アイルランド国籍の格安航空会社ライアンエアーのパイロットや客室乗務員の一部が、2019年の8月と9月にストライキを予定しています。イギリスなどのヨーロッパに滞在されている方で、利用予定のある方も多いと思います。
この記事では現在予定されているライアンエアーのストライキの影響の可能性を探り、その対応を解説します。
同じ時期に予定されているブリティッシュ・エアウェイズのストライキについては、こちらの記事で解説しています。
なおロンドン・ヒースロー空港におけるストライキの情報についてはこちらの記事で解説しています。
ライアンエアー・ストライキの現状
ライアンエアーのスタッフで現在ストライキを計画しているのは以下のグループです。- イギリス人のパイロット
- アイルランド人のパイロット
- スペインの客室乗務員
この動きに8月14日、アイルランドのパイロットが加わりました。アイルランド人のパイロットは8月22日(木)から48時間のストライキを予定しています。また追加のストライキの期日が今後発表される可能性があります。
8月21日アイルランド高等法院は、ライアンエアー側が求めていたアイルランド人パイロットのストライキの差止命令を認めました。
一方、イギリス高等法院はイギリス人パイロットのストライキの差止命令を却下しました。
しかしながらライアンエアーは、全てのフライトは予定通り行われると発表、乗客には出発2時間前に空港に到着するよう呼びかけています。
8月22日午前イギリス発着のライアンエアーのフライトは全て予定通り運行されました。ライアンエアーは、「当社からのSMSやメールによる通知がなければ、ご利用のフライトは予定通り運行されます」と説明しています。
9月2日(月)、72時間ストライキの第1日目、午前中イギリス発着のフライトは全て予定通り運行されたとライアンエアーは発表しました。
なおフライトの状況はライアンエアーの公式HPでも確認できます。
一方スペイン領カナリア諸島の拠点閉鎖に反対して、スペインの客室乗務員が9月に10日間のストライキを予定しています。
スペインでストが予定されているのは9月1日、2日、6日、8日、13日、15日、20日、22日、27日、28日です。
ライアンエアー・ストライキの影響
イギリスのオンライン新聞『インデペンデント』によりますと、8月22日、23日、9月2日、3日、4日の合計5日間のストライキの影響を被る旅客数は最大でも50万人と見られています。この数字は5日間の総旅客数の4分の1にあたります。しかし実際に影響を受ける旅客の数は遥かに少ないことは確実です。
パイロット全員がストに参加するわけではない
50万人という数字の根拠は、ライアンエアーのパイロットに占めるイギリス人の割合が23%であることです。アイルランド人パイロットが全体に占める割合も2〜3%にすぎません。残りのパイロットは、イギリス人以外のヨーロッパのパイロットであるため、今回のストライキには参加しません。
しかもイギリス人とアイルランド人のパイロットで労組に所属しているのは半分にも満たないとライアンエアーは説明しています。
このためストライキが予定されている日にも、大多数の便は予定通り運行される可能性が高いです。
それでは具体的にどのような影響が出るか路線別に考えてみましょう。
イギリス・アイルランド間、イギリス国内線の場合
これらの路線はイギリス人やアイルランド人パイロットによって運行されている可能性が高いため、ストの影響を受けやすいと言えます。これらの路線が通常通り運行されるかどうかは、ライアンエアーが代わりのパイロットを調達できるかどうかにかかってます。
イギリス発の国際線
この路線はイギリス人以外のパイロットによって運行されていることが多いので、ストの影響を受けにくいと思われます。先程あげた『インデペンデント』がロンドン・ミラノ便を例に説明しているのを要約します。午前6時から午前7時30分に出発する便は、出発地を拠点にするパイロットによって運行される可能性が高いです。つまりイギリス人のパイロットで、ストの影響を受ける可能性があります。
この後の午前8時5分にスタンステッドを発つミラノ行は、午前7時45分にイタリアから到着した便の折り返しですから、イタリア人クルーである可能性が高く、ストの影響は受けません。8時45分のミラノ行きも同様です。
一方朝にイギリスからイギリス人パイロットで出発する便の折り返し便もストの影響を受ける可能性があります。
たとえば午前8時15分ロンドン・サウスエンド空港発の便はミラノに午前11時に到着して、午前11時25分にミラノを出発してイギリスに戻りますが、この便はイギリス人のパイロットである可能性が高く、ストの影響を受ける可能性があります。
さらに夜になるとライアンエアーは午後11時以降は折り返しのフライトを行わないので、イギリス人のパイロットでない可能性が高いです。
たとえば午後8時5分ロンドン・スタンステッド発ミラノ・ベルガモ行の便は、午後11時5分のイタリア到着後は折り返しませんので、イタリア人のパイロットである可能性が高く、ストの影響は受けないでしょう。
以上はあくまでも『インデペンデント』の予測ですので、参考程度にとどめて、詳細は次に述べますようにライアンエアーからの連絡を待つのが賢明です。
キャンセルされたフライトの補償は?
現在ストライキが予定されている日のフライトを予約されている方には、予約を変更することはおすすめしません。フライトが通常通り運行される可能性が高いので、変更の費用が無駄になります。万一フライトがキャンセルされる場合には、ライアンエアーが数日前までに連絡してきます。
航空会社のスタッフのストライキによってフライトがキャンセルされた場合の補償の可能性としては、
- チケット代全額返金
- 別の便への予約変更、ライアンエアーが予約されている日の便を都合できない場合には、他の航空会社の便を利用することもできます
- 必要な場合にはホテルや食事
- フライトがキャンセルまたは3時間以上遅れた場合、最大400ユーロの損害賠償
まとめ
この記事では2019年8月と9月に予定される、アイルランド格安航空会社ライアンエアーのスタッフによるストライキの影響と、対応について解説しました。該当する日にライアンエアーを利用される方は、まずはライアンエアーからの連絡を待ち、当日は早めに空港にいってフライトがキャンセルされていないか確認して、万一キャンセルされていた場合には、ライアンエアーに対処を求めるのが最善です。