映画「ハロウィン」シリーズには4つの時間軸がある
「ハロウィン」シリーズは12本の映画のほかに小説、マンガ、ビデオゲームなどを含むスラッシャー・メディア・フランチャイズ。
「スター・トレック」オリジナルTVシリーズのカーク船長のマスクをかぶった殺人鬼・マイケル・マイヤーズがハロウィンの夜に人びとを虐殺する物語です。
映画「ハロウィン」シリーズは2022年に公開される予定の『ハロウィン ENDS』を含めて合計13本の作品があります。しかし、これらの作品はひとつの時間軸を共有していません。
「ハロウィン」シリーズにはオリジナルの時間軸、『ハロウィンH20』の時間軸、ロブ・ゾンビのリメイク、2018年リブートの時間軸の4つの異なる時間軸が存在します。
この記事では新作『ハロウィンKILLS』などが含まれる2018年リブート以降の時間軸を理解するため観ておきたいオススメの過去作をご紹介!その他の時間軸についても簡単に説明します。
この記事は映画「ハロウィン」シリーズのネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。
『ハロウィン』(1978年)
新作映画『ハロウィン KILLS』を観る前に必ず観ておかなくてはならない過去作の最初は、もちろんオリジナル第1作目です。この作品で『ハロウィン KILLS』の主要なキャラクターが初登場します。
主人公の殺人鬼・マイケル・マイヤーズは1963年、まだ6歳だったとき、10代の姉をハロウィンの夜に包丁で刺し殺しました。
それから15年間マイケルは精神病院に収容されます。1978年、彼の担当になったサミュエル・ルーミス医師と看護師・マリオン・チェインバースはマイケル・マイヤーズの症例に興味を抱きます。
しかし、マイケルはルーミス医師たちの車を盗んで逃亡。途中でトレードマークとなるつなぎ作業着とマスクを盗んで故郷・ハドンフィールドに帰ってきました。
ハドンフィールドの街でマイケル・マイヤーズはヒロイン・ローリーの友人たちを殺し始めます。被害者のひとりはリー・ブラケット保安官の娘・アニーでした。
マイケルに襲われたローリーはベビーシッターとして預かっている子どもたち・トミーとリンジーを守るため奮闘します。
やがて駆けつけたルーミス医師はマイケルを拳銃で何回も撃ちます。しかし、バルコニーから転落したマイケルはどこかに逃亡した後でした……。
『ハロウィン』(2018年)
『ハロウィン KILLS』の前作にあたる2018年公開の『ハロウィン』は、第1作目に直接つながる時間軸です。このためシリーズ第2作目『ハロウィンII』以降の時間軸とはまったく異なる世界に属します。
この映画でマイケル・マイヤーズは第1作目の出来事のあと精神病院に連れ戻され、2018年まで40年間閉じ込められていた、という設定です。
しかし、より厳重な警備の刑務所に送られる途中でマイケルは逃亡、ハドンフィールドに戻ってきます。
ハドンフィールドには40年前の経験からPTSDになったローリーが孤独に暮らしていました。
ローリーは娘のカレンと仲が悪く、家族を結びつけるのは孫娘のアリソンひとり。ですが、マイケル・マイヤーズが殺戮を再開したことで3代にわたるストロード家の女性たちは力を合わせてマイケルに立ち向かいます。
この映画の結末で重傷を負ったローリーたちはマイケルを家の地下室に閉じ込め、火を放って殺そうとしました。
この映画の続編となる『ハロウィン KILLS』はこの事件の直後。火事を生き残ったマイケル・マイヤーズが再びハドンフィールドの街を恐怖のどん底に陥れる物語です。
映画『ハロウィン KILLS』の登場人物とあらすじのネタバレも含む詳しい解説は以下の記事をご覧ください。
『ハロウィンII』(1980年)
『ハロウィンII』は2018年のリブート以降の時間軸とは関係ありませんが、『ハロウィン KILLS』の重要な舞台となる病院が登場するので復習しておきたい作品です。
『ハロウィンII』は第1作目の直後、生き残ったローリーが病院に担ぎ込まれ、ルーミス博士はマイケル・マイヤーズの探索を続けます。
しかし、ローリーを執拗に追跡するマイケル・マイヤーズは彼女のいるハドンフィールド記念病院を襲うことに……。
実は『ハロウィンII』にはローリーがマイケル・マイヤーズの妹であった、というどんでん返しが用意されています。
ローリーはマイケルの両親が死んだ後、養子に出されており、このことがマイケルのローリーに対する執着の原因です。この設定は2018年の映画では取り入れられていません。
『ハロウィン6 最後の戦い』(1998年)
『ハロウィン6 最後の戦い』(1998年)も2018年のリブートとは別のオリジナル時間軸に所属する作品です。
ですが、『ハロウィン KILLS』に登場するトミーの別の物語として興味深い作品なので見逃せません。
さらにこの作品ではマイケル・マイヤーズを殺人に駆り立てる原因が説明されます。
『ハロウィン6』は『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』(1995年)の6年後という設定。ローリーの娘・ジェイミーはカルト集団に捕まっている間に男の子を出産します。
ジェイミーはその後脱出しますがマイケルに殺されました。彼女の子どもはマイケルの知らないところで成長し、第1作目で生き残った青年・トミー・ドイル(ポール・ラッド)によって見つけ出されます。
マイケル・マイヤーズの謎を調べるトミーはマイケルが古代ケルト社会のドルイド教であるザ・カルト・オブ・ソーンの呪いがかけられていることをつきとめました。
この呪いのためマイケルは殺人へと駆り立てられ、サウィン祭(ハロウィンはサウィンの前夜にあたる)の夜に近親者を生贄に捧げねばならなかったのです。
これに対して、『ハロウィン KILLS』でマイケル・マイヤーズを狂気に駆り立てる衝動である「純粋な悪」は宗教とは別のものとして説明されています。
その他の時間軸
ここからは2018年リブート以外の「ハロウィン」シリーズの時間軸を解説します。
オリジナルの時間軸
オリジナルの時間軸は第1作目から第6作目『ハロウィン6 最後の戦い』(1998年)までをカバーします。ただし後述するようにシリーズ第3作目はどの時間軸にも所属しません。
この時間軸は第1作目で生き残ったローリーとその娘・ジェイミー(2018年のリブートに登場するカレンとは違う)が主人公となってマイケル・マイヤーズと対決する物語です。
さらにローリーは第2作目『ハロウィンII』と第4作目『ハロウィン4 ブギーマン復活』(1989年)の間に交通事故で死亡。第4作目以降は彼女の娘・ジェイミー(ダニエル・ハリス)がマイケル・マイヤーズの新たなターゲットとなります。
さらに第6作目『ハロウィン6 最後の戦い』(1998年)でジェイミーが死んだ後は、彼女の子どもがマイケル・マイヤーズに狙われることになりました。
『ハロウィンⅢ』(1988年)
シリーズ第3作目はマイケル・マイヤーズが存在しないまったく別の世界の物語です。
このためこの作品は他の作品とつながる部分がなく、どの時間軸にも所属しません。
『ハロウィンH20』からの時間軸
2つ目の時間軸は『ハロウィンH20』(1998年)と『ハロウィン・レザレクション』(2002年)の2つの作品です。
この作品でローリーは死んだのではなく、カリフォルニアで新しい暮らしをしている、という設定になりました。
この時間軸にローリーの娘・ジェイミーは存在せず、かわりにジョン(ジョシュ・ハートネット)という息子がいます。
ローリーが生きていることを知ったマイケル・マイヤーズは彼女やその息子をターゲットにします。
さらに『ハロウィン・レザレクション』(2002年)でローリーを殺したマイケル・マイヤーズは、自分の家をリアリティーショーの舞台にした人びとを殺し始めるのでした。
ロブ・ゾンビのリメイク
ロブ・ゾンビが監督・脚本を務めた2本の作品(2007年、2009年)は第1作目『ハロウィン』と第2作目『ハロウィンII』の設定を受け継いだ作品です。
ですが、マイケル・マイヤーズとローリーの生い立ちが変更され、暴力描写も過激になっています。
第1作目と2018年のリブートだけは必ず観ておこう!
この記事では新作『ハロウィン KILLS』を鑑賞する前に観ておきたいハロウィンシリーズのおすすめ映画を紹介。あわせて「ハロウィン」シリーズ全作品の時系列について簡単に解説しました。
「ハロウィン」シリーズは映画だけで10本以上の作品があるため、どれから手を付ければよいか迷うところです。
過去作を観たことのない人は、新作『ハロウィン KILLS』を観る前に必ずシリーズ第1作目と2018年に公開されたリブートの2本を鑑賞することをオススメします。