映画『ジェントルメン』の作品情報
『ジェントルメン』は2019年に公開されたイギリス・アメリカ製作のアクション・コメディ映画。アメリカからイギリスにわたって大麻ビジネスを築きあげた男が、新聞記者の恐喝やライバル組織の買収工作や暗殺計画に巻き込まれる物語です。
超豪華なキャストが集結したこの映画。主人公のミッキー役にはマシュー・マコノヒー、彼の片腕・レイモンド役はチャーリー・ハナム、ミッキーのスキャンダルを探る新聞記者・フレッチャー役はヒュー・グラントです。
監督・脚本を務めたのは、『アラジン』(2019年)で興行的に大成功を収めたばかりのガイ・リッチー。ギャングの男たちの駆引きが予測不可能な展開を生み出す本作は、同監督のデビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)に通じるものがあります。
- 原題:The Gentlemen
- 監督・脚本:ガイ・リッチー
- キャスト:マシュー・マコノヒー、チャーリー・ハナム、ヒュー・グラント
- 公開年:2019年
- 上映時間:1時間53分
- 製作国:イギリス・アメリカ
映画『ジェントルメン』予告編
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映画『ジェントルメン』はガイ・リッチー監督の原点回帰
映画『ジェントルメン』の監督・脚本を務めたガイ・リッチーは1968年生まれ、イギリス出身の映画監督、脚本家です。
2019年に公開されたディズニー実写映画『アラジン』とは対照的に、リッチー監督の原点は軽快なテンポと緻密なストーリーを特色とする犯罪(クライム)コメディでした。
その作風は彼の長編映画デビュー作である『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(1998年)ですでに明確になっています。この映画はロンドンのチンピラ4人組がギャングの大麻と金を奪うことを計画したことから、予測不可能なストーリー展開になる犯罪コメディ。主役の1人を演じたジェイソン・ステイサムの知名度を一気に上げた作品でもあります。
個性的なキャストを集めた群集劇、短いカットでテンポよく進むストーリー展開、2転3転して迎える予測不可能な結末といったリッチー監督の作風はこの映画で確立されました。
その後リッチー監督は、『スナッチ』(2000年)、『リボルバー』(2005年)『ロックンローラ』(2008年)と似たようなスタイルの作品を生み出していきます。
しかし、『ロックンローラ』以後リッチー監督は一般的な映画に進出します。特にロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウを主演に迎えた「シャーロック・ホームズ」(2009-2011年)や前述の『アラジン』(2019年)は興行的に大成功を収めました。
『ジェントルメン』は、このようなリッチー監督が約10年ぶりに原点に回帰した作品と位置づけられます。
映画『ジェントルメン』のキャスト
この節では映画『ジェントルメン』のメイン・キャストをご紹介します。見出しは「役の名前:俳優の名前」の順番です。
マイケル・“ミッキー”・ピアソン:マシュー・マコノヒー
ミッキーはアメリカからイギリスに渡って大麻ビジネスを築き上げたギャングです。
ミッキー役を演じるマシュー・マコノヒーは1969年生まれ、アメリカ出身の俳優です。1993年に『バッド・チューニング』で注目されたマコノヒーは、法律ドラマ『評決のとき』(1996年)で主役を務め、スターの地位を確立します。
2000年代には『ウェディング・プランナー』(2001年)を皮切りにロマンティック・コメディに次々と出演してセックスシンボルとして人気が出ました。
2010年代には法律ドラマ『リンカーン弁護士』(2011年)など、よりドラマティックな役を演じるようになります。特に伝記映画『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年)におけるエイズの診断を受けたカウボーイ役の演技は、アカデミー主演男優賞に輝いたほど高く評価されています。
レイモンド・“レイ”・スミス:チャーリー・ハナム
ミッキーの片腕・レイモンドに扮したチャーリー・ハナムは1980年生まれ、イギリス出身の俳優です。ハナムは17歳のときに靴屋で買い物をしていてスカウトされました。18歳のときから出演したTVシリーズ『Queer as Folk』(1999~2000年)におけるゲイの少年役で注目され、アメリカに渡ります。
2002年に『ディケンズのニコラス・ニクルビー』で映画初主演。2008年から2014年までTVシリーズ『サンズ・オブ・アナーキー』で凶悪暴走族・ジャクソン・“ジャックス”・テラー役で主役を務めました。
2010年代にはアジアで大ヒットしたSF映画『パシフィック・リム』(2013年)や、冒険映画『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』(2016年)に主演。2017年に公開されたガイ・リッチー監督の『キング・アーサー』でも主役を務めています。
フレッチャー:ヒュー・グラント
フレッチャーはミッキーのスキャンダルを調査した結果をさまざまな人物に売りつけて大儲けしようとする新聞記者。本作のナレーターとも言えます。
この節操のない男の役を演じるヒュー・グラントは1960年生まれ、イギリス出身の俳優です。
『モーリス』(1987年)や『日の名残り』(1993年)といった時代物で注目を集めた彼は、ロマンティック・コメディ『フォー・ウェディング』(1994年)で世界的に有名になります。
その後、『ノッティングヒルの恋人』(1999年)、「ブリジット・ジョーンズ」シリーズ(2001~2004年)、『ラブ・アクチュアリー』(2003年)といったヒット作に出演。なんとなく頼りなさそうで、礼儀正しく親しみの持てるキャラクターを演じて大人気を博します。
一方、2010年代に入って『クラウド・アトラス』(2012年)や『パディントン2』(2017年)で強烈な悪役の演技も見せるようになりました。
ガイ・リッチー監督の作品には、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)にウェーバリー役で出演しています。
その他の登場人物
ここからは映画『ジェントルメン』のその他の登場人物を簡単に紹介します。各項目は「役の名前 / 俳優の名前:キャラクターの簡単な説明」の順番です。
- ロザリンド・“ロズ”・ピアソン/ミシェル・ドッカリー:ミッキーの妻。女性だけの高級自動車修理工場を経営している
- ビッグ・デイヴ/エディ・マーサン:タブロイド紙『デイリー・プリント』の編集長。ミッキーにメンツを潰された仕返しに、ミッキーのスキャンダルをフレッチャーに探らせる
- マシュー・バーガー/ジェレミー・ストロング:ユダヤ系アメリカ人の大富豪。ミッキーの大麻ビジネスを買おうとしている
- ジャッキー/リン・レネー:マシューの妻
- ベニー/ フランツ・ドラメー:ミッキーの大麻栽培施設を襲撃する総合格闘技の若者グループ・「トドラーズ」のメンバー 。アフリカ系
- アーニー/ バグジー・マローン:同じくトドラーズのメンバー。アフリカ系
- プライムタイム/ クリス・エヴァンゲロー:同じくトドラーズのメンバー。ジプシー系
- コーチ/コリン・ファレル:ロンドンでトドラーズのメンバーなど血の気の多い若者を集めてトレーニングする総合格闘技のコーチ。アイルランド出身
- ジョージ卿/トム・ウー:中国人マフィアのボス
- ドライ・アイ/ヘンリー・ゴールディング:ジョージ卿の手下。裏社会でのし上がるためには手段を選ばない
- ファック/ジェイソン・ウォン:ドライ・アイの手下
- バニー/ チディ・アジュフォ:レイモンドの手下
- チャールズ・プレスフィールド公爵/サミュエル・ウェスト:一時は王位継承順位第4位だったほど高位の貴族だが、金に困ってミッキーの大麻栽培に土地を借している
- ローラ・プレスフィールド/エリオット・サムナー:プレスフィールド公爵の娘。家出して公営住宅でヘロイン漬けになっている
- アスラン/ダニー・グリフィス:元KGBのロシア系大物ギャングの息子。ローラのヘロイン仲間
映画『ジェントルメン』前半のあらすじ【ネタバレなし】
謎めいたオープニング
ある日、ロンドンのパブに「ボス」と呼ばれる男(マシュー・マコノヒー)が入ってきてビールと酢漬けの卵を注文して席につきます。
彼が携帯で妻と待ち合わせの約束をしていると背後に拳銃を持った男が忍び寄ってきました。一発の銃声が響いて机に血が飛び散ったところでオープニング・クレジットとなります。
新聞記者が30億円の口止め料を要求
場面は変わってギャングのレイモンド(チャーリー・ハナム)の家。夜にレイモンドが帰宅すると、台所でタブロイド紙のレポーター・フレッチャー(ヒュー・グラント)が待っていました。フレッチャーは、レイモンドに彼のボス・ミッキー(マコノヒー)の重大な秘密を掴んだと告げます。
フレッチャーを雇ったのは、タブロイド紙『デイリー・プリント』の編集長・ビッグ・デイヴでした。彼は上流社会のパーティでミッキーに握手を拒まれて面子を潰されたことを恨んでいました。そこでビッグ・デイヴはギャングのボス・ミッキーと、一時は王位継承順位第4位だったプレスフィールド公爵の癒着をスキャンダルにして仕返しをしようとフレッチャーに調査を依頼したのです。
フレッチャーは、その調査結果をビッグ・デイヴに渡さない代わりに2,000万ポンド(約30億7,282万円)の支払いをレイモンドに要求します。フレッチャーが掴んだミッキーの秘密とは何か?本作の4分の3は、フレッチャーがレイモンドに調査結果を話して聞かせる形で進行します。
大麻ビジネスを売却しようとする主人公
話はミッキーの過去に遡ります。アメリカのトレーラーパークで貧しい家庭に育った彼は、ローズ奨学制度を利用してオックスフォード大学に留学しました。同大学で学ぶ裕福な家庭の子女に大麻を売ることで大儲けしたミッキーは、大学をやめて裏社会に入り大麻ビジネスを立ち上げます。
しかし、西側先進国で大麻の合法化が進んできたため、ミッキーのビジネスも合法化する必要が生じてきました。ですが裏社会で手段を選ばずのし上がってきた過去のあるミッキーは表に立てません。そこで大麻事業を経歴にキズのついていないパートナーに売却してミッキーは引退、愛妻・ロザリンド(ミシェル・ドッカリー)と平穏な生活を送ろうと考えているのです。
ユダヤ人や中国人マフィアが買収競争に参戦
ミッキーはユダヤ系アメリカ人の億万長者・マシュー・バーガー(ジェレミー・ストロング)に大麻の栽培、加工から販売まで行う組織を40億ポンド(約615億3,197万円)で売却する話を持ちかけました。ミッキーは豪華な生活を維持する資金繰りに窮した貴族たちの領地の地下に作った、秘密の大麻栽培施設の1つにバーガーを案内します。
それから程なくして、中国人マフィアのボス・ジョージ卿(トム・ウー)の手下・ドライ・アイ(ヘンリー・ゴールディング)がミッキーの事業を買い取りたいと申し出ますが、ミッキーは断ります。
ロンドンの若者グループが大麻栽培施設を襲撃
その直後、総合格闘技のトレーニングを受けた若者たちがミッキーの大麻栽培施設を襲撃して大麻を強奪する事件が発生しました。さらに若者グループは「トドラーズ(よちよち歩きをする人、特に幼児を指す)」と名乗って襲撃の様子を動画サイトにアップロードしたのです。それを見た彼らのコーチ(コリン・ファレル)は、大麻がミッキーのものだと知って驚愕、すぐに動画を削除して大麻を返すよう命じます。
一方、この事件で危機感をもったミッキーは、貴族たちの領地から大麻を引き上げ始めます。しかし、今までのよしみから、ミッキーはプレスフィールド公爵の家出した娘・ローラを連れ戻す仕事を引き受けました。
ロシア系マフィアまで絡んでくる
ミッキーの指示でレイモンドは公営住宅でヘロイン中毒の若者たちと生活しているローラのもとを訪れます。レイモンドはローラを救出しましたが、その騒ぎでローラの仲間のロシア人・アスランがベランダから落ちて死んでしまいます。まずいことにアスランは、元KGBで今はロシア系マフィアの大物の息子だったのです。ローラも家に帰ったものの、ヘロインの過剰摂取が原因で間もなく亡くなってしまいました。
大麻栽培施設襲撃の背後には中国人が
ミッキーの大麻を強奪した若者グループ・トドラーズのコーチはレイモンドに詫びを入れて、償いとしてミッキーの力になることを誓います。その手始めとしてコーチは、トドラーズにミッキーの大麻製造施設の場所を教えたドライ・アイの手下・ファック(Phで始まる人名)を捕まえてきました。
大麻栽培施設襲撃の背後に中国人マフィアがいることを知ったミッキーは、中国人マフィアの元締め・ジョージ卿を訪問しました。過剰摂取で死者を出すような危険なヘロイン密売に関与していながら、自分は悪いことをしていないとシラを切るジョージ卿の偽善はミッキーの義憤を買います。
ミッキーはヘロイン施設の1つを焼き討ちにしてジョージ卿に脅しをかけます。ジョージ卿は暴走するドライ・アイの殺害を殺し屋に命じますが、逆に自分が殺されてしまいました。
こうしてミッキーの大麻ビジネス売却の話は、裏社会に次々と予測不可能な連鎖反応を起こしていくのでした。
映画『ジェントルメン』後半のあらすじ【ネタバレあり】
大麻栽培施設襲撃の黒幕はユダヤ系アメリカ人の大富豪
実はドライ・アイに大麻栽培施設の場所を教えたのはバーガーでした。彼は中国人マフィアのトップを狙うドライ・アイと結託してミッキーの大麻ビジネスを撹乱することで、買収価格を大幅に値切ろうと考えたのです。
一方、息子が死んだのはミッキーのせいだと確信したロシア系マフィアも彼の命を狙っていました。冒頭のシーンは、ミッキーを殺しにきたロシアのヒットマンをレイモンドが始末した場面だったのです。
同じころ、ドライ・アイは ミッキーの妻・ロザリンドを暴行して誘拐しようとしますが、駆けつけたミッキーに射殺されます。
ここまでの調査結果をレイモンドに伝えたフレッチャーは、72時間以内に返事がなかったらミッキーの秘密をすべてばらすと脅して帰っていきます。しかしミッキーたちがこのまま黙っているはずもありません。
ミッキーの反撃
まずレイモンドはトドラーズにビッグ・デイヴを誘拐させます。薬を打たれたビッグ・デイヴは豚と一夜を過ごした醜態をビデオに撮られて、ミッキーに関する調査を止めるよう脅迫されます。
ミッキーの方は、バーガーを魚冷凍工場に呼び出しました。バーガーは大麻ビジネスにケチがついたことを口実に買収価格を1億3,000万ポンド(約199億9,998万円)に値切りますが、ミッキーは冷凍されたドライ・アイの死体を見せて事業を手放す気はないと告げます。
それどころかミッキーはバーガーに損害賠償を求め、2億7,000万ポンド(約415億3,551万円)を振り込まなければ冷凍庫に閉じ込めて凍死させると脅します。おまけに妻・ロザリンドに強姦寸前の恐怖を味あわせた代償に、バーガーの体から肉を1ポンド(約454グラム)切り取るよう要求するのでした。
やがて口止め料の支払いを迫ってきたフレッチャーに、レイモンドは彼の調査ファイルはすべて回収したと伝えます。レイモンドは前回の訪問時にすきを見てフレッチャーの靴に発信機をつけ、彼をずっと監視していたのでした。しかしフレッチャーはロシアのマフィアにミッキーのことをもうばらしたと告げます。
ロシアのヒットマンをコーチとトドラーズが撃滅
それと同時にレイモンドの家にロシアのヒットマンが侵入してきますが、居合わせたコーチがやっつけてくれました。その混乱をついてフレッチャーはまんまと逃亡します。
レイモンドはミッキーに危険を知らせようとしますが時すでに遅く、ミッキーはロシア人に捕まった後でした。しかしコーチを助けようとミッキーの命を狙っていたトドラーズが間違ってロシア人をマシンガンで蜂の巣にして、はからずもミッキーを救出します。
とりあえず一件落着
しばらくして、強欲なフレッチャーは今回の調査結果をもとに書いた映画の脚本を映画会社・ミラマックスに売り込もうとしていました。事務所を後にして空港へ向かうタクシーに乗ったフレッチャーは、待ち構えていたレイモンドに捕まります。
とりあえず一見落着したミッキーはロザリンドと水入らずのひとときを楽しむのでした。
映画『ジェントルメン』の結末をネタバレ解説
完全に解決しないオープンなエンディング
映画『ジェントルメン』の結末は、完全には解決しないオープンなものになっています。
ミッキーの引退計画は、大麻ビジネスの売却がお流れになったので御破算になってしまいました。
ジョージ卿やドライ・アイといった幹部を失った中国人マフィアも壊滅したわけではないため、今後の動向が気になります。息子の死を恨んでいるロシア系マフィアもこのまま引き下がるかどうか疑問です。
続編の可能性もある!
結末でフレッチャーは、映画会社・ミラマックスに今回の事件をもとにした映画の脚本を売り込もうとしていました。ちなみにミラマックスは実在する映画会社で、本作の製作にも関わっています。
台本を読んだミラマックスの重役(実はリッチー監督のカメオ出演!)は、「それでミッキーはどうなったの?結末がないね」と言います。それに対してフレッチャーは、「それは続きのお楽しみです(What you need is a sequel)」と答えました。
そう言うフレッチャーの背後には、リッチー監督のスパイ映画『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015年)のポスターが……。
リッチー監督が『コードネーム U.N.C.L.E.』や本作の続編を作りたいと言わんがばかりの結末です。
とはいえレイモンドに捕まったフレッチャーに未来はないでしょう。しかし、2020年10月にミラマックスはリッチー監督も参加して本作のスピンオフとなるTVシリーズの製作を開始したそうです。
映画『ジェントルメン』で流れる楽曲
映画『ジェントルメン』は、物語を盛り上げるのに効果的な楽曲が随所に使用されているのも魅力の1つ。
以下に映画『ジェントルメン』で使われた歌曲を表にまとめました。各項目は曲名、アーチストの順番です。
- "Cumberland Gap" - David Rawlings
- "Sunshine of Your Love" - Cream
- "Vitamin C" - Can
- "Count Your Blessings" - Mattiel
- "The Snake" - Johnny Rivers
- "Bush" - Bugzy Malone
- "In Every Dream Home a Heartache" - Roxy Music
- "Oh Shit" - The Pharcyde
- "Shimmy Shimmy Ya" - El Michels Affair
- "Brothers on the Slide" - Cymande
- "Free Me" - Paul Jones
- "That's Entertainment" - The Jam
オープニングでミッキーのモノローグの背景に流れる曲は、デヴィッド・ロウリングスの「Cumberland Gap」。アメリカからイギリスに渡り裏社会の地獄を生き残ってきたミッキーの人生に重なる歌詞です。
ロザリンドの自動車修理工場のシーンの最初に流れている曲は「Vitamin C」。この曲はポール・トーマス・アンダーソンのネオ・ノアール犯罪映画『インヒアレント・ヴァイス』(2014年)などでも使われています
ミッキーの大麻栽培施設襲撃の動画のBGM「Bush」はバグジー・マローンの曲で、マローン本人はアーニー役で出演しています。
レイモンドが公営住宅でアスランの死亡現場をスマホで撮影した少年を追いかけるシーンで使われた曲は、「Shimmy Shimmy Ya」。もとはオール・ダーティー・バスタードがレコーディングしたものを、本作ではEl Michels Affairがカバーしました。
ミッキーがロシア人に捕まった場面では、彼の心境を代弁するかのように「Free Me」が流れます。
映画の締めくくりは「That’s Entertainment」とこれまたピッタリのサウンドトラックです。
まとめ:映画『ジェントルメン』の感想評価
この記事では映画『ジェントルメン』のあらすじ、キャストなどをネタバレも含めて詳しく、わかりやすく紹介しました。
本作はマシュー・マコノヒーをはじめ豪華なキャストを迎え、ウィットに富んだセリフや楽曲、登場人物の性格を反映した衣装など洗練された作品に仕上がっています。またえげつないタブロイド紙のレポーターに扮したヒュー・グラントの多彩な演技は、特筆に値するでしょう。
シェイクスピア(『ベニスの商人』)をはじめ英語圏の文化の引用もふんだんに散りばめられており、何度観ても飽きない作品だと思います。