【深読み】ドイツ、戦後最悪の不況か 今年の経済成長率マイナス6.3%の予想

2020年5月1日金曜日

ドイツ 経済

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  • ドイツ政府は4月29日、今年の経済成長率についてマイナス6.3%との見通しを発表しました。
  • この記事では、5月以降の経済の見通し、企業活動再開の日程、識者の見方、景気支援策の概要を詳しく取り上げます。

ヴォルフスブルク フォルクスワーゲン ドイツ経済


ドイツ政府は4月29日、2020年の経済成長率についてマイナス6.3%との見通しを発表しました。

この記事では、5月以降のドイツ経済の見通し、企業活動再開の日程、識者の見方、景気支援策の概要を詳しく取り上げます。

第2四半期に底打ち、反転を期待 

4月29日の会見でアルトマイヤー経済相は、「我が国は大きな試練に直面している」と指摘。

今後の見通しに関しては、景気後退は第2四半期に底を打つと予想。その後は総額1兆ユーロ(約117兆2,900億円)を超える規模の経済対策が奏功して緩やかな回復を見せるとの見方を示しました。 

2021年の成長率は5.2%、新型コロナ危機前の経済水準に復旧するのは2022年との見通しです。

企業活動再開の見通し 

新型コロナ感染抑制のための企業活動の制限に関して同経済相は、「一歩一歩緩和を進めていかなくてはならない」と発言。感染数を見ながら緩和を拡大することを示唆。段階的な日程を早期に発表する意志を強調しました。

特に大きな影響を受けている業界として、イベント会社、見本市、文化関連、レストラン業をあげています。これらの業界には返還義務のない補助金や、後に補助金に変更できる融資などの支援策を考慮していることを明らかにしました。

レストラン業の規制緩和の日程としては今月末を目処にしているものの、通常営業に復帰できるのはかなり先になる見通しです。

景気支援策による雇用確保が急務 識者の見方 

成長率の見通しについて、ドイツ経済研究所(DIW)のクラウス・ミヒェルセン景気担当主任エコノミストは、政府より暗い認識を示しています。第1四半期の成長率はマイナス2%の可能性がある、第2四半期はマイナス10%にいたるとの悲観的な見方です。

また同氏はドイツ公共放送連盟(ARD)の取材に対して、新型コロナ危機は金融危機に比べて景気後退のスピードが早いことを指摘。雇用に与える影響を憂慮しました。

特にミヒェルセン氏は、政府が社会生活を広範囲にわたって制限したことで、全業種において収入が途絶えたり大幅に減少したりしたことの影響を強調。金融業から販売、製造業に影響が出るまで時間があり、需要減を見越して早くから雇用を調整できた金融危機のときとは事情がちがうとしています。 

ちなみに今年3月末までの短時間労働の報告件数は、すでに2009年全体の5倍に達しています。 

一方、マクロ経済・景気研究所のセバスチャン・ドゥリエン研究員は、「企業の先行き不安を払拭して解雇に歯止めをかけるために、景気支援策の詳細を早急に発表する必要がある」と指摘。国の役割と、強力な投資要素の重要性を力説しました。

環境優先の景気支援策

ドイツ経済 自動車産業 エンジニア


景気支援策について、アルトマイヤー経済相は4月29日の会見でも言及しましたが、規模や具体的な内容については多くを語りませんでした。 

刺激策としては、企業投資と個人消費の両面を強調。なかでも二酸化炭素CO2排出量の少ない自動車の技術開発と購入の促進策を具体例としてあげました。自動車産業のドイツにおける重要性をうかがうことができます。

すでにメルケル首相も「景気プログラムの策定にあたっては、常に環境保護を視野に入れることが重要である」と発言。新型コロナ危機後の経済再出発は環境にやさしいものであることを確約しています。 
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この動きに国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事も同調。同氏は29日、各国政府の対応次第では、新型コロナと地球温暖化の2つの危機を同時に解決できると指摘。この2つの危機を同時に解決することは、可能性ではなく最優先の課題とされるべきであると語りました。


参考:

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