映画『ニュー・ミュータント』の予告編と見どころ
ここでは映画『ニュー・ミュータント』の予告編と見どころを紹介します。
予告編は3本とも英語版です。
本作の見どころは、スーパーヒーローのアクションに、青春映画やホラー映画の要素を取り入れたことにあります。
それでは、まず予告編から御覧ください。
映画『ニュー・ミュータント』の予告編
最初は20世紀フォックスが2020年1月に公表した約2分22秒の予告編。後の2本は2020年7月、コミコンで公開された予告編で、最後の予告編ではVFXシーンを一部見ることができます。
予告編1:2分22秒
予告編2:3分16秒
予告編3:2分8秒
「X-MEN」シリーズ初のホラー作品
アメリカのマーベル・コミックが展開するスーパーヒーロー・シリーズ・「X-MEN」。同シリーズ初の実写化である『X-メン』が2000年に世界的な大ヒットとなって以来、本作の前に12本の映画が製作されています。
この人気シリーズの13作目に当たる本作は、他の作品と異なり地球を救うというようなテーマではありません。思春期のミュータントたちが、セシリア・レイエス博士の張ったバリアで外の世界から隔離された病院に閉じ込められ、不思議な現象に次々と遭遇するホラー色の強い映画です。
しかしながら、スーパーヒーロー・ジャンルのためグロテスクな描写は皆無に近く、若きミュータントたちの恋愛も含めた、思春期特有の不安に焦点が置かれています。監督・脚本は、『きっと、星のせいじゃない。』(2014年)で恋愛映画の名手として知られるジョシュ・ブーンが務めました。
また終盤でヴィランとして登場するデーモン・ベアに、ミュータントたちが団結して立ち向かうクライマックスは、スーパーヒーローのアクションとしても楽しめます。
- 【原題】 The New Mutants
- 【上映時間】 1時間34分
ニュー・ミュータント (字幕版)
映画『ニュー・ミュータント』のあらすじ
ここでは映画『ニュー・ミュータント』のあらすじを、ネタバレなしの前半と、ネタバレありの後半に分けて紹介します。
また映画館で鑑賞するときのために、ネタバレなしでエンドクレジットの情報も紹介もしておりますので、ぜひご覧ください。
【ネタバレなし】前半のあらすじ
ダニエル・「ダニー」・ムーンスターは、彼女の住むネイティブ・インディアンの保留地が竜巻で破壊された夜、父親と一緒に森に避難。そこで父親は何者かに殺され、彼女は気を失いました。
打ち捨てられた病院で目を覚ましたダニーに、病院を運営するセシリア・レイエス博士は、ダニーがミュータントであることを宣告し、治療法が見つかるまで病院を離れないように言います。
この病院は、レイエス博士のバリアによって外の世界から隔離されており、ダニーの他に4人のミュータントが閉じ込められていました。彼らは、それぞれ特殊な能力を持っていて、そのためにつらい過去を背負っていることが次第に明らかになります。
ジェット機のような速さで飛べるサム・ガスリーは、その能力で父親とその仕事仲間が鉱山の事故で死ぬ原因を作っていました。太陽エネルギーを操るロベルト・「ボブ」・ダ・コスタのガールフレンドは、彼のパワーで焼死。狼人間のラーネ・シンクレアは、故郷の村で迫害を受けました。魔法使いのイリアナ・ラスプーチンは、子供時代に奴隷だった過去があります。
レイエス博士は、彼らが自分たちの危険な能力をコントロールできるようになるまで、病院を離れることはできないと言い聞かせていました。このため5人の若きミュータントたちは、やがてX-メンになるための訓練を受けているのだと思って未来に希望を持っています。
新入りのダニーは、イリアナに意地悪をされますが、かばってくれたラーネと親密になり、やがて2人の仲は恋愛にまで発展します。ところが、病院ではミュータントたちが「スマイル・メン」という正体不明のモンスターをはじめ、さまざまな幻覚に襲われる怪奇現象が続発。これはダニーの幻影を作り出す能力が開花し始めたことによるものでした。
【ネタバレ】後半のあらすじ
そこでレイエス博士は雇い主の「エセックス・コーポレーション」と協議して、ダニーを殺すことを決めます。しかしレイエス博士が彼女を連れ去ったことを不審に感じたラーネが、レイエス博士を襲撃して重傷を負わせてダニーを救出。5人のミュータントはレイエス博士を殺して逃げようとします。
追い詰められたレイエス博士は、ミュータントたちに、彼らが「エセックス・コーポレーション」の殺し屋として訓練されていたことを告白。ダニーは危険なので死ななければならないと言って、他のミュータントたちを説得しようとします。そこにデーモン・ベアが突如出現し、レイエス博士はクマの餌食に。
デーモン・ベアに対して、ドラゴン・「ロッキード」を召喚し、ソウルブレイドを武器に戦いを挑むイリアナ。一方、ラーネは気を失ったダニーの意識の奥深くに入り込んでデーモン・ベアと戦わせようと試みます。やがてダニーの前に父親の霊が現れて、自分の恐怖と立ち向かうようにアドバイス。目を覚ましたダニーは、デーモン・ベアを落ち着かせて手懐けることに成功します。
夜が明けて、自分たちが「ニュー・ミュータント」であることを自覚した5人は、レイエス博士のバリアもなくなり、未知の世界に足を踏み出していくのでした。
【ネタバレなし】エンドクレジットをお見逃しなく!
本作のエンドクレジットには、最初の予定では将来のX-メンのヴィランが登場する予定でした。しかしディズニーが20世紀フォックスを買収したため、フォックスの「X-メン」シリーズは完結となり、このシーンは削除されました。
新たに作られたエンドクレジットでは、それぞれのキャラクターにビル・シンケビッチが新しいアートワークを製作しました。彼は1984年から1985年にかけてコミックの『ニュー・ミュータント』のアーチストを務めており、『デーモン・ベア・サーガ』の創作にも関与しています。
「X-メン」シリーズ・ファンは見逃せないエンドクレジットですので、本編終了後も席を立たないことをオススメします。
映画『ニュー・ミュータント』の評価
映画『ニュー・ミュータント』は、英語圏の映画評論家からは、よくもなければとりわけ悪くもない、中間の評価を受けています。
映画レビューまとめサイト「ロッテン・トマト」では、2020年8月29日の時点で、34のレビューで支持率29%、評価の平均点は10点満点で4.66点でした。
ここでは、本作をまだ見ていない人に役立ちそうな評論家のコメントを紹介します。
The Hollywood Reporter
「The Hollywood Reporter」のジョーダン・ミンツァーは、3人の女性ミュータント(ラーネ、イリアナ、ダニエル)の新鮮味を高く評価する一方、作品全体としては独自性に欠けると批評しています。
Generic and, at its best, straining to be heartfelt, director Josh Boone's adaptation of the Marvel spin-off comic series is a Marvel movie spinoff in its own right, making vague references to the X-Men franchise but attempting to stand on its own. Unfortunately it rarely does, even if the film's trio of young and tough female leads manages to give your typically male-dominated genre something of a feminine twist.
「ジョシュ・ブーン監督による、マーベル・スピンオフ・コミック・シリーズの映像化である本作は、ジャンル共通の特徴を持ち、心に訴えようと努力しているが、いいところマーベル映画の独自のスピンオフにとどまっている。「X-メン」シリーズへの言及は曖昧で、独立した作品にしようと試みているが、ほとんど成功していない。若くてタフな女性主役トリオが、男性に支配されるのが典型的なジャンルに、女性的なツイストとでも呼ぶべきものを加えているだけに、この結果は残念なことである。」
Variety
「Variety」のピーター・デブルージは、本作の公開が何度も延期されたことや、ディズニーによる20世紀フォックス買収の影響に言及して次のように書いています。
Despite all the meddling and interference the film reportedly went through, The New Mutants feels pretty coherent in the end. What it doesn't achieve is a memorable personality of its own.
「すでに報道されているように、本作は製作中にさまざまな邪魔や妨害が入ったにもかかわらず、最終的には非常に一貫性が感じられる。だが、本作は記憶に残るような個性的なパーソナリティを作り出すことはできなかった」
製作から公開まで時間がかかったにもかかわらず、作品としてはまとまっていることを評価しつつも、俳優の演技や監督の演出には厳しい評価を下しました。
原作者・ボブ・マクロードの評価
『ニュー・ミュータント』のコミック製作者の1人・ボブ・マクロードは、キャラクターの描写が不正確であることを批判。特にコミックではダークな肌のロベルトを、色白なヘンリー・ザーガが演じたことを問題視しました。
さらにマクロードは、クレジットの自分の名前のスペルが間違っていたことも指摘しています。
映画『ニュー・ミュータント』 スタッフ
映画『ニュー・ミュータント』の監督、脚本、原作は以下のとおりです。
- 監督: ジョシュ・ブーン
- 脚本: ジョシュ・ブーン、クネイト・リー
- 原作: クリス・クレアモント、ボブ・マクロード『New Mutants』
映画『ニュー・ミュータント』 キャスト
映画『ニュー・ミュータント』のキャストは以下のとおりです。
- ラーネ・シンクレア/ メイジー・ウィリアムズ: ウルフスベイン(狼人間)。スコットランド出身。ダニエル・ムーンスターと恋に落ちる。
- イリアナ・ラスプーチン / アニャ・テイラー=ジョイ: マジック。ロシア出身の魔術師。武器はソウルブレイド。ロッキードという名の紫色のドラゴンを連れている。
- サム・ガスリー / チャーリー・ヒートン: キャノンボール。アメリカ出身。高速で空を飛べる。
- セシリア・レイエス / アリシー・ブラガ: 医学博士。若きミュータントたちの教育者でもある。バリアを張ることができる。
- ダニエル・ムーンスター / ブルー・ハント: ミラージュ。ネイティブ・アメリカンのミュータントで、人の恐怖や欲求にもとづいて幻影を作り出せる。ラーネと恋に落ちる。
- ロベルト・ダ・コスタ / ヘンリー・ザーガ: サンスポット。ブラジル出身のミュータント。太陽エネルギーを操ることができる。
- ウィリアム・ローンスター / アダム・ビーチ: ダニエルの父。シャイアン系ネイティブ・アメリカン。
下のスライドショーは、メイジー・ウィリアムズ、アニャ・テイラー=ジョイ、アリシー・ブラガ、ヘンリー・ザーガ、チャーリー・ヒートンの順番です。
Embed from Getty Images若きミュータントたちを演じているのは、メイジー・ウィリアムズ(『ゲーム・オブ・スローンズ』)を始めとして、テレビや映画でおなじみの若手実力派ばかりです。
特に、少し意地悪な一方で、「スマイル・メン」やデーモン・ベアにはソウルブレイドを振りかざして敢然と立ち向かうイリアナという複雑な性格の役を演じたテイラー=ジョイは、一見の価値ありです。
一方、レイエス博士に扮するのは、『アイ・アム・レジェンド』(2007年)や『プレデターズ』にも出演している、ベテランのアリシー・ブラガ。本作ではミュータントたちの教育係として、知的な女性の演技を見せています。
「X-メン」シリーズ・ファンは必見のスピンオフ
この記事では『ニュー・ミュータント』の見どころ、あらすじ、評価、キャストなどを紹介しました。
ホラー仕立ての作品で、予告編も恐ろしい雰囲気が強調されていますが、グロテスクなシーンは少なく、多くの映画ファンにオススメできます。
他の「X-メン」シリーズとは雰囲気が異なる作品ですから、特に「X-メン」シリーズのファンならば絶対に見逃すことのできないスピンオフです。