バイデン息子疑惑とは何か 信憑性のある報道をわかりやすく解説

2020年10月23日金曜日

政治

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バイデン息子疑惑とは、中国など外国企業がバイデン元副大統領の息子・ハンターに金銭を供与することで影響を及ぼそうとしていた、という疑惑です。

トランプ大統領弾劾手続きの発端になったこの疑惑。2020年大統領選挙の直前にハンターのノートパソコンのデータがスクープされて、再び脚光を浴びるようになりました。

この記事では、バイデン息子疑惑について信憑性の高い報道をもとにわかりやすく解説します。

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バイデン息子疑惑とは

バイデン息子疑惑とは、中国やウクライナの企業がバイデン元副大統領の息子に金銭を供与することでアメリカの政治に影響を及ぼそうとしていた、という疑惑です。

疑惑の中心人物・ハンター・バイデンとは

疑惑の中心人物、ロバート・ハンター・バイデンは、2009年から2017年までアメリカ合衆国副大統領を務めたジョー・バイデンの次男。通称は「ハンター」。

ハンターの職業は弁護士、ビジネスマンということですが、薬物依存などの問題が多いことは家族や本人も認めるところです。

トランプ大統領弾劾裁判の発端になった

この疑惑は、2017年にバイデン副大統領がホワイトハウスを去った直後から取り沙汰されるようになりました。

2019年7月、トランプ大統領がウクライナ大統領との電話会談で、バイデン父子のウクライナにおける疑惑について捜査すべきであると語ったことが明るみに。

野党・民主党は、トランプ大統領が地位を利用して政敵の追い落としを図っているとして、大統領の弾劾手続きに乗り出しました。

2020年、与党・共和党が多数を占める上院の弾劾裁判でトランプ大統領は無罪評決を獲得。

一方、バイデン元副大統領はさまざまなスキャンダルにもかかわらず、民主党の大統領候補に選ばれました。

ハンターのノートパソコンが浮上して再び話題に

2020年の大統領選挙戦が終盤を迎えた10月14日(現地時間)、ニューヨーク・ポスト紙がハンターのノートパソコンとハードディスクから回収したメールなどのデータを入手したと報道。この疑惑が再燃することになりました。

このメールから、バイデン副大統領が中国政財界の要人やウクライナのエネルギー会社の取締役にハンターの紹介で面会していた疑いが生じています。

バイデン息子疑惑の中心、ローズモント・セネカ・パートナーズとは

ローズモント・セネカ・パートナーズとは、バイデン副大統領が就任した2009年、ハンターがクリストファー・ハインツとデボン・アーチャーと共同で立ち上げた投資会社です。

バイデン父子への金銭の供与は、この会社が関与して顧問料、投資や利益の割当という形で行われています。

経営者はバイデン副大統領とケリー上院議員の関係者

同社のトップは、すべてバイデン副大統領と彼の長年の友人・ジョン・ケリー上院議員の関係者で占められていました。

まずクリストファー・ハインツは、トマトケチャップで有名な加工食品会社の創業者一族の1人で、ケリー上院議員の継子。

デボン・アーチャーは、ケリー上院議員が2004年に大統領選挙に出馬したときのシニア・アドバイザー。さらにクリストファー・ハインツとは大学時代のルームメイトという仲でした。

アメリカ外交の中枢部への橋渡し

バイデン副大統領は、オバマ政権ではウクライナや中国に対する外交のトップ。ケリー上院議員は上院外交委員長で2013年からオバマ政権の国務長官を務めました。

2人ともオバマ外交の中枢にいた人物です。

このためローズモント・セネカ・パートナーズは、外国企業がバイデン副大統領やオバマ政権の実力者に接近するのに都合のよいトンネル会社だったと言えます。

バイデン息子のウクライナ疑惑

バイデン息子のウクライナ疑惑は、ウクライナのエネルギー会社が自社の汚職を調査する検事総長を更迭するように、ハンターを通じてバイデン副大統領にはたらきかけたという疑惑です。

癒着は2014年に始まった

ハンターとウクライナのエネルギー会社・ブリスマとの関係は2014年に始まっています。

この年、アーチャーがローズモンド系列の不動産投資ファンドの売り込みでウクライナを訪問。このとき彼はウクライナのエネルギー会社ブリスマの創業者の1人であるミコラ・ズロチェフスキーとも面談しています。

その後アーチャーはブリスマの役員となりました。この直後にハンターもブリスマ・ホールディングスの取締役に就任。

ハンターの1カ月の報酬は5万ドルとも8万3,000ドルとも言われています。彼は2019年4月まで取締役の地位にありました。

ブリスマの役員がハンターの紹介でバイデン副大統領に面会

2020年10月にニューヨーク・ポストがスクープしたハンターのメールでは、ブリスマがハンターを通じてバイデン副大統領に接触しようとしていたことが明らかにされました。

まず2014年5月、ブリズマのNo.3の責任者で相談役であるヴァディム・ポザルスキーがハンターとアーチャーに送ったメール。

このなかでポザルスキーは、新政権の代表者が非公式にズロチェフスキーから現金を搾り取ろうと圧力をかけている、と相談。ハンターがブリスマの利益のために影響を発揮することができるか尋ねています。

さらに2015年4月17日、ポザルスキーがハンターにあてたメールで、バイデン副大統領にワシントンD.C.で面会できる機会を作ってくれたことに感謝しています。

バイデン副大統領の圧力でブリスマに都合の悪い検事長を更迭

8カ月後の2015年12月、オバマ政権で対ウクライナ外交のトップであったバイデン副大統領がキエフを訪問。バイデン副大統領はウクライナの検事総長・ヴィクトール・ショーキンを更迭するようウクライナ政府に要求しました。

バイデン副大統領は2018年に外交問題評議会(CFR)において、「ショーキンを更迭しなければ、10億ドルの融資保証を行わない」と脅したことを明らかにしています。

この結果、2016年にショーキンは更迭されます。

ショーキンの証言では、当時ウクライナの検察はブリスマを捜査するための具体的な計画を練っていました。それにはハンターを含めたすべての取締役の尋問と犯罪捜査も含まれていたそうです。

一方、バイデン副大統領は、ショーキン更迭は汚職の追求に熱心でなかったことが理由であり、アメリカ政府と欧州連合の共同路線であったと説明しています。

バイデン息子の中国疑惑

バイデン息子の中国疑惑は、中国の政財界の要人がハンターを利用してオバマ政権の要人と接触しようとしたり、バイデン一族に金銭を供与したりしていたという疑惑です。この疑惑は2011年にまでさかのぼります。

政治ジャーナリストの克明な調査で明らかに

この中国とバイデン父子との結びつきは、政治ジャーナリスト・ピーター・シュバイツァーの地道な調査で明るみに出ました。

シュバイツァーは長年にわたる民主党政治家の金脈の調査で有名。特にクリントン財団に関する『Clinton Cash』という本は、ニューヨーク・タイムズも記事に引用したほど信頼されています。

同氏は、2018年にシェイマス・ブルーナーと共著で『Secret Empires: How the American Political Class Hides Corruption and Enriches Family and Friends』という書物を上梓。この本でバイデン一族の金脈も取り上げました。

さらにシュバイツァーは、ハンターのビジネス・パートナーで、現在詐欺事件で連邦刑務所に服役中のベブン・クーニーの協力を得ることに成功。ハンターやアーチャーとのやり取りが記録されたクーニーのメールアカウントへのアクセスを得ています。

ちなみにクーニーが服役することになった事件の裁判で、ハンターは訴追こそまぬがれたものの、証拠の中に名前が挙げられています。さらにハンターのパートナー・アーチャーは有罪判決を受けました。

クーニーのメールをもとに調査を進めたシュバイツァーは、その成果を保守系政治ニュースサイト「ブライトバート」で発表。さらにトランプ大統領を支持するフォックス・ニュースのアンカー・ショーン・ハニティの番組でインタビューも受けました。

そのなかでハンターと中国との結びつきが克明に描き出されています。以下の記述も、シュバイツァーのリポートに依るところが大きいです。

バイデン副大統領と中国企業家倶楽部訪米団を引き合わせる

2011年11月、ハンターのビジネス・パートナーたちは「中国企業家倶楽部China Entrepreneur Club(以下CECと略す)」の代表団がオバマ政権のホワイトハウスを訪問して要人と面会する手はずを整えました。

CECは2006年に創設された組織で、中国共産党の要人、外交官を含む政府関係者さらに政府と結びつきの強い財界人が主要なメンバーです。CEC代表団ワシントンD.C.訪問の目的は、中国のプライベート・セクターがアメリカに投資する意欲があることを米政府に伝えることでした。

CECとオバマ政権要人との仲介は、政府の政策と大きな見返りのあるビジネスにてこ入れするまたとないチャンス。この面談の手はずを整えることになったのが、ハンターのビジネス・パートナーであるアーチャーでした。

当時ハンターはアラブ首長国連邦を訪問中。盗聴が懸念されるため、ハンターと直接ホワイトハウス訪問やバイデン副大統領との面会を相談することを避けていますが、CEC仲介の件はハンターも承知していたことは確実です。

シュバイツァーたちがクーニーの証言やメール、ホワイトハウスの訪問者記録を調べたところ、CEC代表団は2011年11月14日にホワイトハウスを訪問。行政管理予算局ジェフ・ジーンツ副局長の客として記録されています。

このとき中国の代表団は、バイデン副大統領のほかに商務省や国務省の高級幹部と面会しました。

シュバイツァーたちの調査によれば、バイデン副大統領との面会はホワイトハウスの公式記録に残さない形のものだったそうです。しかしながらCECの公刊物にはこの記録があるそうです。

バイデン副大統領の中国公式訪問に同行

2年後の2013年12月、ハンターはバイデン副大統領の中国公式訪問に同行。このときハンターは中国政府から巨額の出資を取り付けることに成功したと見られています。

当時、ハンターたちのローズモント・セネカ・パートナーズは、渤海産業投資基金とハーヴェスト・フォンド・マネジメントと共同で、BHRという投資会社を立ち上げていました。ちなみに渤海産業投資基金は中銀国際が支援する中国系投資会社です。

2013年12月にハンターが中国を訪問した直後、BHRは中国政府からの認可を得ます。さらに中国の銀行からローズモント・セネカ・パートナーズに10億ドルの資金が振り込まれ、最終的に15億ドルに増額されました。

この資金などをもとにBHRは当時のCEC主席・柳伝志と強い結びつきのある自動車シェア会社に投資を行っています。柳伝志は聯想集団(レノボ・グループ)の創設者で、前述の2011年ホワイトハウス訪問にも加わっていた人物です。

ここまでがシュバイツァーたちの調査によって明らかにされたバイデン一族と中国の結びつきです。

バイデン副大統領に中国企業から金銭供与?

2020年10月にニューヨーク・ポストがスクープした、ハンターのノートパソコンから回収されたメールで、中国との疑惑がさらに深まりました。

バイデン副大統領のホワイトハウスでの任期が終了した直後の2017年5月から、ハンターと中国華信能源公司(CEFCチャイナエナジー)との間で報酬に関するやり取りがありました。

CEFCは経営破綻した中国政府系のエネルギー大手企業。数年前にアメリカ政府がCEFCの出資を受けた組織を資金洗浄の疑いで訴追し、同社のCEOが中国当局に拘束されたことで大ニュースになりました。

ハンターのノートパソコンから回収されたメールによれば、2017年にバイデン父子はCEFCとの取引で大きな利益を得ることを期待していたようです。

1つのメールには、「H」に「20」、「10は親分(big guy)のためにHが受け取る」と書かれています。「10」は10%を意味するようです。

「H」はハンターを指し、「big guy」はバイデン元副大統領を指すことが確認されています。ハンターのビジネス・パートナーであったトニー・ボブリンスキーを始めとする複数のニュースソースが確認したとのことです。

2017年8月、ハンターはCEFC宛のメールで、本来の契約は年間1,000万ドルの料金だったと指摘。さらにこの契約は、「出資や利益の配分」があるため「自分と家族にとってより一層興味深いものとなった」と付け加えており、ハンターが1,000万ドル以上の利益を期待していることが示唆されています。

中国疑惑が最大の問題

この記事では、バイデン父子のウクライナと中国における疑惑について信憑性の高い報道をもとにわかりやすく解説しました。

最後の中国疑惑のあった2017年には、バイデン元副大統領は公職を離れています。しかしこの取引の下地が、バイデン副大統領が4カ月前までホワイトハウスにいた間に作られた可能性は否定できません。

さらに当時バイデン元副大統領は大統領選出馬も検討していました。自分や息子が中国政府と強い結びつきのある企業とビジネス・パートナーになると、大統領となったときに中国政府との交渉に影響が出る可能性を考慮すべきでしょう。

ウォールストリート・ジャーナルも10月20日の社説で、バイデン元副大統領はアメリカ国民に納得のいく説明をするべきであると主張しています。

すでに投票が開始されているアメリカ大統領選挙。新型コロナウイルスの感染数増加とならんで、バイデン息子疑惑は大きな不確定要素の1つとなりそうです。

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