欧州への不法移民 5年来の低水準

2019年1月4日金曜日

政治

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LE Eithne Operation Triton
2018年に欧州連合(EU)に不法入国しようとして発見された不法移民の数が過去5年で最低の水準に低下していたことが、欧州対外国境管理協力機関(Frontex)の発表から明らかになりました。

同機関が公表した昨年の不法入国発覚数は推定約15万人で、2013年以来最低の水準に達しました。

特に地中海からイタリアに入るルートで大幅な減少が確認されました。これはイタリアのポピュリズム(大衆主義)政権が難民救助船のイタリアへの寄港を拒否していることが背景にあると見られています。

一方でスペインへの不法入国は2年連続で倍増しています。


Frontexの統計から明らかになったこと

2018年の不法入国発覚数は、難民危機がピークに達した2015年と比べて92%減少しました。前年2017年と比べても約25%減少しています。

地中海中央ルート8割減、西地中海ルートは2年連続倍増

北アフリカから地中海経由でイタリアに入るルート(地中海中央ルート)の不法入国は約8割減少し、約23000人となりました。

これに対して昨年不法越境のホットスポットとなったのは、モロッコからスペインに入る西地中海ルートです。このルートでの不法入国は2018年には倍増して57000人となりました。

アルジェリアからの不法移民が増加。男性が多い

出発地別に見ますと、リビアからの不法入国が対前年比87%減、アルジェリアからの不法入国が対前年比約5割の減少となっています。

性別年齢別に見ますと、男性の割合が約82%、約20%が18歳以下であると自称しているそうです。

UNHCRの統計を上回る数字

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は昨年欧州連合への不法移民数は12万3109人と発表しています。欧州対外国境管理協力機関(Frontex)の発表した数字が国連の発表を大きく上回っていることに関して、同機関は、国連難民高等弁務官事務所が主として地中海ルートに限定された統計であるのに対して、Frontexの統計は欧州連合(EU)の対外国境全域に渡る統計であるからだと説明しています。


不法移民減少の背景

トルコやリビアへの援助が奏功

欧州連合(EU)への不法意味の数はすでに2016年から2017年の間に大幅に減少していました。これは不法移民の主な「玄関口」となっていたトルコやリビアの政府に支援協力して流入ルートを封鎖したことが奏功したと見られています。

イタリア・ポピュリズム政権の誕生

2018年に地中海を渡ってイタリアに不法入国するいわゆる「地中海中央ルート」の不法移民数が減少した背景には、昨年6月にイタリアでポピュリズム(大衆主義)政権が誕生して、移民に対して強硬政策を取るようになったことがあります。

右派政党「同盟」と反エスタブリッシュメント政党「5つ星運動」の連立政権は、地中海で救助された難民がイタリアに入国するのを阻止する政策を推進してきました。昨年9月には移民の強制送還とイタリア国籍剥奪を簡易化する法案を通過させました。

マッテオ・サルビーニ伊内務大臣は難民救助船に対して、イタリアへの寄港を拒否する対立路線をとっています。イタリア政府は地中海で救助された難民はリビアの沿岸警備隊がリビアに送還するべきであるとの態度をとっています。

この政策に対して、慈善団体や人権団体は、人身売買組織による虐待が横行するリビアで難民は過酷な状況に直面することになると批判しています。


一層危険になった不法入国

不法入国数の減少とは反対に、地中海を渡って欧州連合(EU)に入ろうとする移民はより多くの困難に直面することになっています。

昨年9月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、欧州連合(EU)に入ろうとして死亡した移民の人数は上昇していることを指摘しています。

国際移住機関(IOM)の統計では、昨年越境をこころみて死亡したり行方不明になった難民の数は2000人に上るそうです。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)地中海難民問題担当特使のバンサン・コシュテル氏はこのことに関して、「移動が危険になった理由は、人身売買人がリビア沿岸警備隊による監視強化に対抗してより大きな危険をおかすようになったからです」と説明しています。


参考リンク

Migrant crisis: Illegal entries to EU at lowest level in five years

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