シェーンブルク城(ブルクホテル アウフ シェーンブルク)ホテルは、ユネスコ世界遺産のライン川渓谷中流上部に属する街オーバーヴェーゼルを見下ろす丘の上にある古城ホテルです。人気のあるホテルですが情報が少なく、予約しにくいと思われるかもしれません。しかしBooking.comや公式サイトできちんと調べると空いている日は必ずあります。
今回は中世の雰囲気に包まれたシェーンブルク城ホテルの歴史や周辺の見どころに始まり、行き方、客室、ホテルが用意しているオプショナルプログラムから予約の仕方まで解説します。
シェーンブルク城の歴史
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シェーンブルク城、1907年 |
シェーンブルク城の建設は12世紀前半に始まったと言われています。この城の持ち主シェーンブルク公爵家は代々オーバーヴェーゼルの街の支配権とライン川の通行料を徴収する権利を持っていました。
シェーンブルク家は中世には珍しく、全ての息子に平等に相続権があったので、城の住人も多く、全盛期の14世紀には24家族、250人が住んでいたと伝えられています。
シェーンブルク家で最も有名になったのは、17世紀にフランス、プロシア、イングランドの王様に仕えて「ショーンバーグ元帥」として勇名を馳せたフリードリッヒ・フォン・シェーンブルクです。しかしながらシェーンブルク家は、フリードリッヒの息子の代で途絶えてしまいました。
シェーンブルク城も、1689年にフランス軍の手によって焼き払われてしまいます。
その後200年近く、廃墟のままでしたが19世紀の終わりにドイツ系アメリカ人の実業家ラインランダー氏が城を買い取って巨万の富と長い歳月をかけて修復しました。上の写真はその頃の城の姿です。
ラインランダー氏が1947年になくなった後、1950年にオーバーヴェーゼル市が城を買い戻しました。その後1957年にヒュットル家が市から城の南側の敷地を借り受けてホテルとレストランを開業して今日に至りました。ホテルの経営者は、借り受けた南側の敷地の建物を大幅に増築しています。
シェーンブルク城と周辺の見どころ
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オーバーヴェーゼル、聖マリア教会の聖母像(1331年頃) |
次にシューンブルク城とその周辺の見どころを紹介しましょう。
城の中では、高さ25メートルもある城門の塔が見どころです。このなかには2011年4月に開館した博物館があります。城の建築方法、文化遺産の継承、戦争のときの城の姿などが展示のテーマになっています。頂上の展望台からはライン川渓谷の素晴らしい景色を見ることができます。
城の麓にあるオーバーヴェーゼルの街も見どころがたくさんあります。市の文化会館には街の歴史を振り返る博物館があるほか、隕石博物館やパン工場博物館といった少し変わった博物館もあります。
駅の近くにある14世紀に完成した聖マリア教会の美しい装飾も見逃せません。少し足を伸ばすと街のまわりには中世から残る城壁と物見櫓があります。オーバーヴェーゼルの城壁はこの地域で最も保存状態がよいもので、北側の一部は歩いて入ることもできます。
ハイキングが好きな方は、ライン川沿いに5キロほど北上すると、対岸に有名なローレライの岩を望むことができます。以下にローレライの岩へのルートをあげておきます。
シェーンブルク城ホテルへの行き方

シェーンブルク城への最寄り駅はオーバーヴェーゼル(Oberwesel)でコブレンツ・ケルン方面とマインツ・フランクフルト方面からのレギオナルエクスプレス(RB)が停車します。ホテルには駅から20分〜30分ほど歩けば着きますが、上り坂ですので、荷物の多い方には、駅前に運良くタクシーがいたら利用することをおすすめします。
グーグルの地図では15分〜18分と書いてありますが、実際には道は急な坂で、30分はかかりました。しかしながら途中で休憩がてらにライン川の眺めも楽しめました。
駅の駐車場からの地図をあげておきます。
ホテルの駐車場は城壁の外で、そこからフロントまでさらに100メートルほどの距離があり、荷物が多いときはホテルカートで運んでもらうこともできますが、100%あてにはできません。荷物はできるだけ少なく自力で運べる範囲内にしたほうが無難でしょう。
シェーンブルク城ホテルの客室と設備
バルバロッサ塔まわりのホテル施設 |
公式サイトで全ての部屋の写真を公開しています。Show More(もっと見る)をクリックすると部屋や浴室、部屋からライン側を見ることができる場合にはその景色の写真が出ています。ここでじっくりと泊まりたい部屋を探しましょう。
公式サイトで写真を見ればよく分かりますが、家具や内装は中世貴族の生活の雰囲気をよく伝える立派な品です。
公式ホームページで客室リストも見ることができます。ドイツ語ですが、簡単に解説します。
客室は全部で27室あり、11番から37番までの番号が振られています。
最も小さい部屋でシングル(Einzel)の10.5平方メートル、最も大きな部屋でスイート(Suite)で75平方メートルあります。
ベッドの種類(Bettenform)は、シングル(Einzelbett)、ダブル(Doppelbett)、天蓋付き(Himmelbett)、アルコーブベッド(Alkovenbett:室内の一部をくぼませてベッドにしたもの)の3種類です。ベッドの幅(Bettbreite)はシングルで90センチ、ダブルで最低でも140センチとなっています。ダブルの場合、一人あたり80センチ(je 0,80m)のように書かれている場合が多いです。
バスルーム(Badezimmer)は、バスタブ(Wanne、猫足)かシャワー(Dusche)でさらにサウナ(Sauna)が付いている部屋もあります。
ライン川が見られるか(Rheinblick)、バルコニー(Balkon)の有無が、Ja(有り)、Nein(無し)で書かれています。
追加のベッド(Extrabett)を置くことができるかどうかは不可(nein)、可能(数+möglich)で書かれています。お子様などの追加ベッドを置けるかどうかが分かります。追加ベッドの料金は14歳以上の子供または大人1人あたり1泊100ユーロです。14歳未満の子供の追加ベッド料金は1泊25ユーロです。
ワイヤレスLANは原則として全室可能ですが、受信が限られる(eingeschränkt)部屋がありますからご注意ください。
ちなみに全室禁煙で、ペットも不可です。
シェーンベルク城ホテルの宿泊料金
部屋ごとの宿泊料金はローシーズン(Vor-/ Nachsaison)とハイシーズン(Hauptsaison)に分かれていて、ハイシーズンのほうが12~13%高くなっています。上にあげた客室リストに書かれている価格は、ハイシーズンの1部屋(大人2人)あたりの価格です。したがって大人1人あたりの価格はその半分になります。
2024年のローシーズンは、11月3日〜12月19日です。11月初旬ですとまだそれほど日照時間も短くないので、充分観光を楽しむことができます。
ハイシーズンは3月28日~11月2日と、クリスマス大晦日の12月20日~12月31日です。
宿泊料金には朝夕2食が含まれています。朝食はビュッフェスタイルで夕食はホテルが用意する日替わり4コースメニューです。
さらにミニバーも無料、城の塔にある博物館の入館無料、普通は入れない城の庭園に入ることができるといった特典も料金に含まれています。
最も高いハイシーズンのサウナ付きスイートでも一泊460ユーロです。古城ホテルという特別な事情を考慮すると2食付きなのでオトクな価格といえます。
シェーンブルク城ホテルのサービスは?
シェーンブルク城ホテルのサービスはドイツ人らしく、ホテルの側からあれこれと気を回してくれるというわけではありませんが、こちらから頼んだことには丁寧に対応してくれます。押し付けがましくなくてよいと感じられる方も多くいらっしゃいます。
数年ほど前に宿泊したときは、ホテルを出る時間が朝食の時間の8時より早かったにもかかわらず、フロントが事情を察して特別に朝食を用意してくれました
ちなみにルームサービスは7ユーロです。
シェーンブルク城ホテルのオプショナルプログラム
シェーンブルク城はオプショナプログラムとして、ぶどう畑見学とリースリングワイン試飲会、5コース・グルメディナー(ゼクト(発泡ワイン)、ワイン1ボトル付き)、クリスマス特別プログラムを用意しています。
ぶどう畑見学(A small Riesling Journey)は地元のワイン農場主がホテルから車で2時間ほど周辺のぶどう畑を紹介した後、地元リースリングワインの試飲会となります。最低催行人数2名で、一人60ユーロで食事とワインが付きます。
グルメディナー(Romantic Stay for Gourmets)では、まず到着時に部屋にハーフボトルのリースリング発泡ワインが用意されています。さらに夕食がワイン付き5コースメニューのキャンドルライト・ディナーというロマンチックなものになります。2人から予約可能で、1人あたり72ユーロです。
クリスマス特別プログラムの内容は、この原稿を執筆した時点では確認できませんでしたが、特別ディナーにアトラクションがつくものと思われます。
シェーンブルク城ホテルの予約の仕方
シェーンブルク城ホテルの予約はBooking.comから可能です。Booking.comは日本語で予約をしたい方に特におすすめです。
旅行に必要な英語ができる方はシェーンブルク城ホテルの公式サイトをからでも予約できます。
公式サイトの予約システムは空き部屋の番号が表示されるので、泊まる部屋がどのような部屋かよく分かります。
公式サイトでの予約の順番を紹介します。言語は英語かドイツ語のみです。英語での予約方法をここでは解説します。
- 右上の言語メニューで英語を選択。
- その左隣りのBOOK ONLINE(オンライン予約)を選択。
- Arrival(到着日)、Departure(出発日)、Room(部屋数、5部屋まで予約可能)、Room1(部屋1)以下にAdult(大人)、Children(子供)の数を入力。
- 指定期間内に空き部屋があると部屋の番号と値段が表示されますから、お好きな部屋をお選び下さい。
- Additional Services(追加サービス)でワインや5コースメニューの予約ができます。
- 宿泊者の氏名、住所、支払い方法(Contact and Payment Data)を入力します。予約の確認のためにクレジットカードが必要です。
- もう一度予約内容を確認して予約ボタンを押します。
後は他のオンライン予約と同じく、送られてきたデータを持ってホテルに行くだけです。
シェーンブルク城ホテルで中世貴族になった気分を味わおう
今回は人気があるけれども予約が難しいと噂されるシェーンブルク城ホテルの歴史や周辺の見どころに始まり、行き方、客室、オプショナルツアーから予約の仕方までを解説しました。
日本語で全ての手続を行いたい方には世界最大の宿泊サイトBooking.comを通じての予約がおすすめです。
ホテルの公式サイトはわかりやすく作られていますから、英語力に関係なくホテルの予約は可能です。じっくりと自分の泊まりたい部屋を探して、空いていそうな時期をねらって検索すると意外と簡単に予約できるかもしれません。
ライン川周辺を旅行するときのハイライトとして計画してみてはいかがでしょうか。
最後にドイツの城巡りに興味のある方にとっておきのガイドブックをご紹介します。

ドイツのお城巡りに特に興味を持たれた方にはガイドブックとしてワンテーマ指さし会話 ドイツ×お城: とっておきの出会い方シリーズをおすすめします。
語学書ではなく、城巡りに最低限必要なドイツ語の簡単な文章が紹介されています。そればかりでなく筆者が考えたオススメの3ルートは、情報は少し古いですが、観光へのいざない・ヒントとして、それだけでも読む価値が充分にあります。