ムファサは弟? 超実写映画『ライオン・キング:ムファサ』の最後はどうなる? 結末をネタバレ解説

2024年12月20日金曜日

アニメーション

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『ライオン・キング:ムファサ』ロゴ、Walt Disney Studios Motion Pictures - https://www.mufasamovie.me, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=156836723による
この記事では、アニメーション映画『ライオン・キング:ムファサ』の最後はどうなるか、結末の意味をネタバレ解説します。

『ライオン・キング:ムファサ』で初登場するメインキャラクター

オバシタカの父親でムファサの養父、群れの王
エシェタカの母親でムファサの養母
マセゴムファサの実の父親
アフィアムファサの実の母親
キロス「アウトサイダー」のボス
ムファサに息子を殺され、復讐を誓う

【ネタバレ注意】映画『ライオン・キング:ムファサ』のあらすじ

最初の映画の後、シンバとナラはキアラという名前の雌の子ライオンを授かり、さらに二頭目の子をもうすぐ迎えようとしています。

出産のため、シンバとナラは静かなオアシスに行きますが、シンバはティモンとプンバァにプライド・ロックでキアラを見守るように頼みます。

やがて、ラフィキがやってきて、嵐になってキアラが少し怖がるので、シンバがキアラと同じ年頃だった頃の話をした後、彼はムファサと邪悪な弟スカーの若き日の物語を語り始めるのでした。

ムファサは、マセゴとアフィアのもとに生まれました。マセゴとアフィアは、神話の地「ミレレ」について、ムファサに語り聞かせていました。

しかし、ムファサの故郷の平和は、突然の洪水によって破られ、ムファサは恐怖のあまりアフィアと合流することができず、流されて遠くの地にたどり着いてしまいます。そこでムファサは、勇敢な王族の子ライオン、タカと出会います。

タカは、ワニがいるからすぐに水からでないと危険だと、ムファサに言います。しかし、ムファサは自力で這い上がることができないので、タカに引っ張りあげられて救出されました。この場面は、『ライオン・キング』の最も印象的な場面と関連する重要なシーンです。

タカに救出されたムファサは、タカの一族の群れに連れて行かれます。

その一族は、タカの父親、オバシがリーダーになっていますが、オバシはあまりよいリーダーではありません。

オバシは「アウトサイダー」を恐れており、ムファサもアウトサイダーだと思ったオバシは、ムファサを殺そうとします。さらにタカの両親であるオバシとエシェは、アウトサイダーを迎え入れたタカを罰します。

ムファサは自分が誇り高い一族に役立つと主張し、俊足であることを証明するため、タカと競争することになりました。疲れているムファサはタカに遅れをとりますが、タカはムファサを一族に迎え入れてもらうため、わざと敗北を認めます。このことも、オバシの怒りを買ってしまいます。

ムファサとタカは、やがて兄弟のような強い絆を持つ若者へと成長しました。しかし、ある日、ホワイトライオンの一団が襲来し、エシェと狩りの練習をしていたムファサを襲います。ムファサは彼らをなんとか撃退し、そのうちの一頭を倒しました。

タカはこの攻撃を目撃していますが、恐怖で逃げ出してしまい、さらに父親の怒りを買うことになります。

ホワイトライオンたちは、自分たちの群れのボス、キロスのもとに戻ります。ムファサが倒したホワイトライオンは、何とキロスの子どもだったのです。

復讐に燃えるキロスは、ムファサのいる一族を襲撃します。ムファサとタカは、ホワイトライオンたちから逃れますが、そのうち一頭はワニに食われます。しかし、キロスは二人の兄弟を執拗に追跡するのでした。

ムファサとタカが、陸地にたどり着くと、放浪する雌ライオンのサラビ、その友人のアカハシコサイチョウのザズー、そして仲間のサルたちから追放された若きラフィキに出会います。

ラフィキは新たな住処を探すべく、ミレレへ向かう途中だと語り、一行は彼に同行することを決めました。

タカはサラビに恋心を抱きますが、告白しようとした矢先、キロスとその一族が現れて襲撃されてしまいます。

サラビは、通りかかった象の群れをうまく利用してホワイトライオンたちを混乱させ、一行は逃げることに成功。サラビは負傷し、ムファサが彼女を救いますが、彼女が回復したとき、ムファサは、タカが救ったと主張しました。

一行は雪山に到着し、キロスたちを振り切ることに成功します。サラビはムファサが自分を救ったことを知っていると告げ、二人はやがて恋に落ちます。

それを遠くから見ていたタカは嫉妬に駆られ、キロスとその一族に接触しました。タカは、ムファサへの復讐を手助けすることを申し出ます。翌日、ムファサたちの一行はついに緑豊かなオアシス、ミレレに到着しますが、その道中でタカは、キロスたちのために密かに目印を残していたのです。

ラフィキが、ムファサのことを「兄弟」と宣言した直後、ホワイトライオンたちが襲撃してきます。ムファサはキロスと対峙し、キロスはタカが裏切ったことを打ち明けます。

それでもムファサは周囲の動物たちを団結させ、ホワイトライオンたちと戦いました。やがてキロスは、ムファサを洞窟に追い込みますが、それを見たタカは後悔し、ムファサを助けるため介入します。

キロスは、タカの目を傷つけますが、ラフィキが洞窟を崩れさせ、兄弟を救います。洞窟は水で満たされ、キロスは執拗にムファサを追い詰めますが、落石によって落命し、ムファサは泳いで脱出しました。

洪水が引き、ムファサとサラビが洞窟を出ると、動物たちは勝利を祝福し、ラフィキが、ムファサを王と呼びました。ムファサはアフィアと再会し、マセゴが亡くなったことを知らされます。

ムファサは後悔するタカに対し、彼を「スカー」と名付け、二度と「タカ」とは呼ばないと誓います。その後、ムファサは、新たに形成されたプライド・ロックへ上り、王として咆哮を上げるのでした。

現代に戻り、祖父ムファサの魂が彼女を見守るもと、キアラはプライド・ロックの頂上で咆哮します。やがてキアラはラフィキ、ティモン、プンバァと一緒にシンバたちと合流し、新しく生まれた子ライオン、キアラの弟と対面するのでした。

『ライオン・キング:ムファサ』の最後はどうなる?

『ライオン・キング:ムファサ』は、2019年の超実写版リメイクの前日譚および続編という独特の位置づけになる作品です。

映画は、ムファサ自身と彼の仲間であるサラビ、ラフィキ、ザズー、そしてムファサが団結させたミレレの動物たちが協力して、ホワイトライオンの集団「アウトサイダー」を打ち負かす形で幕を閉じました。

ムファサは、タカが裏切ってキロスと手を組んだことに打ちのめされます。しかし、ムファサとキロスの戦いの最中、タカは一瞬心を変え、ムファサを守るためにキロスの攻撃の前に身を投げ出し、その結果、アニメ版『ライオン・キング』で知られる傷(スカー)を負うことになったのです。

それでもムファサは、タカを完全に許すことはできません。そのことは、タカが今後「スカー」と呼ばれることに同意したことで、象徴的に示されています。

ムファサは母親のアフィアと再会し、彼女は「いつか必ず再会すると信じていた」と言いました。そして、ムファサは王となりました。

話は『ライオン・キング』の後の時点に戻り、ムファサの孫にあたるキアラは、弟に物語を語り継いでいきます。これは、「ライオン・キング」シリーズの焦点が、シンバからキアラに移っていくことを示しています。

ミレレとプライド・ランドの関係

ムファサは、平和に暮らせる王国、水と草が豊富な場所として、両親からミレレの話を聞いたことがあるだけでした。そこは彼の家族が住んでいた、何ヶ月もの間、雨が一滴も降らない場所とはかけ離れていました。

しかし、ミレレは、あまりにも理想的すぎるため神話だと考えられていたのです。それは多くのライオンたちの永遠の故郷(スワヒリ語で「ミレレ」は「永遠」を意味します)であり、実際にそこに行ったことがない者たちも、その存在を固く信じていました。それは、手の届かない、より良い未来への夢であり、希望だったのです。

しかし、今回の映画で「ミレレ」は、1994年の『ライオン・キング』で描かれた「プライド・ランド」であることが判明します。

ムファサの登場が、すべての状況を変えました。それまで「ミレレ」には王がいなかったようですが、キロスとその一族を打ち破ったことで、ムファサが王となったのです。

ムファサの即位によってミレレは名前を変えることになります。

ミレレは、もはや神話ではなくなり、ムファサがその支配者となったことで、「プライド・ランド」という名前がふさわしいものになりました。この新しい名前は、ムファサの新しい群れと、新たに築かれた未来を象徴しています。

ムファサはどのようにしてライオン・キングとなったか

ムファサは王族の出身ではなく、王になるはずだったタカの守護者として育てられました。そのため、ムファサにとって他の動物たちと共に平和に暮らせるミレレに来たことは救いでした。ですからムファサは、最初、王になることに躊躇していました。なぜなら、ムファサを自分をミレレの動物たちより上の存在だとは思っていなかったからです。ムファサは、皆が団結することで強くなれると信じていました。

しかし、動物たちとラフィキの励ましが最終的にムファサの考えを変えたのです。

ムファサこそが、最終的にミレレを一つにまとめた存在であり、そうでなければ、彼らは「アウトサイダー」に立ち向かう勇気を、恐怖のため失っていたかもしれません。

ムファサのリーダーシップのもと、彼らは団結しました。そのことが、ミレレの動物たちをしてムファサを王にしたいと思わせる強力な理由となったのです。

ムファサは、自分のことを王らしい人物だとは考えていません。ムファサは、ただ故郷と呼べる場所と、自分を愛してくれる家族が欲しかっただけだったのです。しかし、危機に立ち向かうムファサの勇気が、彼をリーダーの地位へと押し上げました。ムファサは、リーダーにならなくても幸せだったかもしれませんが、ミレレが自分の故郷となったことで、彼は重い責任を受け入れる決心をしたのです。

ムファサとスカーのどちらが兄? なぜスカー?

『ライオン・キング:ムファサ』では、『ライオン・キング』(2019年)で示唆されていたように、スカーがムファサの実の兄弟ではないこと、また彼が「スカー」と名乗るようになったのは成人してからであったことが描かれます。

ムファサとスカーに血のつながりはないため、どちらが兄でどちらが弟ということは、あまり意味をもちません。

スカーは、オリジナルのアニメ映画の出来事のはるか前には、「タカ」という名前でした。タカの父であるオバシは群れの王であり、タカにその跡を継がせるつもりでした。しかし、ムファサとホワイトライオンたちが現れ、タカの人生の軌道が狂ってしまったのです。

オバシたちのもとでムファサは、タカの守護者となるべく育てられました。しかし、タカの父は忠誠心や真実よりも欺瞞を重んじており、タカには正しいことを教えませんでした。

ムファサが、何度もその力を証明するのを見ているうちに、タカのムファサに対する愛情は徐々に薄れていきます。

一方、タカの役割はますます目立たなくなり、タカは父親と母親の両方を失望させる存在にすらなってしまいました。オバシは、王位は努力で勝ち取るものではなく、与えられるものだと信じています。一方、タカの母親でムファサの養母であるエシェは、本心からムファサを愛していました。

とは言え、オバシとエシェのもとでタカは王の後継者で、ムファサはその守護者として育てられていること、そもそもムファサが受け入れてもらえたのはタカのおかげであることなどを考えると、ムファサが王となるまでは、タカ/スカーの方が兄貴分であったようです。

タカがスカーとなる経緯は、タカの愛情が憎しみや苦々しさへと変わり、ついに兄弟に背を向けるようになる過程です。

タカが「スカー」へと変わるきっかけは、新しい王に対する裏切りのせいで、ミレレの動物たちの前で屈辱を受けたことでした。

しかし、タカが名前を変えたことは、裏切りだけを示すものではありません。

ムファサとタカは、以前の兄弟のような関係に戻ることはもうないのです。

ムファサは、タカの行動がライオンの規範に反しているため、彼を「タカ」と呼ぶことができません。それに加え、タカ自身も、自分が苦々しさや嫉妬、憤りから下した決断の重みを、明らかに理解しています。

タカが「スカー」と名を変えることは、自らの行いに対する責任を引き受ける意思を示しており、とりわけ、ムファサが二度と彼を許さないかもしれないことを理解しているからこそ、その名前を受け入れたのです。

シンバとナラのその後

『ライオン・キング』(2019年)の出来事の後、シンバとナラはキアラを育てながら、プライド・ランドを幸せに統治し続けています。彼らはプライド・ロックで平和に暮らし、家族を成長させながら満ち足りた生活を送っているようです。

『ライオン・キング』の後、シンバとナラは次々と子宝に恵まれます。まずキアラが生まれ、その後間もなく、新しい息子も誕生します。

これまでの困難や悲劇、喪失を乗り越えてきた王家のライオン夫婦は、順風満帆な人生を歩んでいくことでしょう。

「ライオン・キング」シリーズの未来

『ライオン・キング:ムファサ』では、焦点がシンバとナラから移って、キアラとその弟が「ライオン・キング」シリーズの未来を担う存在として描かれています。

キアラはプライド・ランドの未来の女王、そして彼女の弟はその守護者として設定されています。その意味で、キアラと弟の関係は、ムファサが王になる前のムファサとスカーの関係を反映しているとも言えるでしょう。

この映画でシンバの物語は完結し、ムファサがかつてそうであったように、成長する子どもたちの導き手や教師の役割を果たすようになると考えられます。

『ライオン・キング:ムファサ』の終わりで、キアラの弟の名前は、実は明かされておらず、彼が祖父(ムファサ)にちなんで名付けられるのか、あるいはアニメシリーズ『ライオン・ガード』に登場するシンバとナラの息子「カイオン」という名前になるのかは不明です。

キアラが、祖父ムファサの真実の物語を学び、それを弟に伝えることで、未来の女王は家族の遺産を受け継ぐことになります。その意味で『ライオン・キング:ムファサ』は、遺産とその継承についての物語です。

キアラと弟が、「ライオン・キング」シリーズ、そしてプライド・ランドの未来として確立されることは、このテーマと一致しています。シンバは冒険を終え、今度はキアラと弟が、彼ら自身の冒険に向けて準備を進めています。

ラフィキからムファサの物語を聞くことで、特にキアラは祖先を心に刻み込み、未来へと進む力を得ることができるのです。

『ライオン・キング:ムファサ』で開かれたシリーズ続編の可能性

『ライオン・キング:ムファサ』では、シンバの娘、キアラが登場し、彼女が物語の中心人物として大きく描かれており、「ライオン・キング」シリーズの続編が、キアラの物語を中心に展開されることが示唆されています。

キアラには弟が誕生したものの、ムファサの物語を彼に語り聞かせる役割を担うのはキアラであり、これによってシリーズの未来の象徴が、シンバからキアラへと移行する重要な変化が示されています。

一方で、『ライオン・キング』の続編は、オリジナル映画の出来事へと至るスカーの物語に焦点を当てることもできるでしょう。

ムファサは、スカーが「ミレレ」にとどまることを許したものの、スカーがすぐにハイエナたちと手を組んだのか、それとも『ライオン・キング』以前に別の経験をしたのかは明確にされていません。

『ライオン・キング:ムファサ』の結末は、スカーに関するさらなる物語を描く余地を残しています。彼が、どのようにして『ライオン・キングII シンバズ・プライド』に登場する「アウトサイダー」のライオンたちの忠誠を得たのか、その過程を描くことも可能でしょう。

スカーに焦点を当てた作品は、興味深いものになることが考えられます。なぜ彼が、『ライオン・キング』で実の兄を殺すという決断に至ったのか、その理由をさらに掘り下げることができるからです。

『ライオン・キング:ムファサ』ではスカーの誕生物語が描かれましたが、中心はあくまでタイトルキャラクターであるムファサです。スカーの物語を掘り下げると、彼が『ライオン・キングII』に登場するアウトサイダーたちの信頼をどうやって勝ち取ったのかが明らかになり、それはアニメ版続編で彼らと関わるキアラの物語ともつながることでしょう。

キアラの新たな冒険の舞台が、このような形でも整えられるのです。

『ライオン・キング:ムファサ』の結末の意味とは

『ライオン・キング:ムファサ』の結末は、分裂や軽蔑の渦中における、団結と愛の大切さを訴えています。キロスの物語やムファサが王となる過程を通じて、リーダーの地位は力ずくで奪うものではなく、努力によって勝ち取るべきものであることが示されます。

物語の終わりで、ムファサとタカの関係が悪化してしまうものの、ムファサは「見つけた家族」によって築かれた絆の大切さを実感します。これはムファサとラフィキ、またムファサとエシェの関係にも見られるものです。

ラフィキが、ムファサの誕生物語をキアラに伝えることで、『ライオン・キング:ムファサ』は、過去が現在に影響を与え、重要な教訓を次世代に伝えていく過程を描いていると言えます。

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