【2019年】ブリティッシュ・エアウェイズのストライキ情報

2019年8月15日木曜日

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ブリティッシュ・エアウェイズ、ストライキ

【9月9日更新】
英国航空ブリティッシュ・エアウェイズのパイロット労組は7月22日、昇給を実現するため夏休みの繁忙期にストライキを行うことを決議しました。

ストライキには14日前までの通告が法律によって義務付けられています。

このためブリティッシュ・エアウェイズのパイロットは現地時間8月23日遅く(日本時間8月24日未明)、9月9日、10日、27日にストライキを行うと通告しました。

これを受けてブリティッシュ・エアウェイズはフライトのキャンセルを開始しました。キャンセルに該当する可能性のあるフライトは9月8日から12日までです。

ブリティッシュ・エアウェイズの公式サイトにおけるストライキの情報はこちらですが、8月24日の午前中にはインターネット、電話ともに連絡がとれなかったという報告もあります。

9月5日、ブリティッシュ・エアウェイズはパイロット労組側からの交渉再開の申し出を拒否。ついに9月9日からストライキが始まりました。

なおロンドン・ヒースロー空港におけるストライキの情報についてはこちらの記事で解説しています。

また同じ時期に予定されているライアンエアーのストライキについては、こちらの記事で解説しています。


ブリティッシュ・エアウェイズのストによる影響

ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットのストによって、ヒースロー空港とガトウィック空港を含むイギリス全土の空港の発着便が影響を受けます。

ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットの9割が、今回ストを組織しているパイロット労組(Balpa)に加盟していることから、ストの影響は甚大です。

ストの通告を受けてブリティッシュ・エアウェイズは、8月23日から24日にかけてフライトの変更がある乗客にメールで通知を始めました。

ブリティッシュ・エアウェイズは最初、ストと関係ない日も含めて9月8日から12日の乗客にキャンセル・メールを送っています。その後で一部の乗客に、フライトは予定通り運行される、という矛盾するメールが送られてきたため、混乱に拍車がかかりました。

そして現地時間8月24日夕刻ブリティッシュエアウェイズは、フライトがキャンセルされなかった乗客にまでキャンセルの通知を送っていたことを正式に認めました。

この間にすでに自己負担で新しいフライトを予約してしまった人も出ています。

フライトがキャンセルされた場合、チケット代全額返金か別の便への変更が選択可能です。

フライトがキャンセルされなかったのに、自分で予約を変更してしまった乗客には個別に対処すると、ブリティッシュ・エアウェイズは説明しています。

しかしながら8月23日夜から24日の午前中にかけてSNSなどで、「インターネットでの予約変更ができない」、「ブリティッシュ・エアウェイズに電話をしてもつながらない」といった混乱が報告されはじめました。




この混乱はバンクホリデーの連休が終わり8月27日が明けても収束しませんでした。連休中にブリティッシュ・エアウェイズが受け付けた電話の数は実に60,000件、ツィッターのメッセージは52,000通です。

ブリティッシュ・エアウェイズの問い合わせ窓口は、休日中は500人、平日は640人で電話やインターネットの応対に当たっていますが、この非常事態を受けて100人近く増員して730人体制で苦情の処理に追われています。

にもかかわらず3日続けてオンライン予約システムが使えなかったことから、お客の中には「恥を知りなさい」とツィッターで不満をあらわにする人も出てきました。


イギリス航空史上まれに見る混乱ぶりに、民間航空監督庁(CAA)もブリティッシュ・エアウェイズに説明を求めています。

リチャード・スティーブンソンCAA長官は「ガーディアン」の取材に対して「ブリティッシュ・エアウェイズに対して乗客の予約変更を行う義務がきちんと果たされているか確認するため説明を求めました」と回答しています。

CAAも、フライトがキャンセルされた場合には、払い戻し、または他の航空会社や都合のよい別の日程も含めた代わりの旅程の予約が行われるべきであると強調。

さらに突っ込んで、「事前に乗客に対してフライトがキャンセルされたときの権利を伝えておくことが期待される」と述べました。

その上で、間違ってキャンセルの通知が送付された乗客に対してもブリティッシュ・エアウェイズは予約変更に伴う然るべき費用の損害賠償を行うべきである、との見解を示しています。

9月9日と10日のストライキのためにキャンセルされるフライトの数は1700にのぼり、29万の乗客が影響を受けると見られています。

ストライキ初日の9月9日、ブリティッシュ・エアウェイズのヒースロー空港第5ターミナルにはほとんど人はなく閑散としています。この日予定されているフライトはわずか10便。カフェやタクシーも客がいないので閑古鳥が鳴いています。

ブリティッシュエアウェイズ ストライキ ヒースロー空港第5ターミナル
9月9日、BBCが報道するストライキのため人がいないヒースロー空港の様子

なおブリティッシュ・エアウェイズ傘下で今回のストと関係がない航空会社は、
  • ロンドン・シティ空港を本拠にするBA CityFlyer
  • Comair(本拠地:南アフリカ)
  • サンエアー(Sunair、本拠地:デンマーク)
この3社だけです。

ブリティッシュ・エアウェイズの旅客数は1日最大14万5,000人です。イギリス国内やヨーロッパ主要都市を始め、南北アメリカ、インド、中東、アフリカ、アジアなどに定期便を飛ばしています。


キャンセルや遅延の補償は?

パイロットなどの航空会社従業員のストライキによって遅延、欠航が生じた場合には、航空会社に責任があるものとみなされて、航空会社に補償の義務が生じます。

補償の形態としては、
  • 全額返金
  • 目的地への別のフライト
  • 旅程の途中で目的地への別のフライトを希望しないときには出発地へ帰るフライト
この3つのうちのいずれかになっています。

さらにフライトの変更が14日前までに通知されなかった場合に限って、追加の損害賠償を現金で請求できる可能性が生じます。


スト決議に至る過程

英国航空ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットが所属するイギリスのパイロット労組(BALPA)は7月22日、ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットのストを承認する決議をしました。

この決議にはBALPA所属のパイロット4,000人の90%が投票し、スト賛成は93%でした。

パイロットが昇給を要求している背景には、ブリティッシュ・エアウェイズの業績が最近好調で、株主に高配当を出していることがあります。

このためブリティッシュ・エアウェイズのパイロットは、利潤分配制を含めたインフレ率を上回る昇給を要求しています。

中道左派・リベラル的論調の『ガーディアン』紙によりますと、パイロットは会社が金融危機の困難な市場に直面したときに自分たちも減給を受け入れたのだから、会社の業績が好転したらその分配を得ることができるはずだと主張しています。

これに対して英国航空はスト決議の無効を求める訴えを起こしました。

しかしながらイギリス控訴院は7月31日、英国航空ブリティッシュ・エアウェイズの訴えを却下しました。

この結果、現在もブリティッシュ・エアウェイズとパイロットの間で労使協議が継続されています。


まとめ

この記事では、2019年夏から秋にかけて予想されるブリティッシュ・エアウェイズのストライキの最新情報とその背景、さらにキャンセルや遅延に伴う補償の可能性について解説しました。

ブリティッシュ・エアウェイズの公式サイトでもストライキの情報が更新されていますので、利用される方は定期的にチェックされることをおすすめします。

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