180度規則
映画を撮影・編集するときには、ひとつのシーンでカメラは2つの撮影対象を結んだ軸の、どちらか一方にのみ置くようにすることがよしとされています。
このような撮影・編集の規則が、180度規則(180-degree rule)です。
例
たとえば会話のシーンでは、2人の対話する人物を結んだ線がイマジナリー・ラインとなります
カメラがこの線の一方の側から出なければ、新しいショットとつなぎ合わせても、2人の空間の関係は一定なため、観客は混乱しません。
撮影対象が移動する場合でも、カメラが移動する軸を越えないようにします。
たとえば画面の右側に消えたものが、次のショットでは画面の左側から現れることになり、移動の方向がはっきりします。
つまりカーチェイス・シーンで車があるショットで画面の右側から出ていった場合、次のショットで同じ車は画面の左側から入ってこなければなりません。
リバース・カット
このように、イマジナリー・ラインは観客がシーンのなかの動きの方向や位置を知るための、重要な手がかりです。
これに対して、イマジナリー・ラインをまたいで両側で撮影したショットをつなぎ合わせると、観客は位置関係が混乱します。
このようなカットは「リバース・カット」と呼ばれ、避けることが勧められています。
様式との関係
映画の編集でこのような180度規則は、コンティニュイティ・エデティングと呼ばれる様式の基礎的な要素です。
ですが、監督のなかにはあえてこの規則に従わずに独特の映像効果を狙うひとも少なくありません。
たとえばスタンレー・キューブリックは『シャイニング』のトイレのシーンで180度規則を破り、混乱した雰囲気を醸し出しています。
日本では小津安二郎が180度規則に従わないことが知られています。
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