【ドイツ】不況の始まりか?第2四半期GDP成長率が前期比マイナスに

2019年8月14日水曜日

ドイツ 経済

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輸出、クレーン、GDPマイナス


ドイツ連邦統計局の8月14日の発表によりますと、2019年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(速報値、季節調整済み)は前期比でマイナス0.1%、前年同期比でプラス0.4%となり、いずれも第1四半期(1~3月)の成長率(前期比プラス0.4%、前年同期比プラス0.9%)を大きく下回りました。

この記事では、ドイツの2019年第2四半期GDPの数字と、ドイツ経済の見通し・不況の可能性について考えてみます。


輸出減がドイツ経済成長の足かせに

今季のGDPが停滞した理由は、輸出が大幅に減少したことです。

先日発表された2019年上半期(1~6月)の貿易統計でも見られた通り、ドイツの輸出は今年の春から急速に減速しています。

6月には前年同期比8%減という過去3年間で最悪の下げ幅を記録しています。この結果、上半期の輸出は0.5%増の6661億ユーロとほぼ横ばいに終わっています。

今回のプレスリリースでドイツ連邦統計局は詳しい数字は明らかにしていませんが、第2四半期の貿易に関しては、「第1四半期に比べて輸出の減少が輸入を上回る結果になった」と発表しています。


ドイツ経済:消費と投資は増加、労働市場も堅調

ドイツ経済にとってよいニュースは、国内の消費・投資と労働市場が好調であったことです。

個人消費と政府の支出は第1四半期を上回りました。

投資も建設部門を除いて第1四半期を上回っています。建設部門に関しては、第1四半期は冬が厳しくなかったことで平年と比べて好調だったことが考慮されるべきです。

雇用も増加しています。2019年第2四半期の雇用は4,520万人で、前年同期比プラス1.0%、43万5,000人が新たに仕事を得ています。


米中貿易摩擦がドイツ経済に与える影響

ドイツにとって最大の貿易相手国の一つである中国が、アメリカとの貿易摩擦の渦中にあることがドイツ経済の大きなマイナス要因です。これと並んで、合意なしのブレグジットに対する不安も存在します。

国際通貨基金(IMF)が7月に2019年と2020年の世界経済成長の見通しを下方修正したときにも、米中関税交渉、アメリカ自動車関税、合意なしのブレグジットを成長減速の3大要因としてあげています。

中国経済の成長のスピードが遅くなると、中国で輸入品への需要が減少します。ドイツは中国に高級車などを輸出していますから、重要な輸出市場である中国の景気低迷は大きな痛手になります。


ドイツ経済:第3四半期(7~8月)の見通し

BBCの取材に対してCapital Economicsのヨーロッパ主任エコノミスト・アンドリュー・ケニンガム氏は「第3四半期の見通しは暗い」と語っています。

その理由としては、
  • 7月の製造業の数字がおしなべて悪かった
  • サービス業は堅調だが、労働市場にも停滞の兆候が見られる
といったことをあげています。

その他、いくつかの景況感調査でも先行き不安の強い結果が出ています。

ユーロ圏で最大規模のドイツ経済の低迷は、欧州中央銀行(ECB)などにさらなる金融刺激策を強いる可能性があります。

すでにECBは2020年半ばまでは金利を現在の水準以下に保つ見通しであることを明らかにしています。


まとめ

この記事では、ドイツの2019年第2四半期GDPの概要と、停滞の原因、第3四半期の見通しを解説しました。

ドイツ経済は2018年の第3四半期にも停滞を経験しており、そこからまだ充分に回復していないことが今回の統計からも明らかになっています。

輸出に依存しているドイツ経済は、今後も世界貿易の波風の影響を受け続けることは確実です。

第3四半期に不況に陥る可能性はありますが、たとえそうなっとしても失業率が世界的に最低水準であることからそれだけでは大きな社会不安には至らないと思われます。
ドイツの輸出に陰りが見え始めていることが、ドイツ連邦統計局が8月9日に発表した数字から明らかになりました。ドイツの輸出減少の背景と、今後の見通しを解説します。

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