使った動きのある映像の試みは行われていました。
19世紀末には、欧米各地で同時多発的に動画を映写する技術が発明・開発されており、このような動きが映画の生まれるきっかけとなったのです。
アメリカのトーマス・エジソンは、箱の中でフィルムに光を当て、のぞき穴から動画を鑑賞する「キネトスコープ」を開発し、1894年4月にニューヨークで公開しました。
一方、リュミエール兄弟の「シネマトグラフ」はスクリーンに映像を投影し、多くの観客が同時に鑑賞できる仕組みを取り入れ、1895年3月に専門家向けの試写上映が行われました。
また、ドイツのスクラダノフスキー兄弟は二重投影機「ビオスコープ」を開発し、同年11月にベルリンで一般公開を実現しました。
その後、12月にリュミエール兄弟のシネマトグラフが一般公開され、その影響を受けたエジソンもスクリーン投影型の「ヴァイタスコープ」を1896年4月に正式上映しました。
この経緯からアメリカではエジソンを映画の発明者とする意見も根強く残っていますが、最終的にエジソンの装置やビオスコープは「映画の誕生」とは認定されていません。
映画の歴史の始まりはいつですか?
20世紀の終わりに映画100周年が近づくと、世界のフィルムアーカイブの合意により、1893年から1896年の間に映画の歴史は始まり、1895年が映画誕生のピークであったと理解されるようになりました。
そのため、多くの国で映画100周年の記念行事はシネマトグラフの公開を基準として行われ、マスコミもリュミエール兄弟を映画の発明者として取り上げることで、「映画の誕生」が一般的に認められるになりました。
この認識の基礎となるのは、映画とは「フィルム作品を映写機を用いて劇場で多くの観客に有料で公開するもの」という定義です。
しかし、現代ではデジタル技術の発展により「フィルム」に限定されない新しい映画の形が登場しており、その概念は今後見直されることと考えられます。
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