映画『ローグ』の作品情報
『ローグ』は2020年に公開された南アフリカ、イギリス製作のアクション・サスペンス映画。傭兵のグループがアフリカで生き残るために反政府組織や人間を襲うライオンと死闘を繰り広げる物語です。
タイトルの「ローグ」とは、群れや人間の飼育下から離れて行動する凶暴な動物などを指すのに使われる形容詞。本作では密猟者の農場から逃亡して凶暴化したメスライオンも意味します。
主役の傭兵隊長を演じるのは男性雑誌『FHM』の「世界で最もセクシーな女性」に選ばれたこともあるミーガン・フォックス。
監督・脚本を務めたのは、ホラーゲームを実写映画化した『サイレントヒル: リベレーション3D』(2012年)などで知られるM.J.バセットです。
- 原題:Rogue
- 監督・脚本:M.J.バセット
- キャスト:ミーガン・フォックス、フィリップ・ウィンチェスター
- 公開年:2020年
- 上映時間:1時間45分
- 製作国:南アフリカ共和国、イギリス
映画『ローグ』予告編
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日本版(約1分28秒)
英語版(約2分15秒)
映画『ローグ』の監督・脚本
映画『ローグ』の監督を務めたのは、ホラー映画『デス・フロント』(2002年)などでカルト的人気のあるイギリス出身の映画監督M.J.バセットです。
バセット監督のフリ出しは野生動物映画のアシスタント
イギリス、ウェスト・ミドランドのニューポートで生まれ育ったバセット監督の子供のころの夢は、アフリカで野生動物の獣医になることだったとか。
しかし学校の成績が振るわなかったため中退、野生動物の映画製作者のもとで1年半ほどアシスタントとして働きました。同監督はこのときに写真や映画の技術を習得しており、その経験は本作にも確かに活かされています。
その後、大学で動物学を専攻しようと学校に戻りますが、今度はテレビ局で子供番組の科学・自然関連コーナーの司会や声優として働き始めてしまいます。
やがて映画製作が天職であることに目覚めたバセットは、短編映画やテレビ番組を撮りながら長編映画の構想を練りました。
その努力が身を結んだのがバセット監督の長編映画デビューとなる、第1次世界大戦の塹壕を舞台にした異色のホラー映画『デス・フロント』(2002年)です。
その後も同監督は『Wilderness(原題)』(2006年)や『サイレントヒル: リベレーション3D』(2012年)といったホラー作品で名を上げていきます。
なお同監督の名前に関しては一部のメディアで「マイケル・J.・バセット」という表記が見られます。しかしながら、バセットはトランスジェンダーであることを公にしており、「M.J.バセット」が正式です。
監督の娘も大活躍
もともと映画『ローグ』は、バセット監督が娘のイザベルとともに脚本を執筆していた小規模のプロジェクトでした。
しかし、この脚本を読んだプロデューサーたちは有名俳優の主演で映画にできると判断。本作で主演を務めることになるミーガン・フォックスのエージェントに連絡をとったところ、翌日には承諾の返事が来たそうです。
ちなみに監督の娘・イザベルは、本作に反政府組織に誘拐された少女の1人・テッサ役で出演して印象深い演技も見せています。
映画『ローグ』のキャスト
ここでは映画『ローグ』のメイン・キャストをご紹介します。見出しは「役の名前:俳優の名前」の順番です。
サマンサ(サム)・オハラ:ミーガン・フォックス
人質開放に雇われた傭兵たちのリーダー・サム役を務めるミーガン・フォックスは1986年生まれ、アメリカ出身の女優、ファッションモデルです。
本人は比較されるのを嫌がっていますが、アンジェリーナ・ジョリーのような容貌で有名になりました。2008年には、男性雑誌『FHM』の「世界で最もセクシーな女性」第1位に選ばれています。
映画の仕事では、2000年代に「トランスフォーマー」シリーズのヒロインであるミカエラ・ベインズ役で有名になりました。
本作でもタフな傭兵のリーダー役でアクション女優としての実力を発揮しています。
ジョーイ・カシンスキー:フィリップ・ウィンチェスター
サムの仲間の傭兵でスナイパーでもあるジョーイ役を務めるフィリップ・ウィンチェスターは1981年生まれ、アメリカ出身の俳優です。
ウィンチェスターは母親がイギリス人であることもあって、俳優の教育はロンドンで受けています。
主にテレビで活躍するウィンチェスターは、2008年にTVアクション・シリーズ『クルーソー』で主役のロビンソン・クルーソーを演じました。また『シカゴ・ジャスティス』(2017年)や『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』(2018~2019年)ではピーター・ストーン役でレギュラー出演しています。
その他の登場人物
ここからは映画『ローグ』のその他の登場人物を簡単に紹介します。各項目は「役の名前 / 俳優の名前:キャラクターの簡単な説明」の順番です。
- アシラ・ウィルソン/ジェシカ・サットン:反政府組織によって誘拐された知事の娘
- テッサ/イザベル・バセット:アシラと一緒に誘拐された少女
- マイク・バラサ/グレッグ・クリーク:傭兵
- ボー・イン/ケネス・フォク:アジア系の傭兵
- イライジャ・デッカー/ブランドン・オーレ:傭兵
- パタ/シサンダ・ヘナ:反政府組織に家族を殺され、復讐を心に秘めたアフリカ人の傭兵
- ザラム/アダム・ディーコン:知事の娘たちを誘拐した反政府組織のリーダー。アフリカ系だが実はイギリス育ち
映画『ローグ』前半のあらすじ【ネタバレなし】
舞台はアフリカ某所の草原地帯。密猟者の農場に捕まっていたメスライオンが人間を噛み殺して逃亡するところから物語は始まります。
一方、サム(ミーガン・フォックス)が率いる傭兵チームは知事の娘・アシラやその友人・クロエとテッサを反政府組織のアジトから救出します。しかし脱出用のヘリコプターを撃墜された彼女たちは、追い詰められ弾薬尽きて崖下の川に飛び込んで脱出するハメに。
ほとんどの装備を失った彼女たちがたどり着いたのは、冒頭でメスライオンが凶暴化して密猟者を噛み殺したため無人化した農場です。この農場では捕まえてきたライオンをペットや剥製、はたまた漢方薬の材料として売り飛ばしていたのでした。
やがて日没を迎えて暗闇となった農場で傭兵・イライジャやボーがライオンに襲われて殺されたり瀕死の重傷を負ったりします。さらに反政府組織の追手も農場に迫ってくることに。
はたしてサムたちは、ライオンと反政府組織の襲撃を生き残ることができるのでしょうか?
映画『ローグ』後半のあらすじ【ネタバレあり】
サムとジョーイは農場の自家用発電機を起動して無線で本部と連絡、翌朝ヘリコプターで救出してもらうことにします。しかし、彼女たちのためにライオンを見張っていたバラサは、暗視望遠鏡の乾電池を探しているときにライオンに殺されてしまいました。
一方、パタは反政府組織がアシラを誘拐した目的は、彼女の父親がこの地域全体を掌握しており密猟にも関与しているからだと言います。事情に詳しい理由を問われたパタは、自分が反政府組織に属していた過去があり、組織を抜け出したために妻子を殺されたことを告白。組織に誘拐されていたテッサはショックを受けます。
やがてザラマン率いる反政府組織が農場を包囲。彼らが総攻撃を仕掛ける直前にジョーイは年代物のリー・エンフィールド小銃を発見しますがライオンに襲われて重傷を負わされます。
続く混戦のなか、サムとパタやアシラは圧倒的多数の反政府組織を白兵戦で壊滅させました。パタは家族の仇であるマサクを相打ちで倒して満足して息絶えます。瀕死の重傷を負っていたボーも、ジョーイの傍らで絶命。
1人生き残ったザラマンはテッサを人質にしますが、サムにライオンが潜む納屋におびき出され、閉じ込められて噛み殺されました。
ザラマンを殺したライオンはサムと対峙しますが、ライオンの幼獣の鳴き声を聞いて彼女を見逃し、子どもを連れて草原に消えていきます。
夜が明けて生き残ったサム、ジョーイ、テッサ、アシラの4人は救出に飛来したヘリコプターに向かって歩いていくのでした。
まとめ:映画『ローグ』の感想・評価
この記事では映画『ローグ』のあらすじ、キャストなどをネタバレも含めて詳しく、わかりやすく紹介しました。
映画『ローグ』の特徴はアクションと動物ホラーの要素がバランス良く混合されていることです。序盤から女性傭兵が頭を撃ち抜かれたり、少女の1人が川でワニに食べられたりと一瞬たりとも油断できません。
後半は暗闇のなかで、凶暴化したメスライオンや圧倒的に優勢な反政府組織との三つどもえの死闘が繰り広げられます。こういったところでの恐怖の演出は、ホラー作品でカルト的人気のあるバセット監督の面目躍如たるものがあります。
さらに見逃せないのが、暗闇の中で傭兵の1人が象の群れと遭遇する場面!短い時間ですが、少年時代にアフリカで獣医になることを夢見ていたバセット監督のもう一つの側面を知ることのできる美しく印象的なシーンです。